絵描きたちに祝福を 後 さーしーえー
とうとうこの日が来たか……(*´﹃`*)
ごうん、ごうん、ごうん────……・・・!
『C2:うわー……すごいみゃ……!』
『C7:にゃわー……。もう完全に、別物にゃん……』
掃除中の二匹の猫の目下。
幻影を泳ぐ、巨大な船が通り過ぎた。
──── 箱庭フォートレス "天福" である。
ごうん、ごうん、ごうん────・・・!
『C2:なんか、名前もちょっと変わってるみゃ……?』
『C7:クラママが、ミサイルで戦闘なんかするからにゃっ……!』
かの猫の番がいる場所は、
ストレージ内に格納された、氷の館である。
無断外泊が過ぎた二匹の猫は、
偉大な母より、館内の清掃を命じられていた。
ある者たちの戦闘により破損した箱庭フォートレスは、
自動修復の際、一定レベルの武装構成が顕現している。
それはもはや、
"戦艦"と言っても、過言ではないフォルムであった。
無限の空間に浮く、時越えの館から、
二匹の猫が、見下ろす────。
ごうん、ごうん、ごうん────・・・!
『C2:みゃおぉ……! かっこいい流線型みゃっ……!』
『C7:あそこ、砲門が生えてきてるにゃ……にゃにを撃つんにゃんな……』
約200メルトルテの船影は、
朱色の城と、金の葉の黒樹を乗せ、
悠然と泳ぎ去っていく。
動力不明の巨大なエンジン。
天魔の如く相対のウイング。
和洋折衷、鬼斧神工の姿が、そこにあった。
『C7:にゃんで名前、"てんぷく"になっとんのにゃ……。船に付けたらイチバンあかん、縁起でもないお名前すぎるにゃ……』
『C2:みゃ、みゃはは……』
箱庭フォートレス"天福"は、空間の波を裂き進み、
幻影の霧に消えていった。
『C2:さて……掃除再開するみゃ?』
『C7:うなぅ〜〜、キリがないにゃ〜〜……!』
"二代目狂銀"、"紫電の魔法使い"こと、
マイスナが二年間、隠れ潜んでいた氷の館は、
元は、遥か昔の郵送配達職に由来する建築物である。
アンティ達が見つけた、
シンエラー教授らしき者の痕跡から、
この屋敷は300年以上前から存在していたと考えられる。
ポッカリと穴が空いていた屋敷の入口は、
今は、見事に修復されつつある。
だが、冷気と稲妻の力に晒され続け、
いくつかの内装は修復が難しい。
傷ついた家具や備品は、
もれなくソルギア行きとなっている。
今、二匹の猫がやっているのは、
無数にある額縁の修復であった。
……が、ご……!
『C2:うぁっ、ぷぁ……!』
『C7:だ、大丈夫にゃ……?』
『C2:う、うん……。この絵もダメっぽいみゃ。元に何が描かれてたかも分からないみゃ……』
『C7:それはソルギア行きでいいにゃ。額縁はどうにゃ?』
『C2:ちょっと金の塗装が剥げてるけど、これもそんなに傷んでないみゃな……』
『C7:にゃーう、冷気に強い木材なんにゃ……? とりあえず新しいキャンバス入れるにゃ! サイズ言うにゃ?』
『C2:えーっと……F50……って裏に書いてあるみゃ』
『C7:にゃむ、これにゃな……ほれにゃん!』
氷の屋敷は、貴族の者から見ると小さいが、
それでも十分に大きく、
掃除の前に、二匹の猫は探索を行った。
途中で、絵の具や絵筆、イーゼルやナイフといった、
画材が集められた部屋を見つけたのである。
そこにあった麻布が張られたキャンバスは、
長年の自然諸々の猛威からの浸食を逃れていた。
二匹の猫は、それらを屋敷中の"絵だった物"と、
入れ替えていくことにしたのである。
『C2:よい、しょっ、と……。これでいいみゃ?』
『C7:バッチリにゃ! けど、やっぱりそんな豪華なフレームに、無地のキャンバスが入ってるのは……さみしいにゃー』
『C2:ふふ、誰かに絵を描いて入れてもらうかみゃ?』
『C7:にゃー! こんな豪華な御屋敷の、これまた豪華な額縁に自分の絵を入れられるなんて罰ゲームにゃん!』
『C2:みゃふふ……楽しいと思うけどみゃー』
『C7:ふーん……? じゃ、ミャーツ描いてみるにゃ!』
『C2:ふふ……なら、モデルになってくれるかみゃ?』
『C7:にゃ……! ……ば、ばかっ。し、しっかし……この御屋敷は絵が多かったんにゃなー!』
『C2:うん、そうみゃな── 』
ほぼ全ての絵は衛生面に問題がある。
画材を集めた部屋があるという事実。
かつての主人が、絵を嗜んでいたか。
画家を、住み込みで働かせていたか。
今となっては……誰も知る由もない。
入れ替えたキャンバスの数は、
もはや、数十を超えていた。
『C7:む、ミャーツ……こっちの額縁のナカミは大きいにゃ。一度、あの部屋に取りにいくにゃ?』
『C2:ほんとうだみゃ。こんな大きいのあるかみゃ……?』
少し入り組んだ所にある画材部屋に、
二匹の猫は行く。
無地の麻キャンバスは大量にあり、
とても大きな物は、奥の部屋に格納されていた。
なんとか、窓のロックを外す。
がた……ごとんっ!
きぃぃ……!
『C2:これで見えやすくなるみゃ』
『C7:こっちの部屋にもあったんにゃな……!』
『C2:ニャーナ、気をつけるみゃ。ここはまだ掃除してなくて、床に何があるか──……』
──がっ!
『C7:にゃっ──!』
『C2:─── 』
七の猫が筆を踏み、
二の猫が駆けつける。
──がしっ!
──どっ、がたんっ……!!
──ころころ……。
『C2:……、……』
『C7:……、……』
二匹の猫の倒れ込んだ姿は、
ご想像にお任せする。
『C7:……………にゃん』
『C2:……ふぅ、言わんこっちゃないみゃ……?』
この兄妹機は、亜光速の旅にて。
他の者たちとは違う時を過ごした。
約100日の片道。
およそ一年間の旅。
そして、帰りの、約100日──。
互いの良い所も、悪い所も。
知り尽くしてしまう、旅だった。
『C2:……///』
『C7:……///』
密着しているが、離れようとはしない。
なるほど、人目がない空間であった。
『C2:……いつか』
『C7:……にゃ?』
『C2:いつか、ちゃんと。みんなに言うみゃ』
『C7:……にゃん?』
『C2:ニャーナのことが、好きだって』
『C7:にゃ……!』
七の猫は、ぷるぷるする。
くわっと、言葉にする。
『C7:そ、そういうトコロにゃ!』
『C2:……みゃっ?』
『C7:そうゆートコロが、クルパパにソックリだって言ってんのにゃ……! あんま気にしてないから言うけどにゃっ……! イッチバン、クルクルパパの特性を引き継いでるのは、ミャーツ! おみゃーだにゃっ!』
『C2:えっ、そ、そうみゃか……?』
『C7:──そうにゃ! 尽く天然主人公属性で、知らん間にメスニャコブレイクしてる……そんなタイプだにゃっ……! にゃんにゃんにゃん……!』
『C2:みゃ、お、怒ってる……?』
『C7:お……怒ってないにゃっ!』
※まだ、倒れ込んで密着しています。
『C2:……──』
『C7:にゃ……?』
もう言っちゃうと後ろから抱きつく形のミャーツは、
なるほど天然タラシの如くアクションを起こす。
────あごクイである。
『C7:……っ!』
すっ──。
そっと、手でニャーナの顔にふれ、
ごく自然に、自分のほうに向ける。
『C7:〜〜〜〜……っ!!///』
ニャーナは、こいつシバいたろかと思いつつも、
なされるがままに、目線を合わせた。
顔が、あつい。
主導権が霧散し、
見つめ合う中、思考がショートする。
『C7:/// ///』
『C2:やっぱり、きれいみゃ』
『C7: に 』
昔のニャーナなら、シバき倒してる。
『C7:にゃ、にゃおぉ……///』
『C2:知ってたみゃ?』
『C7:にゃ、にゃにが、にゃあ"ぁ"ぁ"……///』
※しつこいですが、密着して顔が至近距離です。
『C2:キミの瞳は紅いけど……近くで見ると、ほんのりの黄金が混じってるのみゃ……』
『C7:……!』
『C2:みんなのも見たけど、ニャーナだけだみゃ……。本当に好きな色みゃ── 』
『C7:に、にゃー……! 』
※あえて言いませんが、クリティカルヒットです。
『C2:もしかしたら、ドンの影響をイチバン受けてるのかもしれないみゃ。ふふっ』
『C7:にゃぅぁー…… 』
※この時のミャーツの笑顔は、
ニャーナ的にはトドメでした。
『C7:……』
『C2:……』
※顔が、徐々に近づいております。
『『C2&7:──…… 』』
※キスしそうです。
────ゴトッ……。
『『C2&7:──にみゃっ……!? 』』
※おしい!
『C2:みゃ、みゃんだ……?//////』
『C7:にゃ、にゃに……?//////』
※我に返った二人は、とても恥ずかしそうです。
『C2:だ、誰か、いるみゃか……?』
『C7:のっ、覗きだったら、ぶっ殺す!!!』
※ニャーナさん、物騒です。
『C7:にゃにゃにゃ……! にゃにゃにゃ……!//////』
『C2:お、落ち着くみゃ……/// 一緒に見に行くみゃ……?』
ドギマギな二匹の猫は、
すぐ隣の画材部屋へと、
ソロり、ソロりと様子を見に行く。
確かに、物音は聞こえたのである。
『『C2&7:……』』
わずかに光量がある古い部屋。
お化け屋敷に思えなくもない。
こんなバカップルがいるなら、
本来なら脅かされるが、筋ではあるが──……。
『C2:……だれも』
『C7:いないにゃ……?』
目を見合わす二匹の猫。
その後、キョロキョロと辺りを見回す。
あ、手を繋いでますね。
あらー、無意識ですかー?
『C2:みゃ……?』
二の猫が、ふと、気づいた。
床を、指さす。
『C2:ニャーナ、それ……』
『C7:にゃ?』
画材部屋の床に、帽子が落ちていた。
落ち着いた深緑のフェルトでできた、
べレー帽のようである。
七の猫は、そっと拾い上げ、ホコリをはらう。
『C7:……見るにゃ。耳の形が、突っ張ってるにゃん』
『C2:……! ホントみゃ。まるで"ネコ耳ベレー帽"みゃな?』
深い緑の帽子には、
確かに獣人が使うかのような、耳袋が備わっている。
──かぽっ!
『C7:……──えいっ!』
『C2:みゃわっ』
『C7:……! ぷくく、似合わないにゃ!』
七の猫はケラケラと笑い、
二の猫から、深緑の帽子を持ちあげる。
『C2:昔、獣人の絵描きさんでも居たのかみゃ……?』
『C7:ふんっ、知らんにゃ! 興が削がれたにゃ……! まったく、もうちょっとで……ふ、ふにゃぅ── 』
『C2:あ。ち、ちょっと待つみゃ── 』
七の猫は、ポイッとフェルトの帽子を投げ、
画材部屋から出ていってしまった。
後を、二の猫が追いかける。
どうやら、今日の作業は終えるようだ。
静かになった部屋の床に、
耳袋つきの、深緑の帽子が、
ポツリ、と置かれている────。
──────おきづき、だろうか。
そう、この、帽子の持ち主こそが、
全ての、元凶とも言えるのである。
────ごとっ。
帽子は、動いた。
────ゴトゴトっ!
ゆれている。
誰かが、気づくべきだった。
なぜ、ここにあるかは、わからない。
だが、今ここで、とめていれば、
あんな事には、ならなかった。
ニュルリと、帽子から。
何かが、はみ出した────。
ごとっ……!
ぶくっ……ぷくく……!
深緑の帽子から、
白い、何かが、
膨れゆく──────。
ぷぐっ……!
ぷぐぐっ……!
ぷぅ、ぷぅぅうううう─────っ・・・!
風船のような白い物が、
深緑の帽子を持ち上げる。
何かが、生まれようとしている。
やがて、瞳ができた。
腕が、生えた。
白い。
真っ白だ。
筆と、パレットを持っている。
まずい。
まずいぞ。
まずいことに、なった────。
『 ──ニョロォォオォオおおおぉぉぉぉおお・・・!!! 』
──こいつ、続き、描きよるぞ。
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" おえかきゴースト " が 復活しました!▼
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『にょろにょろにょろ〜〜……、にょろおぉ?』
足元には、大量の画材。
屋敷中にある、無地のキャンバス。
猫たちは、いない。
────独壇場である。
『にょろ……にょろにょろおぉぉ〜〜( ✧﹃✧) カッ!!』
────" 原作者 " は、解き放たれた。
+ ∩∩
|◉◉|
《| |》 待たせたな……!
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