バカたれキリン
前話に、挿し絵を追加。٩(๑•ㅂ•)۶わぁー
── 魔物に、"話を聞く" ── ?
というのも、皆は、
よく分からなかったが。
それよりも。
ゆっくりと降下してくる、
ふたりの、少女、だったもの、に、
──奪われている。
── きゅうぅぅぅぉぉぉ─────・・・!
なるほど、確かに、" 蜻蛉 "、だ。
前後にて、
二人羽織のように連結した、
金と、銀の、少女たちは。
自身から発生した、光色の装甲にて、
蛹の如く、覆われている。
──キュイン、きゅいん、きゅいん────。
連結、と言ったが、
その、繋ぎ目は、
実に有機的な曲線であり、
貝の裏側を研磨したかのような、
美しい、極彩の反射光を放ち、
まさに、螺鈿のようである。
辛うじて、人型が、ふたつ、
中に、取り込まれていると分かる、
金属の蛹の殻船────。
それら、から。
直線の意匠が際立つ、透過の羽根が、
蜉蝣のように──、
シュパぁあ────……!
と、後ろ向きに、数対、
大きく跳ね出しているのである。
急ごしらえのはずの兵器は、
洗練されつつも、無造作に装備され。
それは、おどろおどろしく、異彩を描く──。
妹乳:( ……もはや、融合、している…… )
光る武器だらけのトンボが、
バツリ──、と、脱皮するように割れ。
皆、それぞれに、息を飲む。
複雑な曲線美は、しかし、左右対称に裂け。
それが人工物であると、
再認識を、させられる──。
──きゅぅぅぅうううぅんんん・・・────!
──ギャァアアィィィィンンン・・・────!
──蛹は花のように咲き。
それは、輝く百合のようである。
隙間からは、
今まで内部で噛み合っていたであろう、
薄く、しかし繊細な造形の歯車と、
朝露が糸を滴るような鎖が、
美しく、蜘蛛の雨のように、
唸っている。
筋のような髪は脈動し、
流路ケーブルから、ただの体組織へと、
戻っていく──。
しゃらぁああああああ─── ─ ─ ─……!
妹乳:「……、……── 」
十二分に、絵となる光景である。
ヒキハは、サナギが成虫となり、
ふたりが、何か別のものになるのでは、と、
危惧するほどであったが、
眩い身体から無粋に飛び出た、
数々の突き出すカラクリは、
確かに、収納され──。
それは、"人"の器となった。
ひととして、──"うごく"。
金娘:「……? なによ? じっと見て??」
銀娘:「みせものだぞーっ! ただではない」
ふたりは、実に自然体で、
やっぱり、よく分からない。
ぽつりと、ヒキハが零す。
妹乳:「あの"状態"では……目や、口や、耳にも……いえ……身体中に、何かしらの装置が、組み込まれて、いるのですね……?」
アレが、解ける瞬間を、
見たものだけが、感じる、違和──。
思うより、ずっと──、
"機械じかけ"の────。
妹乳:「なのに……声は聞こえます。不思議な、ものです」
金娘:「──あぁ! アレ、声の音を、信号として出力してんのよっ! 腹話術、ってやつね? きひひっ♪」
銀娘:「視覚も、たくさんの方向を、同時に見てるんだよ。みんなも、見えてたからねーっ!」
妹乳:「──……、……」
何の気なしに、言うふたりに、
何の、心配も、ないのだろう。
だが、だからこそ──。
ヒキハは、チクリとする。
それは、いいんですか。
人を──……やめかけて、いません、か。
妹乳:「……、……相も変わらず、トンデモ、絵本の主人公ですわね── 」
ヒキハだけが、少し顔に出たが、
それは、アンティとマイスナ以外は、
皆が、過ぎる事だった。
気温は、いい塩梅で、
その次の、うるさいエルフの、ひと言が、
やっと事柄を、
次の場面へと、押し上げた──。
白童:「──それでぇ??? ジラーティエを"治療"する、というのは、本気っ、ですかあああ???」
ユユユは、見方によっては、
明るく嘲笑するように、
へらら、と、首を傾け、言う。
白童:「おふたりが言うのなら、ボク、やってみますよぉおおお〜〜〜〜♪♪♪」
ブォ──……、ふぅ──……、……。
倒れているのは、巨体の、
波模様の、キリンの魔物──。
実に苦しそうに、息を吐きつつ、
その体表は、異常な変色が多々、見受けられる。
ふだん、好んで近づく生き物ではないが、
この7匹は、明らかに家族であり、
火の妹たちの顔にも、同情と、
哀れみが、揺らぎ燃えている。
金娘:「──マイスナ?」
アンティが合図し、マイスナが手をかざすと、
銀色の何かが、複数、ジラーティエに接近し、
それは、どうやら針を持つようである。
浮遊し、突き刺す、異様な銀の物体たちに、
倒れるジラーティエたちも、
ここまでか、、、と観念の瞳であったが、
次に起こるは、
絶望とは、まるで、逆さまの結果であった。
──クペ?
1匹が、顔をあげ、
その、大きく長い首は、
まるで重さを、感じさせぬようである。
太陽神が、報告する。
陽神:『────調合した解毒薬と:
────希釈した回復ポーション:
────それと:栄養剤を:注射しました☼
────すでに解毒され、
────壊死した体質や血管も:
────復元されているはずです☼』
金娘:「大丈夫よ。みんな、治るわ──」
アンティは巨体に近づき。
首だけ持ち上げている波キリンの、
一番危険であろう前足の辺りを、
グッ……と、持ち上げるように、
下から触った。
熊神:「おい、危ねぇぞ……!?」
アンティは。
立て、と促したのである。
ジラーティエの凶悪なキックは有名なので、
至高はじめ、見る皆の肝が冷えたが、
ブルル……と、
まるで言うことを聞くように立ち上がり、
それは、壮観であった。
封火:「ぉ、おおきい……、……!」
真近で見る、彼らの身長は、
思うより勇ましく、
それが七つとあって、
優雅さと、恐怖があった。
こちら側も、相当な人数なので、
警戒されるはずなのだが。
驚いたことに、それらは、まるで逃げず、
先頭の個体など、
静かに、アンティのそばに立ち、
ゆったりと、見下ろしている──。
金娘:「──クラウン?」
陽神:『────レディ☼』
いよいよ、何をする気だ?
この義賊ちゃんは──、
という、空気の中──。
金娘:『 ──Ⅰ❘Ⅲ❙ⅡⅢ❙Ⅰ❘ⅢⅠ❘Ⅱ❚Ⅰ❚ⅢⅢ❙❘Ⅰ─ 』
[ この森の霧について問いたい ]
妹乳:「──っ!?」
姉乳:「──……!」
金娘:『 ── Ⅰ❘Ⅲ❙❘❘Ⅱ❚❙Ⅰ❘Ⅲ❚Ⅱ❚❚Ⅰ❚ⅢⅢ❙❘¦┓ ─ 』
[ なにか 知っていることはある? ]
アンティの口は、まるで、
痙攣しているようであり。
文字に起こせば、「ジ──────ッ」、
というような、
蝉に似た発声であった。
まさか、、、。
周囲は、何をしようとしているか、
には、理解を得る。
だが、、、解、など────。
首波:『── Ⅲ❚Ⅱ❚❚Ⅲ❚Ⅱ❚❚ⅠⅢ❙Ⅰ❘ⅢⅠ¦ ─
── ❙Ⅰ❘Ⅲ❚Ⅲ❚Ⅱ❚❚ⅠⅢⅡⅢ¦ ─
── Ⅰ❘Ⅲ❚Ⅱ❚❘Ⅲ❚Ⅲ❚ⅡⅠⅢ❙Ⅰ❘❚¦ ─ 』
[ 深き濃い導は エルの割にて湧いた ]
[ それらが天向の首より高く ]
[ それは 尾を向けるを意味した ]
萌殺:「マジ、でか……」
言葉の通り、"聞き"、"返礼"があったので、
まさに、絵本の中へ、
という場面である。
マジカは、みけんが、クラクラした。
金娘:『── ❚❘Ⅲ❚Ⅲ❚¦¦_❚Ⅲ❚Ⅱ❚❚ⅠⅢ❙¦ ─
── Ⅲ❚Ⅱ❚❙❚Ⅲ❚ⅡⅢ¦ ─』
[ 尾を向ける……逃げたのね ]
[ 正しいことだわ ]
首波:『── ❚❚Ⅱ❙❙ ❚Ⅰ❚Ⅲ❚_❚Ⅲ❚Ⅱ❚Ⅲ❚¦ ─
── ⅠⅢ❙❚ⅡⅢ¦ ─』
[ 時は稼がれたが 不甲斐なき首だ ]
[ 頼みがある ]
金娘:「──!?」
アンティは、突然の願い出には、
驚いたようである。
首波:『── ❙Ⅱ❚❚❘Ⅲ❚Ⅱ>⿴⿻⿸Ⅱ❚❚¦ ─
── ❚ⅡⅢⅠ❙ⅡⅢⅢ❙Ⅲ❚Ⅱ¦ ─ 』
[ この先で F-22/ZR が ]
[ 深き導を 防いでいる ]
金娘:『── ❚❘❙¦¦ ─┓ ──クラウン、分析」
[ なに? ]
首波:『 ── ❚ⅡⅢ❙_Ⅰ❙ⅡⅢ❚❙❙Ⅲ❚ⅢⅡ¦ ─ 』
[ 方向へ 足鳴らしてほしいのだ ]
金娘:『 ── Ⅲ❙Ⅱ¦¦Ⅲ❙❘Ⅲ¦┓ ─ 』
[ 急げと いうの? ]
少々、魔物の翻訳は、難解で。
本質は影のように表現される。
首波:『 ── ❙ⅡⅢ❙❘ⅢⅢⅢ❙Ⅲ❚¦ ─
── ❙ⅡⅢ❚❙❙Ⅲ❚ⅢⅡ❙❙¦ ─
── ❙❘❚❙❚❘❙❙❙ⅢⅢ¦┗ ─ 』
[ なさけなくも ]
[ 防なくしては ]
[ 天は無かった ]
金娘:『 ──┗❚_>⿴⿻⿸_❚¦Ⅲ┓─ 』
[ " F-22/ZR " とは? ]
首波:『── ❚❚Ⅱ❚Ⅲ❚❙ⅡⅢ❚❙❙Ⅲ❚ⅢⅡ¦ ─
── Ⅲ❙❚_Ⅱ┳¦ ─』
[ 時より移り 露を模すもの ]
[ 頼む ]
金娘:「……。クラウン?」
陽神:『────申し訳ありません☼
────該当ワード:" F-22/ZR "に:
────ヒットするデータ情報:0件☼
────見つかりませんでした☼』
金娘:「ふぅ、む……」
なんとも、摩訶不思議な光景だが。
アンティは、くるりと振り返り、
皆に伝える。
金娘:「たぶん──誰かに助けられて、ここまで来れた、って言ってる。そいつの様子を、見に行って欲しいって」
数人が、顔を曇らす。
熊神:「……。これ以上、奥に進むと、日没までに街へは帰れなくなるぜ?」
金娘:「ん……。そう、よね……」
姉乳:「──いいわよ、アンティ。あんた、決めなさい」
金娘:「ん──。私が、泊まる場所、、、用意できれば、いっよね??」
………………………、ん……?
トウゼンローや、妹組は、
判断を見ようと、キョロキョロとし、
至高たちも、おずおずと、頷くに至る。
熊神:「ぉ……、お……? ん、おォ……もちろん……」
獣王:「……ガオガオガオォ……?」
[ いーの? ]
金娘:「オーライ♪ ── ❘❙❚Ⅰ¦ ─
── Ⅲ❙Ⅱ_❙Ⅲ❙ⅡⅢ❚❙❙Ⅲ❚¦┏─ 」
[ わかった ]
[ 急いで 向かってみる ]
首波:『 ── ❚ⅡⅢ❙Ⅲ❚Ⅲ❙Ⅲ❚ⅢⅠ❙ⅡⅢ❚❙Ⅱ¦ ─
── ❚ⅡⅢ❙❙❚❙ⅡⅢ❙❙ⅢⅡ❙¦ ─
── ❙Ⅲ❚Ⅲ❙¦┗ ─ 』
[ 我が底無し沼のような感激は ]
[ その頭髪を啄むことを ]
[ 止めるだろう ]
金娘:『 ── ❙❙❙❙Ⅱ❚❙❙❚Ⅱ_Ⅲ❙❙❚❙❙❙﹌❙❚❙❙❚❙❙ ─
── ❚❙❙❙❙❚❙❙❚¦_❙❚ⅢⅢ❙❙Ⅱ﹌❙❙❙❚❙ ─ 』
[ 乙女の頭髪を ムシャらんのは ]
[ あたりまえじゃ バカタレ ]
銀娘:『 ── ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏﹌¦ ─ 』
[ 威嚇 ]
先頭の波キリンは、ブヒュ、ブヒュ、と、
頭部を前後に振るように後ずさり、
気づけば、7匹のジラーティエは、
戦闘になることなく、立ち去っていく。
どうやら、嬉しそうである。
金娘:「──いこっか!
こっからは、地上で、行くねっ♪」
銀娘:「ねぇ、アンティ。
あいつら、食えるかなあ」
熊神:「ふぇー」
姉乳:「ふぉー」
皆は、絵巻の内ではないことを、
ただただ、祈るばかりである。










