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ちちうえのこのこバーニング さーしーえー

シーニャの目次絵を再利用して追加。(๑´ω`๑)‬

クリックして拡大するとセリフ出る(笑)



 ずっしり。




『>>>…………』


『C4:おきろにゃー』


『>>>……やぁ』


『C4:おきたにゃー』


『>>>……シーニャ。ぼくが言いたいこと、わかるかぃ……?』


『C4:シーニャは服に屈しない』


『>>>はぁ……。好きでもない男の上に、裸で馬乗りしちゃダメだ……』


『C4:シーニャ馬じゃないにゃ。パパうえの事すきー』


『>>>……きみが今乗ってるのは、ぼくの(ハラ)だけど……もう少し下なら……ぼくの元いた世界では、完全にアウトなんだ』


『C4:パパうえだから、無問題(モウマンタイ)ー』


『>>>パパ上ってなんだい……パパ、か父上でいいじゃん』


『C4:乳飢え?』


『>>>二度とそのチャットログは流すな。ほれ、のきなさい。どっこいしょ……』


『C4:わー。にゃー☆』


『>>>……きみ、また先生の白衣パクってんのか……。どうせなら前を閉めなよ、なんで閉めないの』


『C4:たなびいて、かっこいい』


『>>>そんな理由だったか……』


挿絵(By みてみん)

『C4:シーニャは歯に衣着せぬ、まっどさいえんてぃすとになるー』


『>>>突っ込まないよ。いいから、裸白衣はやめなさい……。──!? ずいぶん明るいな。今は、お昼かぃ?』


『C4:んーん、今はよるー。"りんじメンテナンスちゅう"だから、"ちゅーやぎゃくてん"してるー』


『>>>あ、そぅか……! 前日の夜に備えておこう、って言ってたっけ……? やば、寝すぎたな……』


『C4:シーニャはパパうえを(はげ)ましにきたー』


『>>>……うん。ありがと』


『C4:うしろのかみ、ほどけてるー』


『>>>……! あ、ほんと……』


『C4:メンテナンス、てつだってくる。ばぃばぃー』


『>>>あぁ……。──あっ、おい服ッッ!?』




 ──とととたとたとたとととととと──………………。




『>>>……がんばれ、ミャナミ……。ふぅ、よい、しょっと……!』




 ぐんっ、────トン……!




 反動をつけて、起き上がる。


 ずいぶんと、ふて寝を決め込んでしまったみたいだ。


 あー……、しまったな……。


 これが例のメンテなら、明日は王女様の誕パ、当日だ。


 いや……もう今日かも知れない。



挿絵(By みてみん)

『>>>……クラウンちゃんに、記録(ログ)、見せてもらいに行くか……』




 "箱庭フォートレス"のシステムメンテナンスは、

 後輩ちゃん達が寝ている夜間に行われる。


 その時に辺りが暗いと、

 さすがに色々と支障が出るので……。


 箱庭全体の日照時間の同期が、

 限定的に解除されるってわけだ。


 今、現実世界と箱庭とでは、

 昼と夜が、あべこべになっている────。




『>>>……時差ボケの気分だな』



 ……ポリポリ。



 シーニャが言ったように、

 いつもは3つにまとめている襟足(うしろがみ)は、

 すっかり(ほど)けて背中の方に流れている。

 ……今、結び直すのは、めんどくさい……。


 上半身裸で寝ちまってたらしい。



『>>>……ハラ出して寝るとか、ガキかっての……』



 少しだけ()いた(ふすま)(ひら)ききり、

 (つや)のある木の廊下を、ぺたぺたと歩く。



『>>>……』



 仮初(かりそめ)の世界でも、

 晴れていて良かったかもしれない。

 いやっ……、気にしてない。

 ぼくは、気にしてないぞ。

 目覚めもスッキリ、今日も元気だ。



『>>>ぼくは気にしてない──そうだろ、金時(かねとき)! さぁ、みんなを手伝いに──』


【 なぁにを一人で、しゃべっとんのや 】


『>>>──うっうぉッッ!!』



 フゥぅ────……っと。

 サキさんが、キセルを吹かしていた。

 柱にもたれて、黒髪をおろして。

 おデコの小さな金の角は、

 チョコっとおふたつ、天を向く。



『>>>あっ……こんちゃっす……』


【 ──か。今は" こんばんはぁ "が正しいぇ。何を腑抜けとるか。ハラ出して歩きよってからに 】


『>>>ははは……』



 よく見たら、ぼくが下に着てるのって、

 ズボンじゃなくて、着物っぽい……?

 何コレ、はかま(・・・)……?

 や、和風な艦内には合っているけどさ……。

 



【 切腹から逃げてきたみたいやのぅ 】


『>>>……。ま、似たようなもんすから』


【 あ・ほ! 真に受けんな、(たわむ)れじゃ── 】



 フゥぅ────……、、。

 キセルが離れた口元から、白い煙がとける。



【 前から聞きたかったんやがの 】


『>>>?』


【 なんで襟足、伸ばしとんのじゃ 】


『>>>えっ』



 なんでって……。

 あー……。



『>>>ぼくって、昔……ヨロイが時間停止して、飲み込まれていったじゃないすか』


【 おぅ 】


『>>>その時に動いてるもんって、ゆっくり伸びる髪くらいでしたから、何となく……生きてる証明っていうか?』


【 ……前髪は自分で切っとったんけ? 】


『>>>いや……ホラ、前から凍っていきましたから……その……摩擦で。動いてると、境い目が勝手に千切れて、知らない間に短くなっていって──』


【 はぁ──!! おもいおもぃ。やめじゃやめっ! 】


『>>>っ! じ、自分から聞いたんじゃないっすか! く、くく……』


【 む、おまんさん……。笑い方が、せんせぇに似てきよったぞ? やめぇやめぇ、おまいまであんななるな! 】


『>>>ははは……あんなキリッとできませんって』



 なんだかんだ、よくしゃべる仲だ。



 時差ボケ中の、

 ホワっ〜〜っとした(サキ)さんと別れ、

 キレイな朱色の廊下を歩くと。


 真横に、神社の入口にあるような、

 水が湧く石の(うつわ)が見えた。

 ……和室の中に。

 いや、庭に置けよ。



『>>>……』



 思わず、ガッツリ見る。

 石の風呂みたいな所の上に竹が渡してあり、

 ひとつだけ、柄杓(ひしゃく)が置いてある。

 なんだコレ……。



『>>>……手水(ちょうず)、ってヤツだよな……』



 本来、畳があるべき場所は、

 竹のスノコみたいになっていて、

 水を流しても平気そうだ。

 繰り返し言うけど、和室の中にある……。

 ……さっすが、摩訶不思議・異空間だ。

 いや、確かにこの船、

 鳥居とかあるけどさぁ……。



『>>>……』



 本来は手とかを洗うんだろうけど、

 ぼくは柄杓(ひしゃく)を手に取り、

 ちゃぷんと汲み、頭から水を被った。



 ──パシャっっ……。



『>>>──ッ、つっ……めて……! お──』



 水の湧く石の器の裏に、

 墓参りで使いそうな手桶がおいてやがる。

 ……ジョートーだ。こちとら死んでるからな。

 それを使って水を()み、

 豪快に被る──。



 ──バシァァャャァアあああ──っっ!!



『>>>……──ッッ……! ふぅ──……!』



 ちょっと、スッキリした。

 ……これ、行水(ぎょうずい)だな。


 体の水をろくに()かず、

 ボタボタと(したた)らせながら、

 廊下に出る。


 擬似の太陽は、中々きれいに照り射している。




「「あ」」


『>>>あ』




 後輩ちゃんズに会った。




「……な、なんでそんな、ベトベトなのよ……」

「……うえ、はだかだ」


『>>>……行水(ぎょうずい)してたもんで』


「「ぎょうずい……?」」




 ふてぶてしく、対応する。




「ねぇ、アンティ……」

「あ、うん……」


『>>>?』


「その、ごめんなさい」

「ごめんなさい……」


『>>>……なんだい、急に』


「いや……だって。私たちの同期、マシ(・・)にしてくれようとしてたって……聞いて……」

「すっごく、頑張ってくれてたって……。でも、無駄になっちゃって……しちゃったから」


『>>>……』


「「ごっ、ごめんなさい……」」




 …………。

 う──ん……。

 はっ。

 たまには、そのまま言うか。



 ──ガッ・・・!



「「──ぶべっ!?」」



 両手でそれぞれ、ほっぺをはさむ。

 ヒゲイドさん方式だ。



『>>>──その通りだぁ、このやろォ──ォオ……! こっちが必死こいて組んだ分離プロセス、ぜぇ──んぶ、パァだぞ、ぜんぶな……! ダメ元でな、ぶつけてみたんだ、きみらの流路に。きれーぇいにレジストされて、プログラム自体が消滅したよ』


「……」

「……」


『>>>……けっ。きみらの恋路を邪魔する気はない! でも、責任をとれるような行動をとりやがれ』


「「 っ" 」」



 2人のほっぺを離し、

 ポン、ポン、ポン、と頭を優しくタップする。

 髪を乱さないように気を使うのがコツだ。



『>>>……全く、本当に見ていてハラハラするったら……』


「「ぬ、ぬゅぅ……」」


『>>>"必要な時に自分を律しろ"。おーけー? 先輩からの有難(ありがた)ぁ──い一言』


「む、むっ! り、律してるもん! そのっ……今日はパジャマ着てるしっ……!」

「きょ、今日はアンティと、イチャイチャしてませんっ……!!」


『>>>……ふぅ。いいかぃ? ぼくは、きみらの果たし合いを直接は観測しないようにしてる。当然だ……。でも、万が一の時はあるから、きみらの簡易行動ログは、毎晩、クラウンちゃんを通して報告をもらってる』


「「──えっ!?」」



 ──ヴォン。


 アナライズカードを出し、

 箇条書きのシンプルなログが書いてある画面を、

 ふたりの顔の正面に表示した。



『>>>はいっ、これな。今、夜の2時40分だ……見ろ。きみらは二人とも、パジャマを脱ぎ始めた』


「「え"え"っ……!」」


『>>>そこら辺の神に誓ってもいい。きみらは朝には、乙女サンドだ』


「「……!! ぐっ……!?」」


『>>>ダメ押しで、言わせてくれ』



 ──ビシィっ!



『>>>──脱ぎグセが無くなってから頭さげにきなっ──!!』



「///……っ! せっ、せんぱいのっ……!!」

「///……っ、バカァぁぁあ────!!」



 ドドダドダドダドダドドドドダドド──………! 



『>>>よォし……言ってやった』



 はははっ……顔を真っ赤にして、

 元気よく走って行きやがった……。



『>>>……。ま、謝罪は受け取っとくさ……』



 結構、意識加速して組んでたからなァ……。

 中々、精神的ショックがキツい。

 体感時間だと、1ヶ月間分くらい、パァだな……。

 これくらいは、イタイ目みてくれていいだろう。


 

『>>>死ぬ気で努力しても、ダメなタイミングって、あんだよなぁ──……』



 過去の自分を慰めてるみたいで、

 虚しくなりながらも、

 ぺたぺたと、歩き出す。



 はぁー……。


 "あの時、こうしときゃ、よかったなぁ"ってのが、


 デカイな……。



 結婚式の前に、実行してたら。


 必ず(・・)、上手くいった。


 上手く、いったのだ────。




『>>>やってみたことに意味がある。失敗は糧になる……』




 意味を解釈し間違えると、

 反吐が出るような言葉だ。


 やってみる、というのは、

 無計画にチャレンジする事じゃない。

 絵を、初めて人に見せる事に似ている。


 失敗は、その場での屈辱だけじゃない。

 本当にやりたい事なら、燃料となる。




『>>>でも、そんな風に、きれいに割り切れるようにゃ、出来ちゃーいないっ!』




 ぼくの、ガキくせぇ魂はっ……!!




『>>>あぁ、ダメだ……。ひっさしぶりに、すげぇナーバスだ……』



 ほんっと、勘弁しろ。

 後で、後輩ちゃん達に謝った方がいいかな。

 謝ってきた相手ディスって、

 謝り返すって……なんだかなぁ……。



『>>>あぁーダメだっ、黄野(おうの)金時(かねとき)、プラス思考だ! ポジティブに考えろ! お互いに、絶対命令権があるって事は、無意識にとってしまう危険行動を、相互命令して事前に制限するような利点もあるはずだぁー! 崖に近づくな、とか、とんがった木の枝は避けろ、とか、ヤバそうな物は食うな、とか……!』



 ぐおおおお……!



『>>>……あぁ……誰か、ぼくをプラス思考へ戻してくれ……』




 はだしのぼくは、歩く──……!


 ……どこへ?



 転送術式がある部屋に着く。


 ま、会いに行く人は、決まっているんだけれど──。








 ───── ──── ─── ── ─>>>









挿絵(By みてみん)

『────カネト! 起きたのですか。』


『>>>あぁ、やぁ……』


『────:……、……、……。

 ────その格好は:どうしたのです。』


『>>>……あっ!』



 (ほど)けた髪。

 上半身、裸。

 下は、なぜかハカーマ……。

 おおっと……こりゃあダメだ……。



『>>>……、……』


『────?。』


『>>>……正直に言う。元気が無い』


『────ふふふふふふ……。』



 奥さんに笑われた。



『>>>……さっき、ちょっと後輩ちゃんズに当たっちゃってね。謝りに来てくれたんだ。後で謝り返す』


『────ふふふ:そうですか。

 ────今回の件は:あの二人の自業自得な点もあります。』


『>>>意外な発言』


『────私も敢えて放置してしまいました。

 ────恋愛の経験が不足している事に起因。

 ────尊重する事と:問題点を指摘する事。

 ────この両立を:今後の目標としています。』


『>>>前向き、だねぇ……』


『────なるほど。

 ────確かに元気が無いようです。』


『>>>ちょっと、ハマっちゃってね……。ぼくが寝ていた間に、何かあった?』


『────王室図書館・分室に保管されている:

 ────書籍の誤字脱字の調査を:

 ────200冊ほど実行しました。』


『>>>……………………ちょっと、簡易ログ見せて』




 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>……loading▽




『>>>ま、マリーさんに言われるがまま、200冊の誤字脱字の箇所に、全部ッッ、ふせんを貼ってたのかっ──!?』


『────も:申し訳ありません……。

 ────得意分野でしたので:

 ────私も:つい……。』


『>>>いや──、金を請求しろっっ!! タダ働きにもホドがあるよ……っ!?』


『────だ:代用報酬としてはなんですが:

 ────パーティの開始時刻と:

 ────プレゼントの渡し方のレクチャーを受けました。』


『>>>い、いや……それくらい普通に聞けば──……ん、プレゼントの渡し方って?』


『────直接:渡さず:信用できる誰かに預ける。』


『>>>──当たり前だッッ! 相手は王族だぞッッ!? つーかロザリアに聞け! アイツなら王族のパーティとか、やたら詳しく知ってるって!』


『────あ。』


『>>>あっ、て、きみ……ははは。じゃ、何か、そんな情報と引き換えに、司書みたいな仕事、大量に押し付けられてたのか』


『────そ:そうなります。』


『>>>なにやってんだ……はははっ』




 そんな仕事した後で、ぼくに謝りに来たのか……!

 くくく……、食堂娘的にはむしろ、

 タダ働きの方が問題だろうに。




『>>>ははっ……! やれやれ、クラウンちゃん。一応、ちゃんとログ見るよ。メンテナンスは?』


『────ええ……正常に完了しました。

 ────なんの問題もありません。』


『>>>そっか。お疲れな──』


『────:……、……。』


『>>>あ、わり。そこ、いぃ?』


『────は:はいっ。』



 ホログラム・コックピットが展開し、

 クラウンちゃんに、

 いつもの居場所を空けてもらう。

 後ろ寄りの座席に、しゅるりと滑り込む。

 ま、でっかい椅子に2人で座ってるような所だからな。

 ぼくが彼女の背もたれになるようなスタイルだ。

 

 あ……ハカーマで上半身裸で、

 髪もボサボサだ……。

 ……。

 まぁ、この子になら、

 恥ずかしいとこ見られても、全然……いい。


 ぬぉっ、

 背中に自分の髪が当たって、くすぐったいや。



『>>>恥はかき捨て、世は情け……ってやつだよなっ?』


『────:……、……。』


『>>>……?』



 ……? 変な表情だな。



『────あなたが……:

 ────元気になる魔法を使えるかも……しれません。』


『>>>……ぅん? ……そんなものが、あるのかぃ?』


『────確証は:ありませんが。

 ────多分……大丈夫だと思います。』


『>>>……。それって時間かかる? それとも……すぐ済む?』


『────けっこう:すぐ済みますよ。ふふふ……っ。』


『>>>……? そりゃ、願ってもない話だけど……??』



 




 ──クラウンちゃんは、


 目の前の座席で、くるっと回転して────。






 ────きゅっ……。







『────あなたの肉体(ボディ)を見て:欲情しました。

 ────今……:抱いてくれますか。』


『>>> わ……ぉ 』










 ……うん。


 好きな人って、最強だ。






壁は友達、殴っちゃダメだ……(;º言º)ゾッ

ま、マジでやめなさい……っ!(´;ω;`)

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