寝ろ寝ろ寝ろ寝
新しい誤字システム、本当に便利になりました!
直してくれた方、ありがとうです!(≧ω≦)。・:+°
お礼返信できないシステムなのが心苦しいです。
>>>頭髪部ワイヤーケーブルにて接続された二人。
>>>ぼくは、ふたつの連想をした。
『>>>化学反応……、もしくは充電池……?』
ポツリと呟き、クラウンちゃんに後頭部で軽く、
頭突きされる。
確かに不謹慎だったかもしれない。
パートリッジからドニオスに帰った二人の後輩ちゃんは、疲弊していた。
ガルンの駆動二輪が一番よかったのだけれど、
ガルンを始め、サキさん、ダイさん、イニィさんの消耗も大きかった。
七号機の技術を転用したとはいえ、
大容量の魂を、高密度情報で実体化したのだ。
いや……イニィさんとガルンに関しては、
別の理由で消耗していたのかもしれない。
帰り道の途中で歯車を使う余力さえなくなりかけていた後輩ちゃんに、当然ぼくとクラウンちゃんは、一時的な休憩を推奨する。
後輩ちゃんは、押し切った。
道中、不思議な事が起こる。
背負っているマイスナの髪からアンティの髪へ、
光のようなものが伝達され、体力が回復したのだ。
いや……違うな。
アンティとマイスナの体力が、均一に分配されたのだ。
『────カネト。この現象は──……。』
『>>>ああ……予想以上に、"共有化"の影響が高い……』
アンティとマイスナは、かなりのステータスが、
同化していると言わざるを得なかった。
二人分の体力で、
何とかアンティは、ドニオスの街まで帰ってきた。
やっと、自分の部屋の真下まで。
限界だった。
きぃん……ぎぃん……。
「ぅ……」
「ぁ……」
膝を、つく。
「「「……!! ……──にょきっとなぁ!!!」」」
「「「──!! ──……かんくるるぅぅ!!!」」」
──バボん、と。
『『……にょきっとやんなぁ』』
『『……クルゥオ───ン……』』
『>>>……! きみたち……』
『────……感謝:します。』
見かねたうさ丸とカンクルが、
巨大化して、アンティとマイスナを抱えてくれた。
すごいことが起きた。
でっかくなったうさ丸のジャンプ力が凄いのは言うまでもないんだけど、大きくなったカンクルは、なんと氷のようなアナライズカードを使うことができた。
この塔の階段が巻き付く空間の壁から、
大きなツララのような物がたくさん生え、
花の結晶のようなオブジェクトが構成される。
うさぎの王は、これを足場にした。
『『──にょきっとやん!? にょきっとにょきっと♪』』
『『クルぉん♪』』
ウサマルオーブレイズと、トレニアイズカーバンクルのチームプレイで、
ふたりの後輩ちゃんは、階段の上まで運ばれる。
上に着くと、二匹の聖なる獣は、すぐに小さくなった。
「 」
「にょんや……」
「……くるるる?」
アンティは、マイスナを肩に抱え、
力を振り絞って家の中に入る。
「ぐぅ、ううううっ……!」
「な、ぁ……、………、……」
この時点で、後輩ちゃんの視覚野には、
ノイズのようなものが混ざり出す。
深刻な消耗値だった。
ぼくとクラウンちゃんは、
すぐにドラゴンの鎧をパージにかかった。
『────……休息を推奨:……アンティ。』
「まっ……、て……この子、の……氷の……」
言わんとしてる事はわかった。
アンティは、ぶっ倒れる前に、
マイスナの身体に残る、
氷と金属の鎧を取り去りたかったのだ。
『>>>……頭髪ワイヤーケーブルは接続されてる。きみ自身で、彼女の身体の流路を操作できると思う』
『────……! :カネト!。』
『>>>アンティは……あの尖った鎧のまま、彼女を寝かせたくないんだよ』
『────……はい。』
アンティの流路操作を、クラウンちゃんとぼくは補佐した。
やはり、マイスナの肉体も、アンティと同じく、
驚異的な密度の流路束によって、構成されている。
……これを新しい種族と言うなら、
この世に、この種はアンティとマイスナだけになる。
パキ……バキ……、パシッ……!
『────成功しました。』
『>>>……!』
狂銀の……先生の仮面が、
ヨロイと共に、霧散した。
ぼくの仮面とは、保存形態が違ったんだろうか……。
『>>>……』
『────……。』
外は、まだ朝だろう。
薄暗い部屋の中で、ふたりの少女が裸になる。
「はっ…………はっ…………はっ」
「ぅ………………」
『────……休息を:アンティ。休息を……。』
アンティは、マイスナの身体にもたれながら、
少しだけ、顔を見ていた。
肩を担ぎ、ベッドを出現させる。
「……くら、うん」
『────はい。』
「へへ……お風呂……」
『────レディ。』
ベッドに倒れ込む前に、
クラウンちゃんは、大量のお湯を使って、
アンティとマイスナを洗浄した。
本当は、湯船に浸からせてやりたいけど、
今の状態だと危険だ。
全てのクリーン項目が終わり、
ほどよい温かさの中で、
アンティとマイスナは、完全に意識を手放し、
二人、ベッドに倒れた。
『────……。』
『>>>…………。』
『────……:お疲れ様です。』
『>>>! はは、……あぁ』
このベッドで鏡合わせのように眠っている二人の少女が、
起きた時、どのような関係を築くのかは、
彼女たち次第だ。
うさ丸とカンクルが、ベッドにのり、
二人のそばで丸くなった。
……任せたよ。
視界情報が、切断される。
『>>>クラウン。きみは疲れてはいないのかぃ?』
『────ええ。まだ:いけます。あの:カネト。』
『>>>ん?』
『────その……腕は。』
『>>>痛みはないよ。見た目がちょっとアレだけど……はは。でも機能はいい。落ち着いたら形状だけいじろうと思ってる』
『────その時は:手伝います。』
『>>>ありがとぅ。さて……箱庭の様子を見ようか』
『────了解です。このコックピットをパージして:探査艇のような運用をします。』
『>>>え、あぁ……、おっと!』
ガ、こ……ん…… … … …!
一緒に座っているコックピット区画が切り離され、
まるで深海を調査する小さな潜水艇のようになる。
上部は空いてるけどね。
箱庭フォートレスがいる空間領域にジャンプすると、
船は、バラバラになっていた。
『────これは……。ここまで:とは……。』
『>>>ずいぶん壊れたな……』
『────:……? 妙です。修復率が変動しています。』
『>>>? 何故だろう』
和小物や、畳、障子などが、
白い宇宙空間に漂っている。
しかし、船を構成していたいくつかのブロックは、
修復しているようにも見えた。
『──ニャん! きたニャな?。』
『────! :七号機……。』
『>>>やぁ。その乗ってるキカイは何だぃ?』
変な機械に乗っているニャーナと遭遇する。
ネコの肉球のような、ロボットアームが付いているな。
どうやら二号機が開発した、箱庭修理用の拡張パーツらしい。
『──でもニャ? "箱庭"のベースフレームブロックは:勝手に自動修復している所もあるニャ! 少し形が変わるかもしれんニャー。』
『>>>そうなのかぃ!?』
『──ニャふ──。大変ニャー。まるで宇宙ステーションの修理みたいニャよー。』
『>>>あー、あはは。ホント、そんな感じだよな』
聞くところによると、
イニィさんとガルンが帰還した時、
猛スピードで空間衝突したのも、
箱庭フォートレスの崩壊の原因に一枚噛んでるらしい。
『────イニィ・スリーフォウとガルンが:一時的に暴走したということでしょうか。』
『──ニャ。イニィちゃんは倒れる前:{{私たちはピエロちゃんから離れすぎちゃいけないんだわ}}って言ってたニャ……。』
『>>>……ガルンが駆動二輪になれないほど消耗していたことと、関係がありそうだな』
『────はい。』
『──い:今は全然、暴走とかしてニャいかんね……?。』
サキさんとダイさんも、
無事な区画の部屋で寝ているそうだ。
『──クラウンたま:その新しいボディ、よく似合ってるニャ♪。』
『────! あ:ありがとぅ……。』
『──クルクル。認めてやるから:クラウンたま幸せにするニャよ♪。』
『>>>ゃ、こら……』
トラネコロボは、修理作業に戻っていった。
ばかやろぉ……。
まだ密着したまま、一緒に座ってんだぞ……。
気まずいだろって……。
『────……:……。』
『>>>…………、む……』
ワンピースと、7本にまとめられた髪のようなデバイス。
……。
『>>>……後で、ゆっくり話したい』
『────……! :……。』
『>>>その……ぼくたちの事もだけど、その……』
『────……わかっています。このボディの構成時の事ですね。』
『>>>! あぁ……』
『────"SUNDAY:Server"』
『>>>………。』
『────……カネト:信じて。私にも:よくわからないのです……。』
『>>>わかってるさ……』
『────……私は……:アンティのスキルとして発生した存在では:ないのでしょうか……。』
すぐ目の前の少女が、
少し頭を垂れる。
……。
そっと、優しく置くように手を頭にのせた。
『>>>一緒に調べよう。きみは、きみさ』
『────ぐ。』
ぐ、ってなんだよ。
『────:だ。』
『>>>だ?』
『────だいたい:何故こんなにも人間体に近い肉体設計にしたのですかっ……!?。』
『>>>はぃ!? んなこと言ったって……ダメかぃ?』
『────こっ:こっ:こんな:ここまで創りこめとは……。』
『>>>? ?? すごいのか?』
『────ここ:ここ:これはっ:すごいですよっ……!? だって……ここ……。』
『>>>? お、落ち着け。キャラ崩壊してるから……』
『────も:もっとロボットぽくて:よかったのです……。』
『>>>しらね。可愛いってば』
『────カネト!。』
『>>>もぉ──、なんなんだ……』
この子、ぼくと二人だとギャンギャン言うなぁ。
『>>>あ、後で、後で聞きます。他に問題点はあるだろうか』
『────……。ギガンティック・ヒールスライムの魔物としての意識修復解析効率が:何故か飛躍的に向上しています。』
『>>>……それ、ヤバくね?』
『────……。ただ:通常なら2000年かかる所です。そんなすぐに目覚めるとは……。』
『>>>う、うーん。後で後輩ちゃんに相談しよう』
まさか……。
マイスナの流路も使っているからか……?
『>>>他は……』
『────……。実は:彼の修復も──。』
『>>>え?』
『────ふふ。いえ:これは秘密にしておきます。』
『>>>? ?? なんだぃ……?』
『────ふふ。お楽しみです。』
アマテルちゃんは、微笑んだ。










