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ゴゴゴッ、ゴウガリオン

連投です(´∀`*)前話もどうぞ。

ちょい短め。




 火を、三人と二匹で囲む。


 


「……………………」


「「…………」」




 ゴウガさんが、肉くって、ちょっと落ち着いた。


 毛皮の上で、あぐらかいてる。


 私らも座ってる。


 この人、まだ食えるだろなぁ。


 手が、でけぇ。


 あのサイズのフォークはイニィさんしかないけど……、




{{ うーん、ちょ、ちょっと怖い、かな? }}




 ないと思うけど、握りつぶされても怖いので、


 大きめの菜箸とお椀を差し出してみる。



 ──ガっ!!



 持った。



 ──ばキィッッ!!!



 なんで割れんねん。



「「…………」」


「………………」



 マッスルライオンは無言である。


 だが、先ほどまでの野生は、かなり、なりをひそめている。


 あんだけ肉食ろうたかんな。


 まだ、あぐらかいて座りながら、


 菜箸とお椀を握り潰しただけの獣人さんに見えるわ。



「……………………」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



 この顔はなんだ。


 やわい箸と椀に、キレてんのかっ!?


 万能翻訳家、イニィさんに力を借りることにする。



{{ えっ、じゃあ谷間に…… }}



 握り潰されたくない王女様は、


 我が乳の谷間に召喚される。


 で、どうよ? キレてんの?



「………………………」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



{{ ふ……深い悲しみを感じます…… }}



 うせやろ。


 顔見て?


 ぜったいキレてますやん。



{{ あと、せっかくのお箸とお椀を壊してしまった申し訳なさを感じるわ…… }}



 これ、いい人確定やな。



「マイスナ……ねぇマイスナ……おっきめのお箸とお椀、作ってあげて……」

「え……え? その……ミスリルで?」

「うん、うんそう……」

「わ、わかった……」



 ……キュォオ……!!


 マイスナが"錬成"のチカラを使って、

 ストック分のミスリル粒子を消費しながら、

 バカでかいお箸とお椀を作る。……盾と短槍かな?

 マイスナが、そおっとゴウガさんにわたす。



「どうぞ……」

「………………………………………………………」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



{{ あ、遠慮してるわねぇ…… }}



 や、キレてますやん。



「だ、だいじょうぶ、これは硬いから」

「…………………………………………………………」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



 あ、持った。


 サイズ、ゴウガさんが持つとピッタリよねぇ。



「もてたね」

「折れないわねぇ」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



{{ めっちゃ感激してる }}



 うせやろ。


 顔キレてますやん。



「………ご飯、まだ食べれますか……?」


「ギロりぃ…………!!!!!」



{{ えっとね、訳:ホントに!? }}



 いや……キレてますやん。

 見て。うさ丸、怯えすぎ。

 エモノを狩る目ですやん。


 ゴウガさん、心と見た目に、

 なかなかのギャップを抱えていらっさるようである。



「えーっと……」



 白ご飯を、めっさ山盛りにしてみた。



「──あんぶァ!!! ガボぉー!!!」



 この人、おにぎりのように食うなぁ。


 箸使え。


 野獣か。



「や…………野菜って食べれます?」


「ギロォリ…………ッッ!!!!!」


{{ 訳:いただこう……ッッ!!!!! }}



 イニィさんノリ軽いわ。

 モノマネ入ってるわ。

 ゴウガさん? 言葉しゃべって?



「え、えと……作り置きの肉野菜炒めが、かなりあったな……」

「アンティ、いっぱいあげて」

「よしゃ」

「どんぶり! どんぶりで!」

「任せろ」



 ははっ。体でかいから、よく入んのねー。

 おっとと、バッグ歯車焚き火があちぃ。

 ちょっと火ぃ小さくしよ。


 カラになった、ミスリルお茶碗(BIG)に、白ご飯。

 その上に、しこたま肉野菜炒めを盛る。

 もりもり盛りである。



「ガブガブグロォゴブァァアア────!!!!!」



 カッカッカッカッカッカッカッカッカッカ──!!!!!



 激しい食い方である。

 野生はここにいたり。

 おお……白銀の箸が輝いておるわ……。



{{ 感動してる。生きてて良かった、って。キャハハッ }}



 は、はぁ……。

 なんちゅうスピードの箸なの……。

 木でできたお箸とお椀なら摩擦熱で燃えるわね。

 あ、割れるか。



「あ、アンティ。私も料理だしていい?」

「えぇ……なんでもおやりなさい……」

「に、肉まん、どうぞ……」

「マイスナ、手ぇ食われる。投げなさい」



 雪合戦でも見たマイスナの投球フォームは素晴らしく、

 ゴウガさんの口に、肉まんは尽く命中した。

 マイスナ? 今の速すぎよ?

 ちょっと楽しんでるでしょう?

 25球目から音が変わったわよ?


 これまた……よく食らうゴウガさんである。



「ガブモグモグモグ……!!!」

「わぁぁ……! アンティ! 面白いよ! やるっ?」

「い、い、い、いや、いぃ……肉まんをお客さんに投げろとは習わなかったもんでね……」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



 なんだ、怒ったのか。



{{ 幸せそう }}



 さよか。顔はキレてるけどな。



「てか、服きったないわねー」



 どうやらそんなにワイルドハートではない方だとわかり、

 ちょっと本音が緩んでくる私である。



「お風呂とか……入ってます……?」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



{{ あはは、恥ずかしそうねぇ }}



 もぅ、不潔はダメよ?



「アンティ、お風呂入れたげたら?」

「いや……湯船が割れるから……」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



{{ ショボーンとしてる }}


「ホントにっ!?」


{{ ホントホント。(´・ω・`)こんな感じ }}



 う、うーん、、、しつこいようだけど、

 顔はめっさキレてますからね!?

 なぜこんなにも表情が変わらないのよ……。

 歯車焚き火がパチパチ鳴る。



「うーん……一緒にここに泊まるワケだし……清潔な方が嬉しいかな……? クラウン、やっちゃうか」

『────よろしいのですか?。』

『>>>あ、知んないよぉー?』

「無口そうだし、大丈夫でしょ」



 私とマイスナもたまにやってる、

 "バッグ歯車洗浄術"、くらいやがれ。

 とりあえず、お湯ぶっかけるか。



 ばっちゃぁあああアアアァァァアァ────!!!!!

 ぎゅぅぅううううういいいぃいんん────!!!!!



「にょ、にょあー」

「かんかん?」



 数フヌ後、何だかツヤツヤした野獣がそこにいた。



「………………………………………………」

「あら、服も一緒にやったのね。汚れ落ちまくりね!」

「さっきと全然ちがうよ〜〜♪」



 口ん中も低温煮沸消毒したので良い。

 牙の隙間から白い湯気が出てて怖い。



「………………………………………………………………」

「綺麗になったのはいいけど、せっかくのタテガミがボサボサねぇ。マイスナ、クシ作れる? 髪をとく方よ?」

「ミスリルで?」

「ミスリルで」



 この後、ふたりで頑張って、

 よいしょよいしょ言いながら、

 あぐらかいてるゴウガさんのタテガミを整えた。

 オールバックに、ちょっと前髪を出す感じ!

 ちなみに、この時点で、

 私とマイスナの遠慮する心は完全無欠に消えている。

 ゴウガさんは、終始無言で成されるがままだった。



「ふぅ……どうよ! なかなかの男前じゃない!」

「かっこいいね──!!」


「……………………………………………………」



 ピシッとすると、どうしてなかなか凛々しい野獣である。

 野獣からは抜け出すことができんけども。

 すぐ横の巨大な鏡石を、ゴウガさんはギロリと見ている。



  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



「よーく似合ってるわよ?」

「そっちの方がかっこいいです」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!!



{{ めっちゃ照れてるわ }}



 やっぱりなぁ。




(●´ω`●)やっぱりなぁ.*・゜

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