30 異世界の終の棲家
お待たせいたしました。
挿絵を描いて見ました。
一枡が五百㎞位の目安です。(余り気にしないでね)
国の位置関係が分かり易くなるのかなと思いまして。
嫁が三人居て子育てをする場所。
前世でも有ったな、現役を引退して夫婦のみで田舎に移住する方。
でもそれはそれで自己中心的な事だ。合わない時もある。
俺達は、これから子供も生まれて子育てをしなければいけない。
子供達が大きくなった時に、嫌な思い出とならない子育てが望ましい。
テーベア山脈の別荘は、近隣に魔物しかいない環境だ。
子育て処か、妻達も嫌だと思う。俺を気遣って言わないだけだ。
友人達との付き合いもしたいだろう。
俺の独断と偏見でも文句は言わないだろうけど。
家族会議を開く事にする。
俺の正室、アリス。ネウストリア王国のビアンカ。ヴァンダル帝国のアンナ。
それぞれに二人ずつ、侍女が着いて居る。元は王女様である。親が放って置く筈が無い。
「今から、ケント・スミルナ家の家族会議を開く。議題はこれから何処に住みたいか。皆色々な思いが有ると思うので希望を言ってくれ」
「ケント、此処テーベア山脈ではダメなの?」
アリスは俺より二つ上だし、結婚して呼び捨てにする事にした。
「子供の居ない内は問題無いだろうけど。子供達も大きくなった時に友人との
関係も有った方が良いのでは無いかと思うし、君達も親、親戚や友人にも会いたいだろう」
「新幹線を使えば、親兄弟に会いに行く位ならそれ程問題無いですわ」
「それならビアンカは、此処でもいいのかな?」
「でもこの山の上は寂しいかな」
「私も、魔物しか居ない山の上は淋しいですね」
大都会に住んで居た、ビアンカとアンナの言葉。
「アリスも淋しいだろうな。やはり平地が良いよね」
「でも平地は住みやすいけど、ケントの立場なら何処にでも住めないでしょう」
「そうだな、人が多い所には住めないよね。アルテミア様の使徒が隣に住んで居ます。多分近所迷惑になるよな。それに何処かの国に男爵領程度の領土を貰う事も今の世の中では難しい事だからね」
「そうよ、戦争も無いから領土の奪い合いも無いわ。貴族の後継者争いや
跡継ぎの居ない貴族も今の所居ないわね」
「俺も火事場泥棒みたいな事はしたく無いな。だから大都市周辺は駄目だな。
誰も住みたくない様な所を開墾して領地を造れば一番良いかな」
「ビアンカとアンナには悪いけど、やはり大陸の中央部が良いと思うわ」
「私も良いわよ。ケント様に体は直して貰ったし、寒い国には帰りたく有りませんわ」
「私も、暑い国は住みたく無いのよ」
「俺の爺さんの所は、駄目だな。兄が後を取ったので近くには住みにくいな。
真ん中辺りはハルモさんが居るから、東の方が良いかな」
「ペルシス男爵領の東に大きな湖が有るのよね。その手前とテーベア山脈の麓は誰も手を付けて居なかったと思うわ」
「俺も行った事が無いけど、大きな湖らしいね。でも誰かの領地なのだろう?」
「多分、ペルシス男爵の寄り親で有る。レオニート・フロル伯爵の領地ね」
「今度王都に行って、宰相様に聞いて見るよ。それで良い返事が貰えたら
アリスは構わないかい?」
「少し辺鄙な所だけど、山の上よりは良いのじゃないかしら」
次の日に、王都のスミルナ辺境伯屋敷に行く。
「アララクさん。宰相様に会いたいのだけど手続きをお願いします」
「ケント坊ちゃん。貴方は女神様の使徒ですから逆に王でも宰相でも呼んだら
彼方から来ませんか?」
「嫌々、アララクそんな事は出来ないよ。俺はしがない一男爵だよ、手順と言う物が有るよ」
「そうですか、それでは一緒に王城に行って見ますか」
アララクが馬車を用意して一緒に付いて行く。
辺境伯の王都屋敷からは王城は近い。直ぐに着いた。
来客の手続きをする窓口に行き、アララクが職員に申し出る。
職員は慌てて走って行く。城は案外広い。それなりの時間が過ぎた頃に。
息を切らせながら、職員が帰って来た。
「スッ、スミルナ男爵様お待たせいたしました。宰相がお会いになるそうです。
此方にどうぞ、ご案内致します」
長い廊下を付いて行く。宰相の執務室に案内される。
職員がドアをノックして。
「スミルナ男爵様をお連れしました」
「入って貰ってくれ」
部屋の中に招き入れられて挨拶をする。
「リプニク公爵様、お久し振りです。婚儀の際はありがとうございました」
「ケント君、そう改まらなくても良いのでは無いか。どの様な話をしに来たのかは分からないが。ざっくばらんに話し合った方が良いと思うぞ」
「はい、分かりました。私は女神さまより使徒として後九十数年はこの世界で
活動しなさいと言われて居ます。嫁も三人も貰いました。以前はテーベア山脈の
上で暮らそうと思って居ましたが。子供が出来たら其処での暮らしは可哀想に
なりました。そこで、以前領土は要らないと言いましたが。
ペルシス男爵領の東に有る湖の辺りを貰えませんか?」
「君なら何処にでも住めると思うぞ。此処の王城に住んでも誰も文句を言う者は居ないと思うがな」
「イエイエ、宰相様。私は女神の使徒ですが。女神さまは争いをさせる為に私を
この世界に降ろした訳では無いのです。私も、争いは好みません。でも私と私の
家族に危害を加える者には容赦はしませんよ。王を排除してこの城に住めば皆さんはどう思うでしょうか? 次は我が国かと思いませんか?」
「そうか、残りの人生を静かな所で暮らしたいのだな。静かすぎても駄目だな
子供達の友人も欲しい訳だ。その湖はアンドレア湖と言うのだ。名前を付けた者は随分前に居なくなって居る様だ。古文書には謂れが書いて有ったな。
その辺りを治めて居るのは、レオニート・フロル伯爵だ。ペルシス男爵の寄り親
だな。ペルシス男爵は。君の従者が嫁いで行った先だから知って居るね」
「ペルシス男爵とは家族ぐるみのお付き合いをさせて貰って居ます。フロル
伯爵はお会いした事が無いですね。何か問題は有りますか?」
「君がそこを領地にする分には特に問題は無いだろう。その辺りには誰も住んで居ないし、多分冒険者以外で永住する者は居ないな。魔物達の楽園だからな
君なら問題無く魔物達を一掃出来るだろうからね。只問題になりそうな問題
人間関係かな。フロル伯爵にはね。娘が居たな。どうなるのかな?」
「宰相様、話を濁さないで下さいね。伯爵の娘さんで、年頃なら許婚が居るでしょう」
「君も経験が有ったのじゃ無かったかな。アルテナ・フランツ嬢だったな。
この国では超有名だったよな」
「グッ! その方も有名なのですか?」
「嫌、それ程有名ではないけれど。結婚適齢期の男女の中では皆知って居るな。
君は、年齢的に少し下だったし。スミルナ領での風評は王都でも有名だったからね。彼女が今の君を知ったらどうなるのかな。そこが心配だね」
「と言う事は、行き遅れで今でも伯爵邸に居られるのですね」
「そうだな、アリス王女様より綺麗だと評判でね。王都の学園の花だったよ。
まあ俗に言う。高嶺の花子さんだったのさ。頭も凄く良くてね、ああ言うのを
才媛と言うのだよ。そのアルテナ嬢よりは胸も有るよ」
「それで行き遅れとは、性格に難有なのですね」
「頭が良いから性格もそれ程酷いとは思わなかったな。逆に釣り合う男性が
居なかったのが原因だと思うぞ。父親のレオニートも頭を抱えて居るだろうな」
「今、何歳位なのですか?」
「君は、今十七歳位かな。彼女は今年で二十二~二十三歳位になるのかな。君とは五~六歳の違いだね。十歳もは離れて居ないけどお姉さんになるね」
「宰相様は、色々と手を打たれたのですよね。それでも上手く行かなかった。
超難関の物件ですね。もう心当たりは居ないのですよね」
「でも良かった。君が出て来たじゃ無いか。レオニートに領地の割譲話を持って
行った時に彼女の耳に入ったら。どう動くだろうね。彼女ももう年だ。
年齢差が有っても気にしないだろう」
「いやいやいや、私が気にします。この領土を貰う話は無かった事にしませんか」
「ケント君、儂はこの国の宰相だよ。忙しい身なのだよ。突然訪れた来訪者には
滅多に会わないのだよ。でも君は女神の使徒だ。だから優先的に都合を付けた。
君なら分かるよな。正式に領地の話も聞いた。もう曲げられないな。それと
何処かの冒険者組合の職員を押さえつけて乱暴しようとしたそうじゃ無いか。
あれは、目撃者も沢山居たよ」
ググッ、コリーンの事だな。王都まで広がって居たのか。
冒険者の情報網は侮れないな。
「まあアレは、一般庶民の事だ。貴族には逆らえないから大丈夫だ。しかし
同じ貴族同士は無理だな。色々儂も君の立場になって考えて見たよ。何故
あそこの領地が良いか。良い判断だよな」
やはり一国の宰相、切れ者だな。
「良く分かりました。領土の件は進めて下さい。彼女の名前は?」
「アンジェラ・フロルだ。後は彼女次第だな。領地は直ぐにでも、開墾等を
しても大丈夫な様にレオニートに伝えて置くよ。頑張って領地を増やして
くれ給え」
「それではよろしくお願いいたします」
いやあ、上手く手玉に取られたな。経験値が違うね。
まあ仕方ない。帰ってからアリスに報告して置こう。
お読みいただきありがとうございました。




