034_not恋愛(人の造りしもの)SFっぽい、人類滅亡のその後の世界、863字
その最深部で、巨獣は目を覚ました。
幾百年もの間、ただの岩山として偽装されていた古代遺跡。
その心臓部に鎮座する鋼鉄の巨体に、魔力という名の血液を流し込む。
蒸気と思われる白い煙が、排気口から猛烈に吹き出した。
―― Boot the system... Mana reactor reaching stable levels.
機械的な音声で、聞いたことのない言語が響き渡る。
遺跡の制御盤の前に立つ青年、カールは、震える手で古代書に書かれた呪文を入力していく。
彼の周囲の騎士や魔導士たちが、驚愕と恐怖の表情で、動き出した遺跡を見上げていた。
「カール、これは……本当に精霊の加護を受けた伝説の神像なのか?」
王国最高の魔導師であるエレンが、声を震わせる。
カールは自嘲気味に笑い、首を振った。
「いいえ。神の奇跡でも、精霊のいたずらでもありませんよ」
カールがレバーを引くと、巨体の胸部が左右に展開し、操縦席が姿を現す。
複雑に交差する回路、鈍く輝く超合金フレーム、そして古代の科学技術が遺した無機質なインターフェース。
「これは―― 人の造りしものです」
かつてこの世界に存在し、そして滅び去った旧人類の遺産。
神の領域に手を伸ばし、自らの技術で天を衝く巨像を作り上げた、人間の叡智の結晶だった。
―― Starting
地響きが轟き、遺跡の天井が崩落し、外の光が差し込んできた。
上空を見上げれば、世界を滅ぼさんと迫るこの世の調停者――神の眷属たる巨竜が、こちらに向けてその口を大きく開いている。
「神が人に絶望して世界を滅ぼすというのなら――」
カールは操縦席に飛び乗り、ハッチを閉めた。
暗闇の中、モニター光が彼の顔を淡く照らす。
「人は、人の力だけで生き残ってみせる」
駆動音が高鳴り、巨像が眼光を輝かせた。
カールは神の創造物に立ち向かうために、その操縦桿を握りしめた。
ガン○ム的な世界が滅んだ数百年後、再び巨竜によって世界がリセットされようとしていた。
古代からタイムスリップしてきたカールが、かつて自分が乗っていたような機体を探し出して、竜に立ち向かう。って感じ。
巨獣はワンダと巨像に出てくる最後の巨像。




