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壁打ちのススメ~それぞれのAIの個性を小説で比べてみよう~「タイトル:頼られ過ぎる探偵」  作者: グーグー


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頼られ過ぎる探偵~探偵は嘘をつけない~ジェミニ編2~


## 頼られ過ぎる探偵


### 第2話:探偵は嘘をつけない


午前三時の来客。しかも、ずぶ濡れの若い女性。

大垣弥太郎(三十歳)の人生において、これほどドラマチックかつ心臓に悪いシチュエーションは後にも先にもないだろう。


「あ、あの……どうぞ、中へ。汚いところですが」


弥太郎は、昨日のもやしの袋が転がる畳を必死に足で隠しながら、彼女を招き入れた。

女性は「佐藤 しおり」と名乗った。先夜殺害された佐藤さんのひとり娘だ。


「……父が、夢に出てきたんです」


栞は、出された白湯(茶葉すら切らしていた)を震える手で握りしめ、ぽつりぽつりと話し始めた。


「夢の中で父が、必死な顔で『岡山のいなかまちに、大垣という男がいる。そこへ行け』って。目が覚めたら、なぜかこの住所を書いたメモが枕元に置いてあって……」


(佐藤さんの野郎、物理干渉したな……!)

弥太郎は背後に浮かぶ佐藤(霊)を睨みつけた。佐藤はバツが悪そうに、「いや、指先にめちゃくちゃ気合入れたら書けたんだよ。娘が心配でさ」と、透けた指をわきわきさせている。


幽霊が生きている人間に干渉するのは、凄まじい精神力が必要だ。それほどまでに、彼は娘が心配だったのだろう。


「それで、ご依頼というのは……犯人の特定、ですか?」


弥太郎が問うと、栞は首を振った。


「いえ、犯人は警察が捕まえてくれると信じています。私がお願いしたいのは……父が隠した『通帳』を探してほしいんです」


「通帳、ですか」


「父はギャンブル好きで、母と私に苦労ばかりかけていました。でも、死ぬ間際に『お前たちのための金は、ちゃんと作ってある』と言い残して……。借金取りも家に来ています。もしそのお金が見つからなければ、私たちは家を追い出されてしまうんです」


背後で佐藤(霊)が激しく頷いた。

「そうなんだよ! 弥太郎さん! 台所の床下、三枚目の板の奥だ! そこに一千万入った通帳と印鑑がある! 早く伝えてくれ!」


(一千万!?)

弥太郎は思わず絶句した。あの佐藤さんがそんな大金を。

だが、ここで「お父さんが後ろで床下だって言ってますよ」などと言えば、一発で警察か精神病院行きだ。


「……分かりました。お父様の遺志、しかと受け止めました」


弥太郎は、眼鏡のブリッジをくいと押し上げた。


「大垣調査事務所、正式に依頼をお受けします。……つきましては、その、費用の話なのですが」


弥太郎の喉が鳴った。三十年間、女性とまともに目を合わせて話したこともない男が、金の話をする。これはもう、エベレスト登頂に等しい難行だ。


「ええ、おいくらでしょうか」


栞の真っ直ぐな瞳が弥太郎を射抜く。

佐藤(霊)が横で「一千万見つかるんだから、三〇万くらいふっかけろ!」と煽ってくる。


(三〇万……そんなの言えるわけないだろ!)


「……五、五千円。それと、交通費の実費だけで結構です」


「はぁ!?」と佐藤(霊)がひっくり返り、栞が「えっ?」と目を丸くした。


「そ、そんな、安すぎます! 探偵さんの相場って、もっと……」


「いいんです! 僕は、その、嘘が嫌いな質でして。働いた分しか頂きたくないんです(あと女性から大金を貰うと死ぬほど緊張するんです)」


弥太郎は早口でまくし立てた。結局、栞が「せめて」と差し出した一万円を、震える手で受け取ることで契約は成立した。久々の、生きた人間からの報酬(現金)だ。


翌朝。弥太郎と栞は、警察の現場検証が終わったばかりの佐藤宅へと向かった。

岡山県警の規制線が張られているが、栞は遺族なので中に入れる。弥太郎は「遺族の代理人」というふんわりした肩書きで同行した。


「おい、そこじゃない! 左だ、左!」


佐藤(霊)が部屋中を飛び回り、必死に指を指している。

弥太郎は、栞に怪しまれないよう、あくまで「探偵らしい洞察力」を装いながら台所へ向かった。


「……佐藤さん。お父様は、台所に立つあなたをよく見ていたんじゃないでしょうか」


「え? ええ、そうかもしれませんけど……」


「愛する家族を支える場所、と言えば台所です。もし僕が秘密の宝物を隠すなら――この辺りですね」


弥太郎は、佐藤(霊)が指差している床板をコンコンと叩いた。

期待に胸を膨らませ、板を外そうとした、その時だった。


「おい、そこで何をしている」


低く、鋭い声が響いた。

振り返ると、そこには一人の男が立っていた。

仕立ての良いスーツ。隙のない短髪。そして、獲物を逃さない鷹のような目。

岡山県警捜査一課の警部、犬養いぬかいだ。


彼は弥太郎をじろりと眺め、その「ぼさぼさ頭」と「安物の眼鏡」に露骨な不信感を露わにした。


「大垣……とか言ったな。最近、妙に正確な匿名通報を寄越してくるのは、貴様か?」


弥太郎の背中に冷や汗が流れた。

警察にはバレていないはずだった。だが、この犬養という男だけは、弥太郎の「不自然なまでの情報の精度」を疑っていたのだ。


「い、いえ、僕はただの、しがない探偵でして……」


「……嘘だな」


犬養が一步、踏み寄る。

弥太郎の背後で、佐藤(霊)が「ひぇっ、この刑事、俺の死体を見た時より怖いぞ!」と震え上がった。


警察、遺族、そして幽霊。

三者に囲まれた弥太郎の、一円を巡る命がけの調査が始まった。


==========


【おお!ジェミニの弥太郎は現金ゲットですね。安心しました。

刑事も出てきて探偵ものっぽくなってきました。良い感じです。午前三時のずぶ濡れの女性という設定につっこみましたが……。

あと、お金の話に???はてなマークがつきますが、これはあえてかな?3話を楽しみにして待っておきましょう。それにしても匿名なのに大垣って名前がバレているってどんな風に送ったんでしょうかね。でもこの弥太郎のキャラクターで乗り切れそうかな?】

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