【心の変化】2
書庫は広い。誰もが使える書庫ですら四階建てで広いのに、その奥にある古代魔術書庫はもっと広かった。
「……この中から必要な情報をかき集めるのか……」
「うむ、途方もないな」
魔術棟にしては珍しく窓のある書庫は、夏の日差しに本が晒されている。保管されている書物はどこか埃っぽい。
「シルバの魔術でなんとかなんない?」
「ふむ……そうしてやりたいのは山々だがな。我は魔術が得意ではない」
「え?魔王なのに?」
「うむ。魔王にも苦手なことはある」
「でも、ギルバートさんの部屋、壊したんでしょ?」
「力押しはできる。魔力を固めて、打ち込むくらいは造作もない。しかし、細かい魔術となると昔から苦手でな。出力の制御も苦手であるから、火を扱う魔術を使えば火事になるな」
「それは……大変だ」
少し考えて、セシルは自分の腰についている鞄を漁る。そこには紙の束が入っていた。
「じゃあ、これ、あげる」
「なんだ、この紙束は?」
「魔法陣が書いてある紙だよ。少しの魔力でも一定の能力を発動できる。逆に強い魔力を流しても、一定の能力に抑えられる。シルバにぴったりだ」
「火、水、地、風……一通りの魔術が扱えるな」
「僕は魔力が少ないから、万が一に備えてね。お守り替わり」
そういうと、セシルは本棚に向き直った。
「さあ、ここからは人海戦術!片っ端から探そう」
「うむ、そうだな」
二人は広い書庫に立ち向かう。敵は強そうだ。




