双ノ絶完 さーしーえー
✩°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
────ばべぼぉんんん──ッッ!!
アッパーの歩行が始まった。
砂塵は、垂直に巻き上がる。
振動が、おなかの下から突き上げるように、
身体の中を通っていく。
目の前の景色が、グワリ、と進む……!
『────作戦指示を。』
「接近殴打!」
『────レディ。
────前進します。』
ここまで来たら、
こまきゃーこたぁーどーでもいーのよッッ!
やるこたぁ、決まってんだ……っ!
「 ── ぶ っ と ば ぁ あ す っ !!」
『『『『『 PPPUAAAAA──!!!!! 』』』』』
──ばべぼぉんんん──ッッ!!!
爆砕のような、前進……!
ギアとチェーンが、キュリキュリと擦れる音……!
土の神殿が、震えている……!
「アッパーいじめた、ゆるさないっ!」
私の嫁も、やる気です。
『────補助バーニヤ:背面部に露出展開。』
先輩の嫁も、やる気です。
──OOOOOOOONNNNNNN!!!!!
『>>>さぁ……くるぞ』
〘#……どうする〙
泥が、触手をふりあげた。
ッ、なめんなぁー……!!
「クラウン、両腕で防御! 一歩も引くな!」
『────レディ。
────アンティ:マイスナ。
────腕部の流路形成が不十分です。
────行動補助を。』
「──! しょうがないわねっ……!」
「いっしょにまもる……!」
わたしが右腕を、
マイスナが左腕をあげると、
アッパーの腕が、連動した……っ!
──ギ・ギュゥゥウイイインンン・・・!!!
──グォオオン・・・ギギギギギゴゴゴ・・・!!!
────ドォオオオンンンンンンン!!!!!!!
重い両腕が上がり、正面でガードする……!
よっしゃ、ファイティングポーズだ……!
アッパーの本来の腕は千切れているので、
私たちが継ぎ足した所はフォローがいるみたい!
「アッパー、耐えなっっ!!!」
『『『『『 UUUUPPAAAAA!!!!! 』』』』』
────ドォオオオンンンンンンン!!!!!!!
────ドォオオオンンンンンンン!!!!!!!
両腕のガードにガンガンと当たる、岩の触手!!
だけど、振動は少ない……!!
装甲で覆われた、超重量の巨人……!!
そう簡単には、揺るがせられない!!
泥の怪物が、絶叫する────……!!
──OoooOoooOooonnnuuUUUUAAAAA!!!
────ドォオオオオオンンンンンンン!!!!!!!
『>>>ッ、激しいなぁ!! 後輩ちゃん、すまない! ぼくと先生は、両腕と両足の装甲を維持するので手一杯だよっ!!』
〘#……すまない!! ローザが、イニィ君とあの状態では……オペレーティングは、クラウン君ひとりに任せる事になる!〙
『C7:ご、ごめんにゃ! 私らも出力調整でテンテコマイにゃー!! 両腕の出力操作系が、まだ不完全なんにゃー!!』
『C2:母さまとドンマイぱわーで、もう少しだけ耐えて欲しいみゃーっ! すぐに高出力に耐えれる動作系をつくるみゃー!!』
「だぁーれがドンマイじゃーい!!」
「やっぱり猫さん、おしおきです」
『────任せなさい。
────行動補助は全て:こちらで処理します。
────両腕部の流路整備を迅速に。』
『『『『『『『C1234567:了解にゃ!!』』』』』』』
────ドォオオオンンンンンンン!!!!!!!
────ドォオオオンンンンンンン!!!!!!!
「まだ腕は防御体勢のまま動かないの!?」
「アンティ。装甲は腕のガードと、足の前面に集中してる」
「だ、だから!?」
「後ろから攻撃されたら、こわいよ!」
「ま、まっっったくだわ!!」
ああ、そんなこと言ってたら、ホラぁ……!
ぶっとい砂の触手が、
背後の地面からニョキニョキとぉお……!!!
『────回避しますか。』
一瞬、考え────、
「・・・いや!! アッパーの足……!!
"脚部ギアホイール"っての、あるでしょ!!」
目の前に浮いている、
アッパーの絵の足首を指さして言う。
「──前進しなさいッッ!! ガードした腕で、ぶち押すわ!!」
『────レディ:オーバー。
────ギアチェンジ:トルクチューン。』
──ガコン・・・!!
──ギュッ、ギュッ、ギュゥゥウイイイ──!!!!!
──オ オ オ オ オ オ ・・・!!
『>>>これだァもんなァ……!』
〘#……く、くっくっく……! おいっ!! 猫の兄妹よっ!! こちらの装甲値にも補助をまわせ!! この手足の装甲を以て、"動く城壁"とする!!〙
『C7:そっ、そんなっ、急ににゃっ!?』
『C2:けっこうボクらも手一杯でみゃ……っ!?』
〘#──バカ者ォッ! 遅刻した者が文句を言うなッッ!!
#──やってやれぬ、事など無いッッ!!!〙
『『C2+7:にゃ、にゃー!!』』
『────ギアホイール機構:点火開始。』
アッパーの脚部に組み込まれた、巨大な歯車の車輪。
車輪っていうか、削岩機。
アッパーのふくらはぎを、
サンドイッチするみたいに、
ちょっとナナメについている。
でかい。
それが、もちろん左右あって。
『────シートベルトを付けてください。』
ガ・ゴ・ん──────!!!!!
希少価値のあるお母様の冗談と共に、
クラウンが、足踏み式ペダル操作で、
脚部のエンジンを起動する。
アッパーの足元が、オレンジに光る────……!!!
『────出力最大。
────クラッチシャフト:コネクトしました。』
■ ■ ■
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■ ■ ■
『>>>──"巨人ブルドーザー"、通ります』
ドゴゴゴゴゴゴゴゴ──!!!!!!!!
────────バギァァああンンン!!!!!
苛烈な前進。
『『『『『 UUUUPPAAAAAAA──!!! 』』』』』
──O・O・O・OOOOOO────!!!?!?
──バゴォー!!! ゴガァァアンン──!!!!
ファイティングポーズのまま突進したアッパーは、
泥くれ野郎ごと、背後の岩盤をぶち破る・・・!!!
「止まんなクラウン!! いけるトコまで!!」
『────レディ。』
盾を構えるように、
ガッツポーズしてる私とマイスナ!
アッパーと同期している腕は、
光のイナズマのようなエフェクトが、
──バリバリと光るッッ!!!
──二枚目の岩盤を、砕く──ッッ!!!!!
────ごぉおおおあああんんんんんん!!!!!
──O・OOOOOOO──!!!???!!???
「ちょっと、泥が削れ落ちたんじゃないッッ!?」
「このまま押し潰しちゃえ──!!!」
ギュゥゥウイイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!!
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!
──三枚目の岩盤を、突き抜けた……!!!
────OOOOOOOOOOOOOOOO!!!!???
かってぇ岩の壁をぶち破った反動で、
ヒビだらけになった泥の巨人が、宙に放り出される。
わずかに、上を行くその下に、
鋼の巨人は、潜り込む。
────今日は、アッパー日和だ。
『>>>落盤って何だっけ?』
〘#……相撲なら、三千回は勝っている〙
やぁねぇ。
"決まり手"は、"押し出し"じゃあない。
──そうでしょう?
『C7:──で、できたにゃ!! で、でも・・・!!』
『C2:──まだ、未完成みゃ・・・!!』
「まわしな」
『C7:でも、ドン……!』
『C2:予想以上の、出力がっ……!』
「動きゃー、いいわ」
『C7:っ!! ……、……』
『C2:っ! ……、……』
「心配すんな──」
『『C2+7:……っ! 』』
「──家族でしょ? 」
『『 C: 』』
────" 断罪執行 / 双ノ絶完 "。
──覚悟を決めた猫は、
──全てを仲間に託します。
──それは、この世界で一番大きい、
──光と闇の力でした。
──巨人の両腕は輝きを放ち、
──それと呼応するように、
──ふたりの少女の片腕は、光りました。
── OXENFELDT OF THE LEFT。
── QURULUCAN END RIGHT。
──── 物語ノ終ワリ、始マリ、始まり── ── ─
『C2:さ、左腕部、流路解放みゃっ……!!!』
漆黒あふるる巨人の左より、
魔王の女の声がする。
{{ キャハハ……!! YOU SHALL DIEEEEE……!! }}
三ツ眼の淑女はゲス顔を決め、
〘#……貴様に 終わりを お教えしよう──〙
銀鎖の化身は、装甲を成し、
「 さよならは、言わない──・・・! 」
狂いの少女は、振りかざす────!!!
『『『『『 UUUUPPAAAAA──!!! 』』』』』
闇は、銀と鎖に縛られ、怪異の胸を撃ち抜く。
────それは、悪の力である。
──変化が起こった。
『C3:なんみゃあ……あれは』
殴られた泥の怪異は、
黒い鎖に絡め取られる。
鎖は空間の裂け目から繋がれ、
罪人は、宙に縛られている。
『C5:あの後ろを……見るのにゃ……!』
『C4:うにゃー』
「にょき……っと」
宙に張り付けられた、怪異の背後──。
──ポッカリと。
大きな、大きな。
先の見えない、闇があった。
──円。
───球。
────無。
────── 虚空の、月。
『C2:"くろいあな"の、いりぐちが────』
『C1:ひらく──……!』
「くゆーっ!」
おおおおお。
おおおおおおおおお。
■■■■■■■■
■■おおおおお■■お■■
■■■■おおおお■おおお■■
■おおおお■■おおおおお■■■■
■おおおおおお■■おおお■お■■■■
■おおおお■おお■おおお■おお■■■
■おおお■おおおおおおお■おおお■■
■おおおお■おおお■おおおおお■■■
■■お■■おおおお■おおおおお■
■■■■おおお■■おおおお■
■■おおお■■■おお■■
■■■■■■■■
ひらいた。
「かまえろ」
金の少女。
「開いたなら、ふさげばいい」
巨躯の右腕が、光る────。
『C7:ぅっ……右腕部流路……解放にゃあぁぁ──!!!』
巨躯の金の装甲より、
白翼と炎、噴き上がり。
〘〘------AAAAAAtone with deathhhhh-----☪︎☪︎☪︎〙〙
光の化け物の、声が木霊し、
『>>>そろそろ、うぜえんだよ───』
初まりの義賊が、ご挨拶し、
そして────────。
「 ──── 砂は野菜でも 育ててな・・・! 」
食堂娘が、言い放つ。
──────それは、正義の力である。
『────断罪 / 執行・・・!!。』
「──にょきっとな!」
『『『『『 アッパァァァァァアアアアア!!!!!!! 』』』』』
────撃ち抜く音。
光のパンチは、
吊り上げられた怪異を、
真っ直ぐ貫く。
光の柱。
限界熱量。
それらは、全てを貫通し、
頭上にポッカリと開く、黒い月へと消えて行く。
──O・O・O・OOOOOOOOOOO・・・!!!
──OOOOOOOONNNNNNNNNNNNNNUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaa!!!?????????!!!!!!!
焼け焦げた邪悪を連ねる鎖は霧散し、
黒に、白は飲み込まれる。
その膨大なゴミ捨てに。
巻き込まれたのは、何処の誰かか。
──"くろいあな"は、"しろいふた"にて閉じられる。
それは、"世界の理"である。
世の中は、完全ではない。
だから。
必要ならば、フタをするのだ──────。
こうして、泥の神位は、
ポイされたのである。
「……」
「……」
『────:……。』
〘------のんんんーぅごごZzzzz……☪︎〙
『>>>……』
〘#……〙
{{ きゅ〜〜〜〜ッッ…… }}
『 がるごぁーZzzzz…… 』
【 お、終わったけ……? 】
< ……えらい、こっちゃやわぁー >
やり遂げた者たちが、やっと肩の力を抜く。
「マイスナ?」
「ぅん?」
「イェ〜〜ィ」
「! いえーぃ」
『C7:……もぅ、何でもアリにゃ。私は疲れたにゃん』
『C2:はぁ……。生きてるって、素晴らしいみゃー』
「にょきっと!」
「くゆー?」
『『『『『 アッパレ・・・!! 』』』』』
手を振り上げたままの巨人からは、
白煙が立ちのぼっている。
ฅ(´ω` ฅ)ニャー
↑がばがば脳










