フレームロック さーしーえー
前話なんて なかった。( ˆᴗˆ )ニッコリ
『────前方:岩場の陰に2体を確認。
────間違いありません。
────"ブレイン・イーター"です。』
『>>>暗視デバイスは直接、仮面の目の穴にハメ込むタイプにした! 照準器も展開できる! 落ち着いてやりな!』
少しだけ、移動の速度を落とす。
……! あの木の下の岩だな。
……居やがるわ。
「ウキッキー!!」
「クラウン、コマンドライフル!!」
『────レディ。
────左腕部に構築化。』
=KYIIIIIINNN・・・!!
「ローザ、ニードルスピアー」
〘------ノンプロブレム☆
------左腕部を武装変質しますのんっ☆〙
=GYYYIIIAAANNN・・・!!
腕の装甲が切り開かれるように展開し、
インナーマッスルと素肌に割り込むように、
銃身とコッキング・システムが形成される。
マシンガン・タイプと違い、口径は大きい。
カニさんくらいなら、いけるっしょ──……!
『>>>次弾、装填っ! 照準、任せなっ!』
〘#……やれやれ。弾は氷で良いのだな?〙
金色の、熱量。オレンジの回転。
白銀の、冷気。パープルの帯電。
スチャリと────かまえるっ・・・!
「「 ── 食 ら い な 」」
『────ガンファイア。』
〘------サンダーアクト☆〙
──デュゥウオオァァアアアアアンンン──!!!
──サァァァリリクォォオオオオンンン──!!!
金と銀の、弾丸が。
カニさんブラザーズに叩き込まれる。
轟くのは──。
破砕音と、貫通音───。
そして、断末魔の二重奏────。
[──BUGIEEEEEee──……!! ──、、 ]
[──BURASHAAAAAaaa──、……っ── ]
──バキバキ、ガガガ……。
──ズズぅんん……、……。
大きなものが倒れる音。
バッグ歯車が、飛ぶ──……!
────きゅぅううううんん──!
「ゥ、ウッキぃぃー……!」
『────対象の撃破を確認。食用可能。格納します。』
『>>>威力は十分だな……。後輩ちゃん、弾に歯車を使うのは、まずいかもしれない。敵の数が多いのなら、経験値の変換量は節約するべきだ』
「……そうね。そのとーりだわ──……」
私の歯車の召喚量は、
経験値の上限に比例する。
一度オーバーヒートしたら、
睡眠をしっかり取らないと回復しない。
マイスナにも……同じ事が言えた。
頭の上の相棒に、確認する。
「クラウン! ソルギアの使用と、弾丸変換。どっちが経験値の消費が激しいっ?」
『────ストレージ内の:
────高出力レーザーカノン集光装置を:
────稼動させた場合でしたら:
────ソルギア使用時の消耗が上回ります。
────ですが:熱量を炎状態で運用すれば:
────さほど経験値消耗はしないと予測。』
「ひ、久しぶりに、アンタの説明が分かりにくい……」
『────むむっ。』
なんか、懐かしい感覚のような……。
『────弱体化した炎を出すだけなら:
────そんなに疲れませんっ。ぷんぷん。』
「わっ、わかりやすぅ! そしてプンプンしてらっさるっ!」
『>>>ははは……。威力を弱めた炎なら、バッグ歯車から出せばいいだけだからね。でも、あのカッタそうなカニ共を倒すには、それなりの火力が必要かもな……』
『────威力は抑えざるをえません。
────それでも:森を焼き払う事はできますが……。』
「それは……却下よ。この子の家が、無くなっちゃうもの」
「ウッキキィー?」
「こら、クローザル。暴れちゃメっ、だよ」
「ウ……ウッキキ!」
お爪がステキな、小さなおサルさんは、
今、マイスナの左肩に、うまく乗っている。
合金の爪と、マイスナのヨロイの金属の部分が、
上手く変形して固定されてるんだわ。
これだけ速く移動しても、振り落とされない。
夜の地形が浮かび上がる視覚を確認しながら、
私は、ポツリと、つぶやいた。
「ねぇ……本当に千体、あんなデカいカニが居ると思う?」
首元のプレミオム・アーツの表示を見て、
疑うワケじゃないけど、
思わず神サマに問いたい気分だ。
精霊王は──返礼する。
自分が答えるべきだと思ったんでしょう。
〘------ごめん……なさい-☪︎
------私も全てのクエスト内容を;
------把握している訳ではないの……☪︎
------他のメンバーが担当したレイドクエストは;
------内容の擦り合わせが間に合わないまま;
------計画を実行してしまったから……☪︎〙
〘#……ふむ。ぶっつけ本番で世界を救おうとした、ツケという事か〙
〘------……☪︎.*・゜〙
『────ギンガ殿。
────あまり彼女を責めないであげてください。
────本来なら……私が記憶を失っていなければ:
────何かが判明していたかもしれないのです。』
〘------!
------クラウン……☪︎.*・゜〙
〘#……おっと、早合点しないでくれたまえ。すまない、少々無粋な言い回しになってしまった〙
〘------いえ……☪︎.*・゜
------ですが-;
------このレイドクエストは確実に;
------複数パーティ向けの仕様でしょう-☪︎.*・゜〙
〘#……君は小さな少女の姿でも、その喋り方ができるのだね?〙
〘------あ……☆〙
『>>>まったく……世界を巻き込んだゲームが、今さらこんな形で牙を向くなんてねー』
カニさん1000体クエスト、か……。
もう少しスモールなカニさんだったら、
食堂娘的には大歓迎だったんだけど──……。
「りょうかい! マイスナ、私が弾丸を使うとオーバーヒートが早まっちゃう。ゴメンだけど……射撃はアンタに任せたい! 氷の弾丸を使えば、経験値を変換しなきゃいけない鎖の使用は抑えられるはず」
「わかった。でも、アンティはどうするの?」
「ウッキキ?」
「焼きが無理なら、叩きってね。クラウン、ナックル固定して!」
『────レディ。
────左腕部の武装デバイスを解除。
────両腕のナックルガードを展開。』
『>>>やる気だよ、この子……』
──ガシャ、コ……!!
『>>>……わかっていると思うけど、気をつけな! 接近戦はこちらも攻撃を食らいやすくなるし、ぼくの仮面のチカラで高速移動し過ぎても、経験値は消耗するぞ? きみは持久力……つまりスタミナが経験値に依存してるタイプだ。疲れを感じたら直ぐに言うんだ!』
「わかってる……でも、このままじゃ……その子の家族が、さ──?」
「ウキぃ……」
作戦は実にシンプルだ。
森を進み、クラウンが敵を捜索。
できるだけ、カニさん大集合の所を探し出す。
そして、できるだけパッと倒す。
これしかない。
ただ……千体もいるのなら、
どこかでは大出力のデバイスを使わないと、
いけないかもしんない……。
それは皆、わかっているはず。
それまで、できるだけ、
"打撃"で、数を減らす──……!!
『────前方45メルトルテ先。
────ブレイン・イーターの集団を感知。
────対象:20。』
「マイスナ! 援護射撃、まかせた!」
「わかった!」
──きぃぃぃぃいいんんん・・・──!!
地面を蹴り、群れの中心を目指す。
[──GAGAGAGAGAGAGA──……!!]
[──KEUWIIt,KEUWIIt──……!?]
──やっぱ、でかい!
私の知ってるカニとは、何もかもが違う!
ヨロイみたいな外皮!
さっきは破砕弾で砕けたけど……。
おぉし……正面の二匹は、マイスナに任す!
すれ違いざまに、
軽く、カニの脚を殴った──!
「──てぃあぁっ!!」
──キィイイガコォオオオンン!!
──キィイイガコォオオオンン!!
[[ ──GYYYYIHHIYAHAAAAA──……!!? ]]
「ローザ、カニの口を狙う」
〘------レールガン起動;問題無シ──☪︎〙
〘#……くくく。出荷前には、冷やさんとな──?〙
マイスナの狙いは、完璧。
杭のような氷の弾丸は、ほとばしる紫電に、
包まれている──。
「じゃあ、しにましょうね」
──ギィィいイイぃぃぃぃんんん・・・!!!
──バリバリバリバリリリぃぃぃイ──!!!
[[ ──GUBEEEEeeeeEEE──!?!? ]]
うっへ、音、えっぐ……!
カニの口に吸い込まれた氷塊は、
多分、カニみそを貫いたのだろう。
「なぁんだ、中身はやらかいよ?」
〘------連射可能よ;止まらないで──☪︎.*・゜〙
「ぅ、ウッキぃー……!」
マイスナがカニを射殺している間に、
私は奥にいるカニ共の脚を、
打撃で叩き割っていく。
そぉ──……らぁ──……よぉいっっ……!!!
──バキぃぃぃぃイイ──ンンッッ!!
──がきぃいいいいいんん──・・・!!
──どがぎゃあああああんんん──ッッ!!!
[[[ ──GYYYYIHHAA,IYAHAAAA──……!!? ]]]
いけるじゃねぇか。
こいつも茹でたら、
美味いんだろうか?
『────ヨロイの出力で対応できるようです。』
『>>>そのようだね。しっかし……"ヨロイガニ系"って分析結果だったけど、これじゃ……まるで"エイリアン"だな! 怪獣の頭から、デカいヤドカリの手足が生えたみたいだ……』
〘#……くっくっく、カネトキよ。"異世界人"は、どちらかと言うと、私たちの方なのだぞ? くっくっく……!〙
『>>>せ、先生……笑い方、ヤバくなってますよ……?』
「おーし……いけ、そうねっ! マイスナ! そのまま頼むわ!」
「うん! 後で食べようね!」
わかってきた!
コイツら、ビックリさせたら口を開くんだわ!
外はカッタイけど、中はカニ味噌だ。
幸いな事に、このカニさん、
かなり口がデカい!
私がスキを作り、マイスナが狙撃する。
脚をへし折ったら、
そりゃービックリするでしょうよ!
{{ あら……私たちも応戦しようと思ったけど、大丈夫かしら? }}
『 ガルガルルンっ? 』
「よっ、と……! まだわからないわ! このままやってみるけど、数が増えまくってきたらお願いするかも!」
「でも、これくらいなら、アンティと私で倒せると思います」
うん……確かに、そんな感じはする。
マップ上のカニさんレーダーには、
まだ脅威になるほどの大群は映っていない。
こんくらいの範囲なら……丁寧にやっていけば、
倒せるんじゃないかな??
おっと──……うらぁ……!
──バキぃぃぃぃぃぃぃぃ──ッッ!!!
──ぶしゃあああ──ッッ!!
[ ──GELUGYAAAAAAA──……!? ]
「うおあああーっ!? 脚へし折った時の、汁が凄いんだけどぉーっ!?」
『────こちらの損害はありません。
────良いペースだと判断します。』
『>>>せっかくナックル装備してんだから、肘打ちばっかで接客すんのはやめなよー? ま、お母さん譲りなんだろーけど』
「カニに接客する食堂娘が、何処にいんのよ! うぎゅぎゅ……生臭い! 格納、格納!」
一体一体は、そんなに強くはない!
もう、20体以上は倒せてる。
撃破したビッグカニは、
ほっといたら魔物が群がって、
食べにくるかもしんない。
倒した順に、格納しまくっておく。
ち、違うわよ?
決して食欲に負けてるわけじゃあなくてぇー……。
『>>>……? 妙だな。その首輪に表示された敵の残数と、ぼくらが倒したカニの数があわないみたいだ』
「っ! そうなの!?」
『>>>ああ。たまに、ちょっとずつ減っているよ。て、ことは──』
先輩の言う通り、首輪の所に表示されている、
"クエスト情報"の残数カウンターは、
私たちが何もしていない時にも、
少しずつ減っていた。
「ホントだ、今、減った! 他の誰かも、カニ退治に参加してる人がいる……?」
「アンティ。もしかしたら、おサルさん達かもしれないよ?」
「ウッキー……!!」
街の冒険者さんらは、
リビのやつが、クエスト禁止にしているはずだし……。
マイスナの言う通り、
あのズボンサルのお兄さんが、
ぶちのめしてるのかもしんないのかな?
「ウッキ、ウッキキィ……!!」
「アンティ。あっちだって!」
「……! ま……行ってみましょう。どっちにしろ、千匹もあんなのがウロウロしてちゃあ、配達もロクにできないわ──……!」
『────前方:ブレイン・イーターの反応:多数。
────対象:55。』
……! 多いわね……!
うん、その方がいい。
まとめて倒せた方が、
効率があがるはず──……!!
「はんっ、マイスナ? 撃ち漏らすなよー!」
「ふふふ、アンティ! 誰に言っているの?」
〘#……やれやれ。千の敵にも、物怖じしないものだな〙
『>>>ははは……。以前、空飛ぶ焼き魚を500匹とか、相手にしてますからね』
[[[ ──BUhhGGYXSHEAAAAAAAAAA──!!! ]]]
「おやおや……いっぱいいるなぁー……、っと!!」
き ぃ ぃ い い ん ・ ・ ・ !
黄金のブーツを頭の上まで蹴りあげ、
ギアを回転させたまま、かかと落としする──!!
「──ふんっ!!」
──ギィィやァァァァァァァァんンンン!!!
[ ──BEGYA,VGAAAAaa──ッッ!! ]
お、割れよった。
これなら狙撃と打撃と、
分けた方がいっかな……?
「アンティ。頭下げて、かっさばいてみる」
「ぇ? うん?」
よくわからんが、嫁さんの言うことは、
嫁として聞いとこう。
──ォォオオオンン!!!!!
次の瞬間──、
刃渡り5メルトルテくらいのカマのような刃が、
頭上を、すり抜けていく。
「うおあぉっ!?」
「──たぁっ!!」
── ズ シ ャ ア ッ ッ ・・・ !!
ミスリル銀の死神の鎌のような刃には、
鎖が繋がっており、マイスナの手に接続されている。
カニさんは……20体ほど、ドタマがサヨナラした。
──フォン、フォン、フォン・・・!
刃は、マイスナの元へ舞い戻り、
白銀の鉤爪に、ナイスキャッチされる。
そ、それッッ、
でっかい刃物ねぇ──……!!!
「ウキキっー……ッ!?」
「えっへん、やったった」
「か、軽々と、ほぅり投げるわねぇー! アンタ……」
『>>>……世界一、物騒なブーメランだな……』
〘#……くっくっく……鎖は、刃に良く似合う……〙
あ……、先生の発言が、危ないわ……。
いや、今は目の前のカニに集中しましょ!
うらぁー!
「マイスナ! 右側、頼んだ!」
「あいさー! きれいにしになさい」
協力して、次々とカニを倒す。
うん、いけるわ……経験値は節約できてる。
{{ 大丈夫そうねぇ……。でも、横に広がった状態で攻められたら、たいへんじゃ、なーぃ? こう……"よこいちもんじ"、って言うの……? }}
『 がるぅー??? 』
『>>>あ、その時は、ホラ……。どちらか一方の端に行けば、結局、一本道になりますから。こっちの今のスペックでは、まず負けないとは思います』
{{ な、なるほど……っ! 仮面くん、そういう知略的なのは得意ねぇ……! }}
『 がるーぅん♪♪♪ 』
「どりゃーっ!! ま、あんまりにも広範囲に居るときゃ、腹くくって、空飛びながら集中砲火しますから」
「上空から連続で電撃くらわしてもいいと思うよ。きれいには、しなないけど」
{{ ……貴女達、恐ろしい育ち方したわねぇ…… }}
『────こちらに損害はありません。
────次のポイントは75メル先です。』
『>>>もう100は倒してるし……油断しなかったら、いけるかなぁ?』
〘#……ラストはそれなりに厳しくなるやもしれん。最低限の運動で倒す。それが良い〙
表示カウンターを見ると、889……。
ぉ? いま、888になった……!
やっぱり、私たち以外にも、
誰かが、カニを倒してる……?
「……まさか、ヒキ姉だったりして?」
「アンティ。他の女の話はやめて」
「えっ……!? あっはは……!」
まさかの嫉妬に苦笑いしながら、
次のカニポイントに直行する。
夜の森も、ずいぶんと慣れたもんね。
〘------後は……;変なボスとか;
------出なければいいのですけど……☪︎.*・゜〙
〘#……! ……、……〙
「──!! クラウン、感知できてる!?」
「目の前のカニ、凄くおっきいのが居ます」
『────確認しました。』
『>>>っ!! 今までの三倍はありやがる。アレは、歯車の弾丸の方がいいかな……?』
月の下のカニさんシルエット。
たぶん……10メルトルテくらいはある。
その周りには、さっきのサイズのザコガニが、
ウロウロしてやがる。
「……。クラウン! ライフル頼むわ」
『────推奨します。
────お待ちください。』
「ローザ、私も銀の弾丸を使います」
〘------了解したわ-☪︎
------すこし;本気でやるのね-☪︎.*・゜〙
[ BACROOOUUOONNN────……!!!!! ]
──ドォオオン!! と、いう音がして、
それが、巨大ガニの足音であると気づく。
油断はしない。
まずは、確実に倒せる武器で、力量を計る。
私たちの腕が、機械仕掛けの銃身に、
コンバートされていく──。
「"速達"のお時間ですよ、っと──……!」
「お受け取り、よろしくお願いします」
かまえる。
狙いは、外さない。
「「 うて 」」
────ガ・き・・・!?
──……!?
「クラウン、なんで弾がでない?」
「──!! うでが動かない!!」
そん……、なぅっ!?
こんっ──。
『────身体内蔵フレーム:
────関節部に異常発生。』
『>>>バーニヤ右門に開くぞ。
>>>緊急回避する、手を繋げ!!』
「マイ──」
「アン──」
とっさに掴んだ、白銀の手と共に、
推進力が、横方向へと爆発する──!!
────ド!!!!!
「ウッッキャァア──!?!?!?」
その瞬間、私たちに向かって。
[ GI・GI・GI・GI・GI・GI・──・・・! ]
──ズ ォォ オオオ オオオオオオオ!!!!!
でっかいカニの、
山みたいなハサミが、振り下ろされた──・・・!!!
((((;゜Д゜))))










