表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【600,000PV突破!】特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第16章 -勇者 VS 魔王-

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
472/475

†第16章† -62話-[VS聖弓士トリトン]

インフレしているからバランスが難しすぎる。ここからずっとボスラッシュだし、本当に今年中に完結まで行けるのだろうか……。

「キィィィイイ!」

 トリトンが巨弓腕の瘴気弦を三本ある右腕で引き絞る。

 弦も矢も物質ではない為、三本の腕が交互に矢を放つ事で絶え間ない瘴気矢が放たれた。

 それぞれの矢は飛び方が異なり、ストレート、ジグザグ、カーブなど全体の動きを追わなければ被弾し、そこから粘つく瘴気が体内に潜り込もうと身体を張って来る。


 普段は機動力もあるミリエステだが、矢の特性と矢幕に押されて首と瞳が忙しなく動く。

「≪ブレイズダンス≫」

 爆発こそ花形とばかりの魔法ばかりの火属性魔法だが、唯一()()()()()()()()()の為に組み上げられた魔法だけが、その手数に対応出来ていた。

 ミリエステの周囲で待機していた緋色の短剣が腕の振りに合わせて射出され、空間を所狭しと瘴気矢を撃ち落とし小さな爆発が発生する。


「キキィ!」

 小爆発とはいえ視界はかなり狭まり限定される。

 その間隙を付いて、トリトンは超速移動で糸を変え弩の如き瘴気砲が大弓から放たれた。

赤竜の赫焔咆哮(ローロア)

 精霊の協力もあり移動先を特定し、相殺する為に構えられた大杖(ハイリア)から灼焔の砲撃が放たれ、瘴気弩を防ぐ間にトリトンの姿は再び消え、ミリエステの隣に大弓を振りかぶった状態で現われた。


 こういう時こそ声を殺す様子に明確な意識をミリエステは感じ取りながら大杖(ハイリア)で受け止める。

 余裕はある。しかし、これ以上の発展は見込めない事を魔法使いミリエステは肌で理解していた。

「キィ……」

 どうやらトリトンも膠着状態であることは認識しているようだ。

「やはり、意思があるようですね……」

 鍔迫り合いは一瞬で、トリトンは再び距離を稼ぎ弦を引く。



「———神焔鎧装(マテリアライズ)



 精霊の成長度合いからしても、精霊使いの成熟度合からしてもアルカンシェ達と勇者PTの”ユニゾン”の深度は雲泥の差がある。

 継戦能力や精霊への理解。そして契約者への負担。

 ひとつの技能(スキル)にここまで差が出るとは宗八(そうはち)も想定していなかったが、事実として契約者である人間に力に相応しいだけの負担が発生する。


 彼女の身体に相応しい鎧が神力(エーテル)によって物質化する。

 その瞬間から———ミリエステの体温が上がり始める。


「全力で行きますっ!」


 宣言通り隔離空間の中を支配する為の魔法を発動する。

「≪火蛍(ファイアフライ)!≫」

 攻撃力はなく、唯々灯りと一定範囲の索敵能力を有した魔法だ。

 その灯りが蛍の様に空間全体に飛散する。

「≪灼光散弾(ショットガンフレア)!≫」

 魔法を詠唱すると、彼女の周囲に小さな白い火球が数十出現する。

 これは神力(エーテル)運用を相談された宗八(そうはち)がミリエステの為に組み上げた魔法だった。


 火球は小さくとも神力(エーテル)により生成されている。

 神力(エーテル)は常に≪神の心臓(ディバインハート)≫から供給され続けるが生産量は発動者によって異なる。しかし、その量が少なくとも体内で溜まり続ければ先の様に倒れてしまう。

 だから———。


「バンッ」

 人指し指が跳ね上がる。

 トリトンへ向けて火球群が一斉に射出され、すぐさま補充され待機状態となる。

「キィキィ……」

 甘いと聞こえそうな余裕のある鳴き声を残し、その場を離脱したトリトンが見たものは———。

 自分に向けられ()()()()()()()()()だった。


「———バンッ」


「バンッ」


「バンッ」


「バンッ」


「バンッ」


「バンッ」


 明らかに反応速度が速くなっていく。

 爆風が届く程度だった被害が、徐々に、確実に。熱が身体を焼き、皮膜が弾け飛び、腕の一つが吹き飛んだ。

 まだ弦を引ける二つの腕があるうえに、自己修復能力を持つトリトンはまだ余裕があると思っていた。しかし、攻撃する隙が一切ない事だけが気がかりとなる。


「≪爆裂粘膜(バーストインフェルノ)≫」

 ミリエステの周りに紅いスライムが三体現れた。

 スライムにしては内蔵する魔力が神力(エーテル)なので、その存在感は計り知れない。

突撃(ストライク)

 既に連射される火球によって爆炎に包まれている空間内でひと際大きな爆発が三箇所発生する。

 内蔵する神力(エーテル)が尽きるまで敵を追い、着弾地点で爆発を起こす粘着体三体が時間差で突撃を繰り返しトリトンを追い始めた。


「バンッ———」

「キィッ!」

 粘着体(スライム)に追われ立ち止まる事すら無くなったトリトンは、高速移動を実行し続ける合間にも矢を放つ。

 状況を理解しているのか、復活した腕も含めて射撃される矢はすべて砲撃に変わっている。

 だが、すべてがミリエステに向かったわけでは無い。やはり、追われる立場なのが負担なのか二本が粘着体(スライム)に放たれた。


『≪神力閃焔(エーテルレイ)≫』

 しかし、三本の砲撃は瞬く間に消し飛ばされた。

 粘着体(スライム)は数度の爆発を消費しながらも砲を貫きトリトンの側に着弾し、ミリエステを狙った一本も火精フォデールの魔法で相殺……。いや、吹き飛ばしトリトンを貫通した。

「……キキィ」

 ()()で放たれた閃光(レーザー)が心臓核を掠った……。


 神力(エーテル)による万能感と尊師と仰ぐ宗八(そうはち)の魔法のおかげで、いつまでも戦えそうな高揚感が綯い交ぜになったミリエステの精神は冷静冷徹に落ち着いていた。

 移動砲台として普段は教えられていたミリエステの足は、神力(エーテル)を解放してからは一切動いていない。

 その場に留まったまま。大杖(ハイリア)を片手に持ち、空いた左手は常にトリトンを狙い引き金を引き続ける。


 使用する魔法は少ない。

 だというのに、トリトンはいつの間にか回避を優先して攻撃頻度が低くなっていく。

「バンッ———」


 やがて腕が一本吹き飛び、二本目が爆散し、三本目が狙い撃たれ、巨腕弓が爆発四散した。

 蓄積した炎熱ダメージで動き続ける両足も限界が近かった。

 再生力を上回る攻撃の激しさは、トリトンたちの()()を上回る望外の戦闘力である。

「バンッ———」


 最後の散弾をトリトンは避け切れなかった。

 踏み込んだ足が砕けたのだ。

 心臓核を有する上半身だけを残し、四肢のすべては焼け落ち床を転がる。

 神力(エーテル)が消費され小さくなった粘着体(スライム)も動きを止め、トリトンを囲い様子を伺っている。


「………」

 指を向けたミリエステの口から発動キー(トリガー)が発せられない。

 意思を感じた。先達として、勇者PTの先輩として。何かを伝えようとしていた。

 だが、現在の立場が、身体が、存在がソレを許さなかった。



「————お疲れさまでした。トリトン様」



 ミリエステの深いお辞儀を見届けたトリトンは、か細い声を漏らす。

「≪神力閃焔(エーテルレイ)≫」

 中心を貫通した閃光によって心臓核は完全に砕け散り、ミリエステの足元に再び魔方陣が出現するのであった。

・★★★★★評価

・感想

・いいね

読み終わり『続きが気になる』『面白かった』など思われましたらぜひ、応援いただけると執筆の励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ