↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疾風のフィリアン  作者: 北の方の狐
第1章 新たな人生編
11/21

第9話 『高み』

 コンコンコンッ。


「ししょー!」


 ……


 コンコンッ、コツンッ


「ししょー!あけてー!」


 ガチャッ。


「……うるせえな」


 やっと出てきやがったか。遅いんだから、全くもう。


「ししょー!まほー!」


「本当に毎日来る気かよ」


「あたりまえ!とーぜんのこというな!」


「はぁ」


 師匠は本当にため息が多いよな。


「エドガーさん、またフィルのこと、お願いします」


「おうよ。たんこぶは一つまでにしといてやるよ」


 えっ僕しばかれるの?


「優しくしてね?」


 いや、優しくじゃなくて止めてよ!



 ◇



 エリナと別れた後、僕らは昨日と同じ、師匠の家の庭にやってきた。


「ししょー!きのう、まりょくちゃん、うごいた!」


「本当か?やってみろよ」


「わかった!」


 昨日も、家に帰った後にできるかを試してみた。


 あんまり変わったわけじゃないけど、でも確実にできたと思う。


(まりょくは、いしでおす……)


 腹の奥にある、温かいもの──魔力を、昨日と同じように押す。


 ………


 ───すっ。


「うごいた!うごかしたよ!」


「おう、動いたな。お世辞にも完璧とはいえないが、随分と吸収が早いもんだ」


 なんと!まさか師匠がこんなに素直に褒めてくれるなんて。


「じゃあ、次はもっと遠くまで動かせ」


「とおく?」


「そうだ。さっきのは少し押しただけだろ?魔力を胸辺りまで動かせ」


「わかった!」


「よし!やってみろ!」


 もう一度、意識を魔力へ向ける。


 魔力が胸へと向かって動き始め──


 ──ピタッ


(あれ……?)


「ししょー、とまっちゃった」


「ああ、そうだろうな。そんな簡単に動かされちゃあ、魔法職の名が廃れるぜ」


 師匠の顔に、ニヤリとした笑みが張り付いている。


(くそぅ、こいつぅ)


 というか、全然教えてくれないじゃないか。師匠ならもっと教えてくれよ。


「ししょー、おてほん!ししょーもやれ!」


「ほう。わかった。やってやろう」


 そう言った師匠は、腹の奥に集まっている魔力を、全身へと巡らせた。


(えっ)


 その魔力の流れは、あまりにも自然だった。


 まるで、手足を動かすかのように。


「フィリアン、よくみておけ」


 そう言った直後、師匠の右手に魔力が集まり──


 ドオォォーーン──という音とほぼ同時に、地面がえぐられた。


「これが、魔力弾だ」


 土煙が晴れる。


 それの着弾地点は、隕石を思わせる小さなクレーターが残されていた。


「………」


 すごい、という感想しか、出てこなかった。


 あるいは、魔力操作の難しさに直面してなければ、どうやったのかを聞きまくっていたのかもしれない。


 その難しさを知ってしまったがために、その高みまで到達するための努力が、わかってしまった。


 師匠には、魔法の才能があるだろう。だが、魔力弾を──しかもこの威力で使うのに、その裏にあったであろう努力を、想像せずにはいられない。


「………」


 師匠が作り出したクレーターから目が離せない。


 あれが魔力。


 あれが魔法。


 あれが夢にも見ていた、魔法使いの光景。


 あれが、高み。


「見えたか?魔力操作は」


「…ううん。みえなかった」


「そうか」


 師匠は、肩を竦めた。


「ししょーは、どうやってできるようになったの?」


「毎日だ。」


「まいにち?」


「毎日、魔力を動かし続けた。それだけだ」


 そうか。師匠は、毎日やったんだな。なら僕も、毎日やらないとな!


「ししょー!ぼくもやりたい!まりょくだん、やりたい!」


「馬鹿言え。魔力の循環も満足にできないガキが、魔力弾を使えるわけないだろ。魔力弾ってのは、魔力操作で魔力を集め、打ち出すことだ。簡単そうに聞こえるが、そこが難しい」


「むぅ」


「だが───安心しろ、フィリアン。俺がお前を、すげぇ魔法使いにしてやるからよ」


「っ!」


 今更気づいた。僕はこんなにも大きい背中に導かれていたんだ。


 エリナやレオンは、師匠をすごい魔法使いだと言っていた。でも、あんまり実感は得られなかった。


 それは、教えるのが下手だとか、態度が軽いとか。

 僕が勝手に抱いていただけの、ただの偏見だったんだ。


 もう一度、師匠の作り出したクレーターを見つめる。


 今の僕には、到底届きそうもないもの。


 だが、いつか必ず届いてみせる。


 そのためにも──


「わかった!おねがいします!ししょー!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

少しでも楽しんでいただけましたら、【ブックマーク登録】や評価の【☆☆☆☆☆】で応援していただけると嬉しいです!

皆様からいただいた応援を励みに、これからもフィリアンの物語を書いていきます。

これからも『疾風のフィリアン』をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。