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壁打ちのススメ~それぞれのAIの個性を小説で比べてみよう~「タイトル:頼られ過ぎる探偵」  作者: グーグー


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8/20

頼られ過ぎる探偵~山の上の家族~コーパイロット編2~


# **第2話 山の上の家族**


 山道を登り始めて二十分。

 大垣弥太郎はすでに息が上がっていた。


「……はぁ……幽霊って……坂のしんどさとか……わからんのかな……」


「ワシ、死んどるからのう。息切れとか無縁じゃ」


「羨ましいです」


 幽霊の男――名前は**田淵たぶち まさる**。

 生前は頑固で口が悪く、家族とも衝突が絶えなかったという。

 だが、弥太郎の横をふわふわと漂う姿は、どこか寂しげだった。


「弥太郎よ。ワシの家族、怒っとるじゃろうか」


「怒ってても、心配はしてますよ。家族ですから」


「……そうかのう」


 勝は何度も同じことを呟く。

 生きている間に言えなかった言葉が、胸の奥に溜まっているのだろう。


 やがて、木々の隙間から古い一軒家が見えてきた。

 瓦屋根が少し欠け、庭には雑草が伸び放題。

 だが、どこか温かみのある家だった。


「ここが……」


「ワシの家じゃ」


 勝の声が震える。

 弥太郎は深呼吸し、玄関の呼び鈴を押した。


 しばらくして、扉が少しだけ開く。

 顔を出したのは、勝の娘と思われる若い女性だった。

 髪を後ろで束ね、エプロン姿。

 目の下には疲れがにじんでいる。


「……どちら様ですか」


「あ、あの……大垣と申します。探偵をしておりまして……」


「探偵?」


 女性は怪訝そうに眉をひそめる。

 当然だ。

 突然、田舎の家に探偵が訪ねてくれば誰だって警戒する。


「お父さんのことで、お話がありまして」


 その瞬間、女性の表情が固まった。


「……父のこと、何かご存じなんですか」


「はい。行方がわからなくなっていると伺いました」


 女性は扉を開き、弥太郎を中へ通した。

 勝の幽霊も、緊張した面持ちで後ろからついてくる。


 居間に通されると、女性は深く頭を下げた。


「私は田淵 美咲みさきといいます。父がいなくなって三日……警察にも相談したんですが、まだ何も……」


 弥太郎は頷き、慎重に言葉を選ぶ。


「田淵さん。お父さんは……事件に巻き込まれた可能性があります」


 美咲の顔が青ざめる。


「じ、事件……?」


「まだ断定はできません。ただ、手がかりがあるんです」


 もちろん、“手がかり”とは目の前にいる幽霊のことだ。

 だがそれを言うわけにはいかない。


 勝は娘のそばに寄り、震える手で肩に触れようとする。

 だが、触れられない。

 指先は空気をすり抜ける。


「……美咲……すまん……」


 勝の声は、弥太郎にしか届かない。


「田淵さん。お父さんが最後に出かけたとき、何か変わった様子は?」


「……ありました」


 美咲は唇を噛む。


「父、出かける前に『誰かに呼ばれた』って言ったんです。

 でも、誰にかは言わなくて……」


「呼ばれた?」


 弥太郎は眉をひそめる。

 勝は驚いたように目を見開いた。


「ワシ、そんなこと言ったか……?」


「覚えてないんですか?」


「死ぬ直前のことは、ぼんやりしとるんじゃ……」


 美咲は続ける。


「それと……父の部屋に、こんなものが」


 差し出されたのは、小さなメモ帳。

 そこには震える字でこう書かれていた。


 **『山のほこら 夜 ひとりで来い』**


 弥太郎は息を呑んだ。


「……これは、誰かに呼び出されたということですね」


「はい。でも、父はそんな危ない場所に行くような人じゃ……」


「いや、行くタイプじゃ……」


 勝がぼそっと言う。

 弥太郎は小声で返す。


「(自覚あるんですね)」


「(あるわい)」


 美咲は不安そうに弥太郎を見る。


「探偵さん……父は、まだ生きているんでしょうか」


 その問いに、弥太郎は胸が痛んだ。

 勝は娘の横で、泣きそうな顔をしている。


 ――嘘はつけない。


「……正直に言います。生存の可能性は低いです」


 美咲は目を閉じ、震える息を吐いた。

 だが、涙はこぼさなかった。


「……覚悟はしていました。父は……昔から無茶ばかりで」


 勝はその言葉に肩を落とす。


「すまん、美咲……ほんまにすまん……」


 弥太郎は静かに続けた。


「ただ、まだ終わりではありません。

 お父さんが何をしようとしていたのか、誰に呼ばれたのか。

 それを突き止める必要があります」


「……お願いします。父のこと、教えてください」


 美咲は深く頭を下げた。


 弥太郎は立ち上がり、勝の幽霊に目を向ける。


「田淵さん。次は“祠”ですね」


「……ああ。ワシも、思い出したいんじゃ。何があったのか」


 夕暮れの光が差し込む居間で、弥太郎は静かに決意した。


 ――この事件、簡単には終わらない。


 そして、祠に向かう道の先で、弥太郎は初めて“違和感”を覚えることになる。


==========


【シンプルなストーリで、でもきちんと次の話へ期待をつないで書いているあたりは好感がもてます。ほとんどが会話で進んでいてサラッと読めます。人情派の作品になりそうか?それとも、”違和感”とか言い出しているので、ここから一気にミステリーを押し出してくるのか?】

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