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【600,000PV突破!】特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第16章 -勇者 VS 魔王-

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†第16章† -56話-[極東島国家リクオウ、開国ス]

【新約:特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。】

【異世界と混ざった現実世界でデスゲームとスキルライフを満喫する!~原生林に飲み込まれたキャンプ場からお送りします~】

【地球消滅ENDで死んだ私は、神様の異世界救済枠に選ばれたので故人の為にも頑張って生きていきますっ‼】

・上記3作品も投稿し始めました。よろしくおねがいします。

 アルカンシェ一行がリクオウを巡る旅行を楽しみつつ、宗八(そうはち)との模擬戦に一時帰国したりしている間———。

 リッカ=ニカイドウの尽力により、鎖国していた極東国家リクオウにも文明開化の音がし始めていた。


 まず、提供された魔道具のひとつを試しに発動させ、首都オウシュウを中心に広範囲の物理・魔法を通さない結界が張られた。

 結界の効果を体感する為に、国の実力者を募集して結界に向けて攻撃をさせる命令が下され、重鎮の目の前で総攻撃が行われている。

「……一切通らないな」

 話の規模が国を越えて世界まで広がっている為、重鎮だけではなく当主ムネシゲ=ニカイドウが直接その様子を眺めていた。

「当然です。相手取って頂くのは、超越者に届くかどうかの瘴気モンスターですので」

 目の前では、短剣から大剣までの近接職が百人規模で結界に攻撃している。

 更に、その後方では魔法職や弓使いなどの遠距離職が最大火力で結界を攻め立てているが、一切揺るぎもしない強固な結界にムネシゲと重鎮はドン引きしていた。


 他国との交流もなかったリクオウは、()()()()魔道具を始めて見たのだ。

 大陸では、迷宮(ワンダリング)から発掘された魔道具は全て魔法ギルドが買い上げる。

 研究し、解明し、試作し、安定させ、市井に還元する事で文明は発展して来たのが大陸だ。


 冒険者ギルドどころか、魔法ギルドの介入もなかった極東で初めて発動した魔道具が、精霊が改良に改良を重ねた超ド級の効果を持っている結界……。基準がなくともドン引きされる効果を前にリッカは満足げだ。


「次の結界を試しましょう」

 リッカに急かされる形でムネシゲは、二つ目の結界発動の命令を飛ばす。

 結界には色が付けられており、一つ目の薄ら赤い結界に二つ目の薄ら青い結界が重なった事で紫の結界となった。

 二つ目の結界の効果は、———敵対者の排除。

 町中に紛れ込んでいた魔物が広がる結界に押し出され、周辺に生息していた魔物も結界で吹き飛ばされ彼らの頭上を飛び退っていく。


 一行が結界内へ移動すると、住処を追われた魔物たちが住処へ戻ろうと町方向へ駆け出した。

 その瞳には怒りが宿り、こちらを獲物としか見ていないのだろう。

 涎を垂らし、今まさに唸り声を上げながら結界に衝突する。


 ——ゴキッ


 先頭を駆けていた犬型の魔物の首が折れて絶命した。

 その後も次々と怒りに染まり周囲が見えていない魔物たちは、無警戒の人間たちを標的に突撃しては絶命していく。

 町周辺の魔物などは低級で知能も低い動物系ばかりだった事が功を奏し、魔物は勝手に全滅した。

「勢いが乗っていたとしても、魔物が自死するほどの結界……だと?」

 初めて触れた魔道具の深淵にムネシゲ一同がリッカに確認を取る。


「一般的に発掘される結界と、目の前の結界は雲泥の差があります。七精霊が知恵を合わせて組み上げた魔法式で起動していますから、防備は一枚目で、侵入の拒絶を二枚目で実行しています。効果が強力な分、消費魔力も絶大ですが……」

 リッカの説明に、魔道具と一緒に渡された竜魔石が脳裏に過ぎる。

 それも一つや二つではない。強力な効果を発揮する為には莫大な魔力が必要だ。

 戦中は常に発動できるよう、文字通り竜魔石は山ほど渡されていた。


 次にリッカの強さを示す場を設けてもらった。

 青年組を空へ打ち上げた事は周知の事実ではあったが、国の実力者とどれほどの差があり、今後どれほどの強さが必要なのか。

「ステータス!」

 リッカの掛け声に反応し、冒険者カードがステータスプレートを表示させた。


 * * * * *

()は武具補正値、[]は称号補正値。


 【名前】

 リッカ=サラマンダー=ニカイドウ Lev.114


 【ステータス】

 STR 75   (+160)[+519] =STR 754

 INT 70   (+100)[+569] =INT 739

 VIT 50   (+120)[+523] =VIT 693

 MEN 80   ( +150)[+433] =MEN 663

 DEX 80   ( +80)[+472] =DEX 632

 AGI 70   ( +80)[+477] =AGI 627

 GEM 0


 ■職業(ジョブ)■ ※最大Lev.10

 一次職業(メインジョブ)  :火精精霊使い Lev.10

 二次職業(サブジョブ)  :アルカンシェ護衛隊 Lev.10

 三次職業(サブジョブ)  :極大剣士 Lev.10

 * * * * *


 リッカのステータスを確認した全員が同じ顔で呆然としている。

 超越者———。

 リッカを含むアルカンシェ王女が率いる一行が必ず獲得している称号だ。

 通常、ステータスの六項目のうち、2~3を100超えれば強者判定となるのが一般認識だが、六項目すべてが600以上のステータスを見せられては、超越者がどれだけ常軌を逸した強さなのか想像すら叶わない。


「あ、勘違いされては困ります。超越者は【可能性の実】を口にしてレベル上限を突破した者に付く称号です。このステータスは超越者にならなくとも時間さえあれば辿り着ける強さですよ」

 ステータスプレートを前に絶句している彼らの思考を読んで、リッカは説明した。

 世界中で神出鬼没に現れる【世界樹の苗木】と呼称される低木に成る実が【可能性の実】だ。

 狙って手に入れる事が難しいその実を、Lev.100の状態で摂取する事で超越者の称号を得、その効果で上限を突破する。


「この基礎値に精霊使いは【ユニゾン】が出来ます。これは精霊の属性によってステータスの伸び率は変わります」

 そう言って、火精バティスカーレとユニゾンする。

 母譲りのプラチナブロンドの髪は真っ赤に変わり、毛先や衣服の端々に炎のグラデーションが揺らめく。

 二人を足した様な姿は幻想的で……。しばし、美しさに恍惚とした視線がその場を満たす。

 だが、リッカが見てもらいたいのはステータスの方だった。


 * * * * *

【】は精霊補正値。


 【名前】

 リッカ=サラマンダー=ニカイドウ Lev.114


 【ステータス】

 STR 754 +【×3】 =2262

 INT 739 +【×1.5】 =1108

 VIT 693 +【×3】 =2079

 MEN 663 +【×1.5】 =994

 DEX 632 +【×1.5】 =948

 AGI 627 +【×1.5】 =940

 GEM 0


 * * * * *


 ———リッカを見る目が、一瞬で()()()を見る目に変わった。


 実に強者と呼ばれる者の22倍のSTRは、人間を突いただけで消し飛ばす姿を人々に幻視させる。

 無意識に一歩下がる者が多く出る中、当主ムネシゲは胆力を発揮して身体に鞭を打ちその場に留まった。

「もう十分だ。貴様らも理解出来ただろう?」

 当主の言葉に誰一人反論する言葉を持ち得ない。


 ———これだけ強いリッカ達が警戒する相手に、自分達に何が出来ようか……。


「だからこそ、我が主たちは魔道具を配り、自国を護る力を蓄えられる様に手助けをしているのです。どうか!」

 リッカが腰を折り最大限にお辞儀をして願う。

 リッカ自身も彼らと同じ意識を持っていた時期があった。

 宗八(そうはち)やアルカンシェだけでなく幹部たちも皆、自分より数段強い。負ける要素など微塵もない、と。


 間違っていた。


 どれだけ強く、強敵を討伐出来ようと、戦いが終わったあとに世界が無事でなければ意味が無い。

 魔神族の世界はまさに地獄だった。

 守り切れなかった世界の末路を目の当たりにしたリッカも考えを改め直さざるを得なかったのだ。

「皆様に世界を護る一翼を担っていただきたい!私達が敵将を討伐する間、世界を……いえ、このリクオウを守り抜いていただきたいのです!」

 圧倒的強者の慟哭にも似た願いの言葉は、不器用な彼女なりの精一杯が込められている事を全員が感じ取れた。


「頭を上げよ、リッカ」

 当主ムネシゲの言葉を受け、リッカはそろそろと頭を上げる。

「貴殿とその主たちの心意気、理解した。そして、我が国が滅ばぬように気を利かせてくれた事にも感謝しよう」

 ムネシゲが頭を下げた。

 国元を離れ、大陸の姫に仕える立場のリッカに国の当主が頭を下げたのだ。


 戸惑うリッカを前に、ムネシゲの背後に控えていた重鎮たちが次々と頭を下げていく。

 通常、当主の頭は軽くない。

 重鎮からしても一番に頭を下げたムネシゲを咎め頭を上げさせることを優先すべき場面だが、誰一人として苦言を呈さず後に続いて頭を下げている状況にリッカはパンク寸前だ。


「え、あの、いえ!ご協力いただけるのであれば我が主たちも喜びますので……あの、あ、ありがとうございます!」

 頭を上げたムネシゲ達に何度も頭を下げ続けるリッカの姿に笑いが起こる。

 先ほどまで化け物を感じたリッカは、リクオウに居た頃からあまり変わっていない。

 それが嬉しく、そして頼もしく感じたムネシゲ一行は、宗八(そうはち)達の計画に参加する事を決意したのだった。

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