第12話 『刀』
リリと出会ってからの日々は、激動の日々だった。
僕が習得するのに何日もかかった技術を、数秒で身につけたり。
僕がリリに教えていたはずなのに、気づけば逆に教えられていたり。
時には、師匠を驚かせるほどのことをしでかし、不完全ながらも詠唱の短縮を成功させたりもした。
ともかく、リリの魔法の才には、目を見張るものがあった。
兄弟子として鼻が高い。
そんな日々を過ごしていたある日のこと。
何故か師匠の家にお父さんがついてきた。
師匠の家についてから、お父さんが玄関の呼び鈴を鳴らす。
僕が師匠にねだっていたやつだ。
「おう、レオン、フィリアン。来たか」
「ああ、エドガー。あれはあるか?」
あれ?あれって何かな。
「ちゃんと用意してあるさ。まずはフィリアン、今に来い」
「あ、うん。わかった」
何を企んでいるんだろう。
「ほらよ」
僕の手に、ずっしりとした重みがのしかかる。
「ししょー、これは?」
「それはな、俺とレオンからの贈り物だ」
もしかして、この形は、魔法の杖かな?
「もしかして、杖?」
お父さんの方を向いてみると、どこか気まずそうな顔をしながら、頭をポリポリと掻いていた。
「…開けてみろ」
袋を結んでいる紐を解いてみると、中には棒状のものが入っていた。
「刀!?」
思わず声が出てしまった。
「よく知ってるな。そう、刀だ」
師匠は頷きながら言った。
「お前は、詠唱が致命的に下手だ。ゆっくり詠唱すればできないこともないようだが、狩りをするならばそれは致命的な隙だ」
詠唱が致命的に下手?何っ…だと。
いやまあ確かに、前世では音痴すぎて、歌うな!とキレられた回数は数え切れないけども……
「だが、その刀には力の魔石が埋め込まれている。まずは力魔法から慣らしていけ」
魔石……確か、魔法の発動を補助してくれるんだっけか?
てことはこの刀は、魔法の杖も兼任してるってことかな。
ゆくゆくは僕も、魔法剣士ってところか。魔法剣士なんて、ますます勇者じゃないか。えへ、えへへへ。
「おい、フィル。聞いてるか?」
「うん!聞いてるよ、お父さん!」
「そうか、ならいい。じゃあフィルにはこれからは、剣術も教えるからな」
「ほんと!?」
「ああ」
「やった!」
「だが、フィリアン。魔法の訓練は続けてもらうぞ」
「わかってるよししょー。でも刀なんて使ったらししょーには負けないね」
調子に乗ってそう言った途端、師匠はこう言った。
「ほう、やってみるか?」
───悪どい笑みを浮かべながら。
数分後、強制的に庭に連れ出された僕は、地面に横たわっていた。
「ししょー、おとなげ、ない」
本気で刀を振ったのに、師匠は魔法も使わず、杖だけで僕をボコボコにした。
「勝負を挑んだのはお前だろうが」
「………」
何も言えないな……
「無謀にも俺に勝負を挑んだ罰だ。そのまま素振り千回しろ」
「えっ!」
「そして俺は剣術はできん。明日からはレオンに教えてもらえ」
「任せろ!フィル!」
お父さんは力強く胸を叩いた。
「まずは刀の振り方を覚えろ!」
刀の振り方を覚えるのが大事なのはわかる。でも、この流れなら───
「ちなみに、どうやって?」
「素振りを千回、いや二千回やれ!」
増えた………
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけましたら、【ブックマーク登録】や評価の【☆☆☆☆☆】で応援していただけると嬉しいです!
皆様からいただいた応援を励みに、これからもフィリアンの物語を書いていきます。
これからも『疾風のフィリアン』をよろしくお願いします!




