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ジュンヤ



「……」

「…… 壁から足場、作るね」

「あ、うん……」

「えい」

「……」

「アンティ」

「……! ぅ、うん、わかってる。いこう。ぇ……と、入口はどこかな……?」

「近づいてみる。アッパー、私とアンティをアレの側に、下の……そう、突き出してる足場に乗って。落ちちゃダメだよ」

「……」

「鎖、回収するね」

「……うん」

「……、……」

「……! ……ぇと、なんかね?」

「……?」

「これを、見つけてよかったのかな、って……」

「……」

「……なんでもない」

「……、……」

「そんな顔しないで……」

「そばに」

「……!」

「そばに、いるから……」

「……はぃ」



「入り口、ないわね……」

「ない、ね」

「……? 何、見てるの?」

「大きな、文字」

「……、そだね……」

「悲しいよ……」

「……!」

「こんなに大きく書いたのに……誰にも知られずにいる」

「……、……うん」

「……! アッパー……?」

「え……、──!? な、なん……?」

「アッパーが、指さしてる」

「ホントだ……アンタどうした……あっ、……よっと!」

「アンティ!?」

「マイスナ、ここ、取っ手がある」

「!」

「空中の足場は任せな、きて!」

「うんっ!」

「──ここ、ホラ!」

「──ほんとだ」

「これ……大きな扉なんだ……クローゼットみたいに開くのよ、きっと。マイスナ、隙間から見えてるロック機構を切れる?」

「分解するね」

「よっし……一気に引っ張るわよ」

「アンティ、そっち持って」

「よしゃ」



「……パカッと開いたわねー……」

「全部ひらいたね」

「……アッパー、入ってくんな、ちょ! そこで、そこで待ってろ! これ以上はムリだから! まてぃ!」

「建物の装甲、剥がれてるよ」

「うわあああ! 肩こすってる! こすってるから! ゴリってるから!」

「ひろったよ」

「……なに、顔に当てとんねん」

「アンティ、たぶん……私たちのマネしてる」

「??」

「ほら、コレ……」

「あ、仮面のつもりか……」

「嬉しそう」



「置いてきたけど……あいつ、アッパー再開しないわよね?」

「さすがにこまる」

「そ、そうねぇ……」

「ここ、やっぱり……″船″かな」

「……!!」

「アンティも、わかってるんでしょ?」

「……」

「私がわかるってことは、アンティから読み取ったって事だもん」

「……、……」

「アンティの中にある、″向こう側の知恵″だよね?」

「……うん」

「なんで空にある物が、地面に埋まってるんだろう」

「さぁ、ね……」



「……クラウン、なんでさっきから自動で開くの?」

「アンティ、またあるよ」

「ほんと」

「今度は透明の扉の方。あ、でも先に金属の方もある」

「……やっぱり赤く光ってるね」

「いこう」

「うん………。また、緑になった……」

「ひらくよ」

「……人が近づいたら開くようになってんの?」

「ローザが、違うって言ってる」

「え?」

「私たちだから、開くんだって」

「……」



「これだ……これだわ!」

「ぱそこん?」

「うん……ちょっと古く見えるけど、これよね? 先輩が反応拾ったのって」

「動くの?」

「私たちを動力にして……髪を。あ、先生が電圧を調整するって」

「異世界の人は、雷魔法ばっかりだったんですね」

「──ついたよ! クラウン、あさって」

「明後日?」

「……2日後?」



「……メールボックスの概念を理解したわ。マイスナは?」

「私も並列で理解した。光の手紙みたい」

「ホントね。クラウン、使用者の反応は?」

「誰もいないと思う……」

「……そう、よね……。アッパー……悲しむかな……」

「ひとりは、さびしい」

「……」

「アッパーにも、アンティみたいな人がいたのかな」

「……! そうだね……」



「″受信BOX″しか読めないの? なんで? ″個別フォルダ″って何?」

「こわれてるの?」

「うーん。アッパーを造った人は、当然″送信BOX″の方なんでしょう? やるせないわねー」

「アンティ、開いたよ」

「おっ……。こ、これってさ? ヒトサマに届いたお手紙、無断で見てんのよね……?」

「……″義賊と狂銀″だから、だ……ダイジョウブ」

「ワルぅー」






差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:すごいね!

────────────────────

 やられたよー!

 まさかキミが基礎を造ったとはね!

 光を加工するなんて、

 どの国の天才でも思いつかないな!

 ファンタスティックだよ!

 こんな時代に生まれて、ボクらは幸せだね!

 標準規格はキミの国になりそうだ!




「……! 先輩……? これ……?」

「カネトキさんと、苗字が一緒だ」




差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:よろしくね!

────────────────────

 技能テストではボクが一番だったね!

 ま、キミは科学者で、

 ボクはスポーツマンみたいなもんだ!

 お互いに得意分野があるんだろう!


 いや、何が言いたいかって言うとさ!

 それぞれ、助け合っていこうって事さ!

 キミと共に空に上がるのは光栄だもの!

 ホントだってばー!




「明るい……」

「明るいね……」




差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:見たかい!

────────────────────

 とうとう報道されたね!

 いやぁ、ボクだけ変な特集されてたよ!

 見ちゃったかい?

 なんだか恥ずかしいね!

 ほら……ボクの御先祖サマって、

 あーゆー事があっただろう?

 正直に言うと、あれはヒドイかな!

 全然『逆境』じゃないよね!

 ま、生きていたら、

 覚えてない同士ってどんな感じだったか、

 聞いてみたい気もするけどね!

 





差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:そろそろ

────────────────────

 端末買いなよー!

 据え置き型は不便だってー

 ズボンのポケットは何かを入れるために

 ついてんだからさー!






差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:正直に言う

────────────────────

 『多元拡張現光体』は、ダサいよ……。

  ナイナイ ヾ/(゜∀゜)ソレハナイ






差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:気にすんな!

────────────────────

 珍しく落ち込んでいたけれど、

 そんな重要なミスじゃないでしょ!

 It's not a big deal !


 つまりアレでしょ?

 地上に撃ち込んだ『多元拡張現光体』←ダサい

 が拡張子伝達して複製連鎖した後、

 役目を終えたオリジナルが、

 ランダム転移してしまうってだけだろ?

 そんなの大丈夫だって!

 バグのうちに入らないさ!

 圧縮したままじゃ誰にも中身は読めないし、

 もしドロップされたら「なんだコレ」って

 思われるだけだよ!






差出人:ジュンヤ・オウノ

件名:いよいよ明日だな!

──────────────────── 

 で、五人のうち誰がタイプだった?

 男同士、仲良くやろうぜ!!






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 生きているか






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 ……わからない

 でも、そんなことはない……

 そんなことはない……

 そんなことはない……






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 七人とも生きてる

 奇跡だ

 くそったれ……






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 シゼ2型が泣いてるみたいだった

 よければ、慰めてやってほしい

 体の変化に気づいたかぃ?

 かなり光体寄りになってる。






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 きいて

 バトンタッチされた

 ボクたちに、勝手に託したんだ

 機能が、たぶん……リンクしてる

 神様なんてきらいだ






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 やろう






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 成功してる

 信じられない






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 無意味じゃない

 そうだろ?






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:みんなへ

────────────────────

 賛同してくれてありがとう。

 バカげてるけどさ……、

 なんとか、やってやろうじゃないか!






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:ははははは!

────────────────────

 すげぇ!

 きてるぅー!!






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 ちゃんと、観測できてる

 いいと思う。

 家族っていいな






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:勝手にやったろ!

────────────────────

 優先順位を勝手に一番にしたね?

 おっかぶりすぎでしょ。

 シゼツも怒ってたよ?

 『これじゃ私、4じゃんっ!』って。

 もしもファイヤーウォールの機能が

 正常動作しなくなった事を考えて

 やったんだろ。


 しょーがないなぁ!

 キミの女の子の趣味がよくわかったよ!

 シゼツが怒ってるのは、

 縁起の悪い数字の事だけじゃないからね?


 気をつけろよ

 どうなるかわからない

 仲間を頼ってくれ

 全部、背負おうとすんな






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:なんでやねん

────────────────────

 QQにバースデーソングの

 VOICEメール送ったら、

 『次やったら絶交よ』ってきたんだけど

 ホワィ!?






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 これボクら寿命どうなんだろね?






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 わかってる

 こっちでも分析してる






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 そうとしか考えられない






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 アップルが、やった

 くそ






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 ボクは……反対できない






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 また

 また、会おう

 約束だ






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 成功した

 褒めてくれるかい?






 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 返事をしてくれ







 差出人:ジュンヤ・オウノ

 件名:

────────────────────

 涙がもう、でない











「……」

「……」






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