表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説の中に転生したので、殺される運命の大公様を救います  作者: 森前りお
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/37

19話 魔物討伐演習⑥ 帰還

 Cランクの魔物が住まう境界線を超えると、イーサンは何も言わずその場から姿を消した。

 エレノアとジルベールは顔を合わせた。

 今まではイーサンが弱らせていたが、今回は二人で無傷のCランクの魔物を倒さなければいけないのだ。

 

 「探知魔法を使うね」


 「ああ」



 エレノアは探知魔法を使い、魔物を探していく。

 しばらく経って、見つかった魔物の位置をジルベールへと報告していく。


 「北西の方角に魔物発見。大体一キロ離れてる」


 「了解。向かうぞ」


 ジルベールが踏み出した瞬間とほぼ同時にエレノアも勢いよく地面を蹴って走り出した。

 走りながら魔物が動いていないことと近くに別のグループもいないことを探知魔法で確認する。

 一キロほど進むと目標である魔物の姿が確認できた。

 トロールだ。

 こん棒を持って、何やら周りを見渡しながら動いている。

 

 「行こう」


 ジルベールが先に動き出して、剣を振りかざした。

 こん棒を振りかざす左手を交わし、勢いよくトロールの左腕を切り落とした。

 痛がるトロールはジルベールのことを右手で殴る。

 前のように吹き飛ばされることはなく、ジルベールは受け身を取ってその攻撃を受けきっていた。

 トロールはエレノアが近づいてきていることに気づくと、受け身を取っていたジルベールの足を自らの足で殴る。


 「構うな!」


 ジルベールは殴られた足がほとんど動かないようで、回復のために一旦下がった。

 トロールはエレノアへ切り落とされた自らの左腕をエレノアへと勢いよく投げつけた。

 エレノアはその攻撃を交わすが、その瞬間、大きな左腕に隠れてこちらへと向かっていたトロールに勢いよく体を殴られた。

 受け身を取っていたおかげで吹き飛ばされることはなく、数メートル下がっただけだった。

 だが、イーサンの助けは来なかった。

 イーサンはまだエレノアとジルベールがやれると判断しているということだ。

 

 ジルベールの足の回復が終わり、戦闘に復帰する。

 エレノアはトロールをよく観察していた。

 左腕がない。

 バランスが少し崩れているのか体が右に傾いている。

 狙うなら左目。

 それもジルベールを理解しているようで、静かに背後を取っているジルベールがトロールの頭の裏から剣を刺し、左目を潰した。

 左側がほとんど見えなくなったトロールの左足をエレノアが太もも辺りで斬った。

 トロールは段々と右に傾いていき、そのまま倒れ込んだ。

 そして、トロールは立つ間もなく、ジルベールがトロールの心臓を刺した。

 その瞬間、イーサンが姿を現した。


 「Cランク魔物討伐達成だな」


 そして、二人の前に立って両手を広げた。

 エレノアとジルベールは笑ってイーサンとハイタッチを交わす。


 「足が痛い」


 「傷が治ってないんですか?」


 「いや、筋肉痛だ」


 「私もです」


 「訓練が足りないんじゃないか?」


 イーサンの辛辣な返事が冗談に思えてきそうだ。

 笑いがこぼれるエレノアはトロールから魔石を取り出してグループの布袋へと入れた。


 「じゃあ、帰ろうか」


 「ああ」


 「そうだな」


 三人は笑い合って、魔物討伐演習を完了させ、帰還の帰路へとついた。

 森を出て先生がこちらを見ている。


 「早かったな。一番乗りだぞ」


 にかっと笑う先生にエレノアは魔石の布袋を差し出した。

 あまりの重さに先生も体が少し沈む。

 そして、中身を確認すると、イーサンの方へと目線をやった。

 その後、エレノアとジルベールのことを慰めの目で見ている。

 先生も理解したのだ。

 この3日間がGグループにとってどんなものだったか。


 「報告は以上です」


 エレノアの報告に先生は眉間にシワを寄せてちらちらとエレノアとジルベールを見た。

 本当にこの3日間でやったことなのかと聞きたいに違いない。

 だが、二人の様子を見れば分かったに違いない。

 これが本当にあったことなのだと。


 「た、大変だったな」


 元はと言うと先生がイーサンを補助にと言ったことから始まったことだったと気づいた二人はほんの少しの反抗心を先生へと向けた。


 「大変だったな、で済まされたらたまったものじゃないよね」


 ジルベールのその言葉にその言葉に先生は萎縮した。

 イーサンを単独にすればよかった話だが、そうすれば、この機会は訪れなかった。

 ほんの少しの友情を育めただけでもこのグループでよかったと思える。


 「まあ、4日間の休み堪能してくれ!じゃ、俺はこれで」


 逃げるようにその場を去った先生に何も言わず三人は寮へと戻ろうとしていた。

 だが、そこから一人離脱したものがいた。

 イーサンだ。


 「イーサン、どこに行くの?」


 「訓練場だ」


 二人は顔を見合わせて苦笑するしかなかった。


 「二人も一緒にやるか?」


 なぜか嬉しそうに聞くイーサンを横目に二人はにこりと笑った。


 「無理だ」


 「ごめん」


 体力が有り余っているイーサンに付き合うほどの余裕はもう残っていない。

 二人は寮へと戻り、今すぐ風呂に入ろうと決意した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ