有能にゃんにゃん さーしーえー
∧_∧
(ฅ•ω•ฅ)✧
猫七:『C7:にゃにゃにゃにゃにゃーんっ!』
私の肩の上で、どうやら前脚に"7"と、
ナンバリングされた子猫ちゃんが、
ぷるぷると……震えている。
外見だけなら……、
孤児院にあったヌイグルミのようだわ。
持って帰ってあげたら、
年少組に、大人気でしょうね……。
なにせ、この猫──。
にゃむにゃむ動いて、
しゃべっているんだもの──……!
猫七:『C7:にゃむむむむむーっ……! クルクルパパ、めっちゃキレてますにゃぁあーん!! ぉ、おっかにゃいにゃーっ!! ブルブルぶるぶる……』
姉乳:「あんたのパパって……神様なの?」
妹乳:「ぁ、あなたも、アンティの能力のひとつなのですか!?」
──!
ヒキハの発した言葉も、
この、"窓のような浮遊物"に、
表示されるようになった──!
なんて画期的な機能なの……。
リアルタイムで、
会話内容を記録・再確認できるんだわ。
ふと、妹の腕に光るものに気づく。
姉乳:「……! ヒキハ! それ……」
妹乳:「な、なんですの!? この金のブレスレット……まさか、"歯車"……!?」
猫七:『C7:にゃんにゃん! ヒトデ不足のカンケイで、あんた方のサポートはニャーひとりでするにゃん! 猫の手も借りたいって言うにゃ? おっぱいイモートさんも、会話だけは拾えるようにしたんにゃ! すごぃにゃろー』
妹乳:「ぉ、おっぱい妹って、あなた……」
姉乳:「なんとも……分かりやすいニックネームだこと……」
私も、あねちちて。
これ責任者だれよ。
猫七:『C7:にゃっ……!? チャットログの識別コード……"猫ナナ"と、"C7"って──表記、ダブってるにゃんな!? にゃー……、にゃんか、キモチワルぃにゃ……にゃん……、ぁかん。いま、組み直す時間にゃい……、にゃむーぅ、いっか……』
肩の子猫は、何かをあきらめ、
私たちにクルッと語りかける。
猫七:『C7:──さぁ! 気を取り直して、カニ退治やるにゃよー!! サボってたら、クルクルパパが激おこプンプンにゃー!! いつもヘラヘラ兄さん系のくせに、怒らしたらホント怖いんにゃから……いっかい夜戦調査行ったときにゃんか──』
妹乳:「いや、あの……夜戦は今しています」
姉乳:「……カニ共を大量に倒せば、本当にあの子たちは元気になるのね?」
猫七:『C7:可能性は高いにゃ! 一時使用できる経験値が増えれば、クラママの出力は上昇する傾向にあるにゃ!』
──!
クルクル"パパ"……。
クラ"ママ"……?
ははぁ──ナルホド。
"金の神様"、とやらがキレてた理由が、
何となくだけど、察せたわ。
神サマにも色恋沙汰があるのか……、
などと考えていると、
猫ちゃんが何か光のブドウのような物を操作している。
猫七:『C7:──ポチポチにゃ! ほにゃ! できたにゃよ!』
妹乳:「──! これは……?」
姉乳:「……光る地図、よね?」
猫七:『C7:ただの光学マッピングじゃにゃいにゃ! "敵対反応リアルタイムトレース機能"を追加したんにゃよ! 名づけて、"カニさんレーダー"にゃ! にゃ、まぁ……カニ以外も映るにゃけども。魚群探知機にも使えるにゃ!』
妹乳:「──っ!!」
姉乳:「──!! そ……」
──そんな事が、本当に可能なの……!?
魚群探知ってのは、よくわからないけれど……。
すると、縮尺が自動で変わった光の地図に、
ポチポチと光の点が増えていく──……!
猫七:『C7:──にゃにゃ! 敵さん、来てるにゃよ!! 東北東より敵対勢力:13……17! 北西からも、18体が接近中にゃ! にゃむ! 100メルトルテ単位!』
妹乳「なッ──!!」
姉乳「──!! この、真ん中で光ってる点って、私たちの位置でしょう!? こ、この位置取りは、まずいわ──っ……!」
光の地図には、リアルタイムで、
私たちが敵に挟み撃ちにされる様子が、
天から見た神の目線のように描写されている。
移動中の敵まで……正しく反映されるというの!!
このままだと、あと数十秒で接敵する──……!!
猫七:『C7:に"ゃー!! にゃーにしてんのにゃ! 早く、ぶっ倒す準備するんに"ゃー!!!』
妹乳:「そっ、そうは言われましてもねぇ……!!」
姉乳:「これ見なさい!! これ!!!」
猫七:『C7:にゃ……、にゃんにゃ? その、きちゃにゃいカナボウにゃ……??』
姉乳:「剣よ……」
妹乳:「あああ、私のも、さっきの一振りで終わりですわっ……!」
猫七:『C7:そんにゃウソつかにゃくてもいいにゃ。そんなのどっからどーみてもボコボコ棒にゃ?』
姉乳:「だ、だからぁ──……!!」
私たちの腕力に、耐えられなかった鉄の刃!
アイアン・ソードの、成れの果て──……!
姉乳:「マトモに斬れる剣が──……」
妹乳:「無いんですのよよぉおおおお──!!!」
猫七:『C7:にゃ、にゃんにゃってぇえええええええ──!!?』
こうしている間にも、
ジワリジワリとカニの軍勢は近づいてくる!
具体的に状況が把握できる地図は、
いつもとは違った緊張感を生む!
取り囲まれていくわよ──!?
猫七:『C7:あ、あんた達、剣士さんじゃにゃいんにゃ!? にゃんで剣がにゃいにゃん!! 剣がないオッパイなんて、ただのオッパイに"ゃあ"あ"あ"ー!!』
姉乳:「やっっかましいわッッ!! これでも長持ちした方なのよッッ!!」
妹乳:「予想以上に相手の装甲が固くて……! 叩き込むように使うしかなかったんですのよ!!」
猫七:『C7:し、仕ッ方にゃいにゃー!! ニャーのストックからミスリルの剣を……』
姉乳:「──ミスリルはダメ!!」
妹乳:「け、剣のストックがあるのですか!?」
猫七:『C7:ニャーのダン……、アニキらが作った剣がそれにゃりにあるにゃ! にゃにゃ!? つーか、にゃんでミスリルはダメなんにゃあなッ!?』
姉乳:「私たちは銀の剣を持つと腕力が下がんのよ!!」
妹乳:「──鉄です!! 鉄の剣はありますか!!」
猫七:『C7:にゃ、にゃにその面倒臭いのーっ!!』
[ GBBBBOY--AAAAAAAAAA──・・・!!! ]
[ GMQB - GMQB ----──・・・!!! ]
[ NINTENDOWWWWW・・・SIIIXXFOOUUURR!!! ]
姉乳:「──!! きてるっ!! 来てるわよッッ!! ヒキハ!!」
妹乳:「ちきしょう! こうなったら、血の力を全て開放するしかっ……!!」
猫七:『C7:あ、アイアンソード系にゃら、いーんにゃんな!?』
姉乳:「!! ええ!!」
妹乳:「あるのですか!?」
猫七:『C7:まかせとけにゃあああ──ッ!!!』
──ぎゅぅうおおおん──ッッッ!!!
回転──!!
空気を裂く何かが、止まる音──!!
腰のすぐ横にあるのは、
金の──"小さな歯車"の、輪っか!!
私とヒキハに、それぞれ、ひとつずつ──ッッ!!!
猫七:『C7:それは"鞘"にゃ──!! 近接武器庫と空間接続して、そこから射出するにゃ!!』
妹乳:「おお!!」
姉乳:「──!? つ、つまり、どういう事よ!?」
猫七:『C7:そっから剣ヒキ抜いて、オシ斬れってことニ"ャあ"あ"あ"あ"あ"ああぁぁぁー!!!』
[ ──IIIIIXXXY-BBBBOOOOXXXYYYYY!!!!! ]
──" ガシャ、コン──・・・!!! "
──!!
────" 握り "──!!
──────にぎった!!
姉乳:「おぅらぁぁあああああああ──!!!」
妹乳:「でやぁあああああああああ──!!!」
──ブシュゥウウウウウウウウウウ──!!!
[ ──GGGGGAAMMMMMEE-GEARRRRRRR-----!!!?? ]
──斬った!!
──剣だ!!
──剣が、出た!!
猫七:『C7:ひえぇぇえ、次きてるにゃ!! 油断するんじゃにゃいにゃー!!!』
──!!
姉乳:「──ふっ!!」
妹乳:「──せぇええいッッ!!」
──ザッシュゥウバァァアスらァァ──・・・!!!
[ ──WWOONNMDDERR-SWWWWAAAAAANN・・・ ]
──ズズぅん・・・べちゃぉああ!
姉乳:「ふっ──!! この歯車、アイテムバッグなの!?」
妹乳:「い、いい剣ですが、小さい……!! 刃が欠けました!」
猫七:『C7:にゃ、にゃんですとぉおおおーッッッ!?』
次々と襲来する、
身長の二倍ほどの大きさのヨロイガニたち・・・!!
斬って、捨てる・・・!!
くそ、ヒキハの言う通りだわ!
いい剣だけど、これじゃ数分も持たない……!!
猫七:『C7:──ッ、"次の剣"を射出するにゃ!! 使い捨てる勢いで構わんにゃ!!! どんどんやれにゃー!!!』
姉乳:「──!!」
妹乳:「助かりますわッッ!!」
鉄クズになりつつある剣を捨て、
回転しだした小さな歯車へと手を伸ばす!
──シャコン、と! 軽快な音がして、
新たなグリップが突出していた!!
──にぎる・・・!!
姉乳:「い"りぃぃいいい・・・!!!」
下から抉るように──斬る!!!
[ SUUUUPEEEEERHHRR-FAMICCOOMMMUU──・・・ ]
──ずしゅあぁ・・ズズぅん・・!!!
姉乳:「──……ち、また欠けたわね」
悪態をつきつつも、
剣のストックがある事は有難い。
なんなの、この猫は。
クルルカンちゃんに言ったら、
一匹くれるのかしら。
猫七:『C7:にゃんちゅう腕力にゃ……!! ハードウェアの射出口を、ふたつにしたにゃ!! 二刀流でも三刀流でも好きにするにゃあああ──!!!』
──は?
手元を見てみると、
左腰と右腰、二箇所に歯車の輪が浮いている。
剣を抜くと、次の剣のグリップが突出する。
地図を見れば、一番近い敵や、
加速した敵の位置は丸わかり。
……"サポート"とは、よく言ったもんだわ。
この猫、超有能。
後で、カツオブシでも、あげようかしら。
姉乳:「──らぁぁあああああああ!!! ねぇ猫!! 鉄剣のストックは何本あるの!!」
猫七:『C7:ニャーナはニャーナってニャマエがあるにゃ!! アイアン・ソードに分類される武装は、全部で──684点にゃ!!』
姉乳:「ろっ……」
妹乳:「いっ、いま、ろっぴゃくと言いましたか!?」
猫七:『C7:慌てるんじゃにゃいにゃあ! 実際は試作品のモノや、大きさがマチマチなのもケッコーあるんにゃ……! ちゃんと使えて、刃渡りが中サイズの物は……だいたい100本くらいになるにゃ!』
妹乳:「……!! いま、私はもう12本目ですわ……!!」
姉乳:「私が……11本目、か……」
──いや、待ってよ……。
ろっぴゃくと、はちじゅう、よん……?
そんな量の武装……。猫の、絵空事?
いや……ここで嘘を言う意味は、見い出せない。
実際に、こうやって剣は次々と出ている。
そんな物を、どこに格納しているの……?
この歯車に、重みなんて、全くない。
ヒキハは、あまり違和感を顔に出さない。
前から……このアイテムバッグの事を、
知っていた……?
猫七:『C7:──振動を探知!! 前方の二体が、ジャンプして上から来るにゃ!!』
姉乳:「──っ!!」
妹乳:「上ですわねっ!!」
飛び降りながら襲撃してきたヨロイガニを、
また新たに出した剣で斬りあげる。
この猫……飼いたい。
いけない、今は戦闘に集中しないと。
この"剣のくじ引き"は本当に有難いけど、
やはり、細い剣や構造が実験的な物が、
多い印象を受ける──!!
私たちの能力で強化された腕力には、
あまり……耐えきれない。
ひしゃげる。
ひしゃげる。
ひしゃげる。
もし使えるのが100なら、
これは……まずい──。
姉乳:「ちッ──猫ちゃん!! もっと丈夫な剣はないの!!」
猫七:『C7:にゃ……ミスリルの剣は、貴重だからそんな造れにゃくて、でも何本かにゃら……!』
妹乳:「みっ、ミスリル銀は本当にダメです!! 剣が硬くても、私たちの力が低下してしまいます!!」
猫七:『C7:にゃ、にゃんにゃんにゃー!! じ、じゃあ、絶対に壊れにゃい刀、とかあるにゃけど……!!』
姉乳:「──何よそれッ!? つーか刀はダメよ!! あれ曲がってるでしょ!! 私たちは直剣の技に特化してるっつーか……!」
妹乳:「ちなみに、それ鉄ですかっ!? 鉄じゃないと、私たちの腕力が上がらないんですっ!!」
猫七:『C7:えっ、違うけど……。にゃ、にゃんにゃのサ……このワガママおっぱい共にゃああああぁぁ……!?』
──きぃいんん!!
今の鉄剣で、もう32本目だ……!
ヒキハと合わせて倍だとすると、
もうそろそろ、使える剣のストックの、
底が見えてきてるっ……!
姉乳:「た、たのむわ!! 猫ちゃん!! 鉄の剣で、なんか丈夫なやつよ!!」
妹乳:「お願いしますぅ……!! だんだん出る剣が小さくなってる!! サイアク、刃が無い棍棒みたいな物でも良いですから……!!」
猫七:『C7:にゃ、ミスリル銀もダメ……。時の結晶刀もダメ……主成分が鉄で……直剣で……じょうぶで……おおきいやつー? にゃにゃにゃ──ぁ…………? ──── あ ッ !!! 』
姉乳:「でやぁあああァァァアア──!!!」
妹乳:「──!? なにか、ありましたかッッ!!!」
猫七:『C7:あ、あるにゃ……!!! アレにゃ……!!! アレがあったに"ゃ!!!』
今、40本目の剣が砕けた。
猫の手も借りたいって、よく言ったもんよ。
猫七:『C7:アレは……"メッチャ丈夫な鉄の剣"ってコンセプトでミャーツ達が造ってたから、けっこう丈夫なはずにゃあ……!! たしか……大・中・小、の三本があるにゃ……! でも、ガッツリ男の子ロマン武器っていうか……かんなりデカいにゃよッッ──!? "大"は、おっぱいさん達の身長くらいあるにゃし、だから、アイアンソード群じゃなくて、バスターソード群に属して──……』
姉乳:「──ぇえい!! 私は二刀流が得意だから、それの"中"と、"小"は、ふたつとも私に寄越しなさい──っ!!」
妹乳:「──私は大剣が得意ですの!! いちばん大きな"大"は、私にくださいまし──っ!!!」
猫七:『C7:わ、わかったにゃ──!!! ちょっと待ってにゃ!!』
──!?
今ひき抜いた鉄の武器は──、
これ、槍っていうか、杭だわ!!
──投げた!!
でっかいカニが二匹、串刺しになる!!
猫七:『C7:……あっ!! ミャーツのやつ、アナライズ浸透硬化封印処置してる……!! あんのアホにゃ……! 名前つける時、さんざんバカにしたから意地になっとんのにゃっ……!? うにぁ、内側からも積層化しちゃってんのにゃ、えっとえっと解除コードは……』
姉乳:「なんでもいいからぁー……っ!」
妹乳:「はやくしてぇええ……っ!」
今、サーベルみたいなのが出た。
鉄だけど、これじゃせいぜい、
カニさんのキュートなお目目に、
プレゼントするくらいしかできない。
──ズシャアアア──!!!
[ DDDDDRREEEAAAAAMMM-CCCCAAAAASTTTOO!!? ]
猫七:『C7:──で、できたにゃ!! 解凍中……! こ、こんにゃの、ホントにおんにゃの人に振れるにゃか……!?』
姉乳:「持ち手があったら、振れるわよ……!」
妹乳:「換えの剣が無くなりました! おはやく……!」
目の前から迫る装甲。
抜刀のために、後ろに一度だけ引く。
さぁぁ・・・!!
次の剣、期待していいんでしょうねぇえええ・・・!!
姉乳:「引っこ抜く準備は──・・・!!」
妹乳:「もう、よろしくってよ──・・・!!」
まだか。
まだか。
まだか。
私たちの命運を分ける、その秘剣の銘を。
金の七番目の猫が、
高らかに読み上げる──────・・・!!
猫七:『 C7:──いきますにゃ!!
三連剣──"バタア・ナイフ "──!!
"ビッグ=バタア"──!!
"ノーマル=バタア"──!!
"スモール=バタア"──!!
すべて、射出しますにゃー!!! 』
姉乳:「 」
妹乳:「 」
……いま、" バターナイフ "って、言いました?
((o(。>ω<。)o))