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⚙⚙⚙ 朝チュン ⚙⚙⚙

◤◢◤◢ 注意! ◤◢◤◢


ここまで『はぐるまどらいぶ。』を読んでくれた方に、感謝の言葉しかありません!


だがしかぁし!

……ここいらくらいから、百合っちくなります!

(*`・ω・)ゞ.*・゜

苦手な人はUターン願います!



 その日も、平和そうな晴れた朝だった。

 二人の門番は、ドニオスの街の入口で柱にもたれ、

 のんびりと会話する。



「ふぁあ……街門の見張りって、朝方はツラいよなぁ……」

「ん、まぁな……。でも、もう少しで休めるさ」


 早朝。

 美しい夜明けも、この二人は見慣れてしまっている。

 ぽかぽかと上がる気温は、眠気を呼び起こす。

 優しい光量に、目を瞑りたくなる。

 一日が、始まる合図だった。


「ふあぁ……ん?」

「?」


 一人の門番が、首を傾げる。

 カタンと、甲冑(プレート)が音を立てた。


「どした?」

「……誰かくる」

「なに? こんな早朝にか?」


 もう一人も、目を凝らす。

 姿を捉える前に、ある音が耳に届く。



    (キィン……)



「「……!!」」


 二人の門番は、顔を合わした。

 にかっ、とする。

 この二人は、この音をよく知っていたのだ。


「おい、ガルナット!! あの嬢ちゃんだぜ!!」

「ふっ、そのようだな」


 スパナム・ビット。

 ガルナット・ヘリックス。


 ガルナットは、花屋で働く妻からの手紙を、

 あの"黄金姫"に届けてもらったことがある。

 ドニオスの街で、あの神秘的な娘を知る者は、多かった。


「やぁやぁ! 朝帰りたぁ、よっぽど仕事熱心なんだなァ!」

「うむ……また配達だろうか。無理をしてなければいいが」

「なぁに、我らが義賊サマだぁ!! 大丈夫だろォ?」


 正反対の性格で、しかし"黄金姫"との縁で親友になった彼ら。

 呑気に構え、門に彼女が近づくのを眺める。


 ────。


 違和感に、気づいた。


「お……、あぁ?」

「……! おい、あれは……!!」



  (きぃん……)


   (きぃん……)


   きぃん……


    きぃん……


     キィン……!



 近づくにつれ。

 何かが、おかしいとわかる。


「おい……なんか、体が左右に揺れ過ぎてないか?」

「ああ……。それに、誰かを背負っているように見えるぞ」

「なんだって!」


 誰かを、助けたのだろうか。

 二人の門番は、考えを巡らせ始める。


「体調不良者や怪我人なら、救護が必要だ」

「あ、あぁ、そうだな。だが、まずは確認だぜ?」

「お前の言う通りだ。しかと確認してから対応を判断しよう」


 黄金姫が近づいてくるのを、待つ。

 確かに、誰かを背負っていた。


「……」

「……」



   きぃん。


     きぃん。


 ……きぃん。



        きぃん。


  きぃ、ん。



     きぃん。


 きぃん──。



「ふらついてる、な……」

「何か、あったようだ」



 近づいてくる。

 スパナムが、気づいた。



「──!! おいっ!! ガルナット!」

「どうしたっ!?」

「……背負われてる奴!」

「なんだ!?」

「……角が、ある」

「……!?」

「いや、あれは……仮、面……?」


 目のいいスパナムが、捉えた。

 黄金姫の背負う、誰かの顔を。


「……女だ……。"二つ角"の……"銀色の仮面"を、してる……」

「……ッッ!!! お前、それ……」

「……」

「……」


 黄金姫が、近づいてくる。

 二人は、凝視する。

 わかる。

 何を、背負っているのかを。

 それは、誰もが知る、

 "黄金の義賊クルルカン"と対をなす存在なのだから。


「きた、ぞ……」

「あ、あ……」


 目の前で、止まった。


「「……」」


「はァ……はァ……」

「……ぅ」


 背中の"敵役(かたきやく)"の体からは、

 地面に二本の鎖が伸びていて、

 その先には、三日月型の刃物のようなものが付いている。

 黄金姫は、それを引きずりながら歩いてきたのだ。


「お、かね……」

「へ?」


 黄金にしゃべりかけられ、スパナムは素で返事した。


「おかね……。この子、通行証、無いの……」

「あ……あぁ……」


 チャリン、と。

 "敵役(かたきやく)"分の通行料を、受け取る。

 銀色の二本のツノが、ギラリと光っていた。


「じゃ、ね……」


「あ、あ……」

「……おぅ」



 きぃん。


  きぃん。


   きぃん……


     (きぃん……)


      (きぃん……)



「……」

「……」



 二人の門番は、呆気にとられながら、見送った。





 ドニオスの冒険者ギルドでは、早朝、

 クエストの依頼が取り合いになることが多い。

 早朝からギルドが開くのは、

 その街のギルドが仕事熱心だという表れでもある。

 貼りだされた依頼書を求め、アマチュアからベテランまで、

 様々な冒険者でごった返し初めていた。


「は〜〜い!! このクエストはもう締め切りですよ〜〜! 文句いわなーい! こらぁー! そこは二列に並んでくださーい! はーい五つ子さん! カンクル撫で過ぎですよー! 仕事してくださーい! そこもー! うさ丸に勝手にご飯あげないでくださーい!!」

「くるっくるぅ〜〜♪」

「にょんむにょんむ……にょきっとなぁ♪」


 忙しく冒険者たちをさばく、

 受付嬢のキッティ・ナーメルン。

 その後ろでは、"優しきドニオスの魔王"と呼ばれる3メルトルテの巨人、

 ギルドマスター、ヒゲイド・ザッパーが腕を組んでいる。


「…………」

「ふぅ……もぅ! ギルマス? そんな見張らなくても、ちゃんと仕事しますよぅ! ぷんぷん!」

「ん……? いや……そうではない。アイツがそろそろ、帰ってこないかと思ってな」

「あ……アンティさんですか……」


 イレギュラー・コールを適用し、

 雪が止まなくなった北の街、

 パートリッジへと物資を届けにいった少女。

 ヒゲイドは、まるで娘を思う父のように、

 彼女を待っていたのだ。


「心配症ですねぃ……。向こうのギルマスさんから、お返事あったんでしょう?」

「ああ……"感謝に堪えない"とな……」

「……アンティさんは、やってくれたんですね」

「今回は、無理を言った」

「ドニオスのギルド職員にも、パートリッジのギルド職員にも、アンティさんが実はすごい人だって、バレちゃいましたもんね……」

「……あぁ」


 ドニオスギルドの職員は、あの少女が実は、

 ヒゲイド・ザッパーよりも強い冒険者であることが。

 パートリッジの職員は、あの少女に、

 恐ろしい積載量を誇る運搬能力があることが。


 今回の件で、露呈してしまっている。


 人を助けるため、彼女は秘密をバラす事になった。

 ヒゲイドも、キッティも、あの少女には、

 純粋な感謝と、その心を称える気持ちが生まれていた。

 あの子は、自慢の、当ギルドの一員だったのだ。


 まだ、受付カウンタは冒険者たちで賑わっていたが、

 クエストの分配が一段落したキッティは、

 ヒゲイドと共に、まだ帰らない黄金の少女を思う。


「気になる事がある」

「……なんです?」

「……ブレイクの爺さんから、もう一つメッセージが届いたのだ」

「! 長文は水晶球の冷却期間が長いはずなのに……どんな内容だったんですか?」

「……」

「ギルマス?」

「………" 絵本の続きを、止められなかった "と……」

「えええ、何ですかソレ……? ?? ???」

「わからんのだ……」


 ギルドマスターが持つ水晶球は、

 離れたギルドマスターに短いメッセージを送れるが、

 その文の長さに、使用不能時間が比例する。

 かのブレイク・ルーラーが、不要に無駄なメッセージを、

 送るはずもなかった。


「うーん……アンティさん、なんかやらかしましたかね?」

「こっ、怖いことを言うな!」

「いやーぁ、ホント予想のナナメうえを行きますからねぇ、アンティさん……」

「う、うむぅ……」


 ヒゲイド・ザッパーの大きな眉が、ピクリと動く。


「にょきっと?」

「くるくる!」


 ────そんな時だった。


 足音。


 ダダダダダダダダダダダダダダダ────!!!


「とととっ───!! お!! おいっ!!! おーいっ!!!」


「「?」」

「「「「「ああん?」」」」」

「「「「「なんだなんだ?」」」」」 


 一人の冒険者が、ドニオスギルドの入り口に駆け込む。

 たくさんの冒険者たちは、振り向いた。


「はぁ、はぁ!」

「なんだぁ、息切らして、どしたぁ?」


 ギルドの中にいた一人が、話しかけた。

 駆け込んできた冒険者は、ギルドの皆が聞こえるくらい、

 大きな声で叫んだ。


「かっ、帰ってきたんだ!!!」

「「───!!」」


 その言葉に、キッティとヒゲイドは、ハッとした。


「帰ってきたんだよ……!! "クルルカン"が……!!」

「! ほぉ!!」

「なんだぃ!! 嬢ちゃん、帰ってきたのか!」

「しばらく見なかったですもんね!?」

「いや、数日だろ? はっ……また賑やかになるな!」

「朝帰りたぁ……どっかで野営してきたのか?」

「はっはー!! 仕事熱心な義賊サマだなぁー!!」


 "黄金姫"は、もはやこの街の有名人である。

 ここのギルドの主要な冒険者たちは、

 一度、あの少女と"追いかけっこ"をしたこともある。

 親しみがこもった言葉が、相次いだ。


「帰ってきたか……!!」

「良かったですね、ギルマス……!!」


 明るい雰囲気に、ヒゲイドとキッティも、顔が綻ぶ。

 しかし、その空気とは違う色合いで、

 息を切らした冒険者は、言葉を紡いだ。


「ち、違うんだ!! 確かに帰ってきた!! クルルカンの嬢ちゃんは帰ってきたよ!! でも、俺がいいたいのは、そうじゃないんだ……!!」

「「「「「???」」」」」

「なに……言ってやがんだ?」

「何を言いたいの……?」


 男は、続ける。


「違う……違うんだ!! 連れて(・・・)、きたんだ(・・・・)ッッ……!!」


「「「「「「連れて……」」」」」」

「「「「「「きたぁ……?」」」」」」


 冒険者の声が、ハモる。

 

「……何をだよ」

「いやっ、だから!!!」


 男は興奮している。


「ほらっ……!! えっと、みんなも、知ってるだろっ……!? ホラ、アレだよ、その絵本の、ええっとアイツだよ、アイツ……!!」

「「「「「???」」」」」


 男が混乱している間に、その音は聞こえた。



 ─────────キィン──……!



「「「「「 !! 」」」」」


 ────特徴的な、足音。


「き、きたぁ……!!」

「いや、わかるよ。クルルカンの嬢ちゃんだろ?」

「いや、だから……!! それだけじゃ、ないんだ……!!」

「さっきから何言ってんだオメ……」

「いみわかんないでーす」


 首を捻る、冒険者たち。

 しかし。

 この冒険者たちも、まもなく。

 納得する、事となる。


 足音は、近づいてくる。



 きぃん。


 きぃん。


 きぃん。



「……──どれ、出迎えてやるか!」


 "ゴリルの兄貴"と呼ばれる、ゴリラ顔の冒険者が、

 ギルドの入口に出て、足音の方を見る。

 ゴーレムを倒した素材で、新人冒険者に安く剣を売るナイスガイ。

 彼は、黄金姫に妻と娘を助けられたことがある。


「お……! よーぉ嬢ちゃん!

 今回もご苦労さ────……ッッッ!?」



 彼の表情が……──────凍った。


「!? どうした、ゴリル!?」

「ゴリルさん!?」


 少し離れた受付カウンタから、

 ヒゲイドとキッティが声をかける。

 より大きくなる足音。

 それと共に、角度が変わる、ゴリルの唖然とした顔。


       きぃん。


      きぃん。


     きぃん。


    きぃん。


   きぃん。


 

 ────彼女は、止まらずに、ギルドに入った。




「あ、アンティさ──……っっ!?」

「……!! アンティ……!? おま……」

「「「「「「「「          」」」」」」」」




 ────皆が、絶句した。




 彼女の黄金の鎧は、


 あらゆる箇所が、砕けていた。


 亀裂から、赤い筋肉のようなものが見えている。


 それと。

 

 彼女は、自らと同じくらいの背格好の、


 もう一人の女性を、背負っていた。



「あ……あ……」

「…………、……」



 皆、言葉が、出ない。

 これだけ人がいるのに、わずかな身動きすら、しない。



 ボロボロのアンティ・クルルが背負っているのは。

 同じく、ボロボロの……二本ツノの(・・・・・)仮面を被った(・・・・・・)、銀色の髪の娘(・・・・・・)だったのだ。



 ふたりは、


 等しく、


 砕けていた。




「「…………」」

「「「「「「「「…………」」」」」」」」




「 はァ はァ 、 はァ…… 」

「ぅ……、…………」



  きぃん。


   きぃん。


  きぃん。


   きぃん。


  きぃん。


     ジャラ……、


  ジャララ……。





 銀色の娘の背中からは、白銀のチェーンが引きずられている。

 先には、三日月のような形の刃物。

 ズルズル、ズルズルと、金色の歩幅に合わせ、進む。


 背負われている銀の娘の背中は凍り、

 水晶のような花が咲いていた。

 だらんと、氷まみれの腕が、たれる。



「はァ…………、はァ…………っぐ、……はァ……はァ……」



 フラフラになりながら、ボロボロの体で。


 黄金の義賊は、彼女を背負いながら、


 静まりかえった冒険者の中を、歩く。


 カウンタの、そばまで、来た時。


 ふらつく。




 ぐ、ら、ぁ……!




「────……っぬぐ!」


「───!! アンティ……!!」

「アンティさんっ……!!」


 ──ガキん、と。


 通路の壁に肩をぶつけ、倒れるのを防ぐ。

 金色の足から、力が抜けていく。


「……………、…………」


「アンティ………、お、お前…………」

「なぁ……なんですかぁ、これぇ……!」


 皆、気づいていた。

 光っている。

 この二人は、光っている。

 身体の表面に、何本もの、

 光の筋が張り巡らされているのだ。


「……」

「……!」


 奇妙な事が起こった。

 どう見ても、毛先で繋がっている、金と銀の髪。

 銀色の髪から、金色の髪へ、光が流れた。


 そう────、まるで。

 エネルギーを(・・・・・・)、伝達している(・・・・・・)かのように。


「──────……、よい、しょ……と」


「「……っ!」」


 グググっ、と。

 義賊の少女は、足に力を入れ直す。

 通り過ぎる前に、少女は、受付嬢に頼んだ。 



「ふぅ………………キッティ」

「……は、い……」

「……少し、休むわ……。誰も……私の部屋に、入れないで……」

「……!! ………えと、……」


 言い淀む受付嬢の代わりに、ギルドマスターが声を出す。


「アンティ……。その……、大丈夫、なのか……?」


 その言葉に、アンティ・クルルは、

 疲れた表情で、微かに微笑む。


「ぅん……。……お願い、ね…………?」



 きぃん。


   きぃん。


    きぃん。


      (きぃん。)


       (きぃん。)




 ギルドの奥の方へと、遠ざかる足音。


 引きずられていく、鎖と刃。




「にょ……にょきっとぉおおおお!!!」

「くるるるるるるるぅぅ〜〜〜〜!!!」



 ぴょんぴょんぴょん。

 ぽてぽてぽてぽて。

 

 まん丸うさぎと、くるくるおおかみ。

 彼女たちの後を、追いかけた。



 残る、静かな空間。



「…………」

「…………」


「「「「「「「…………」」」」」」」




 皆、しばらく動けなかった。


 朝の、空気が張り詰めている。


 いつも元気な姿の、彼女の変わり果てた姿。


 その彼女と対を成す、もう一人の少女の存在。


 "金"と、"銀"────。




「……ブレイクの爺さんの言っていた意味が、わかったな」

「……ぎ、ギルマス……っ! こ……。こんな、ことって……!?」

「やれやれ……なんてこった……」





 わからない。


 でも、わかっていた。


 みんな、わかっていたんだ。


 ここにいる全員が、わかった。





 あの絵本の出来事が。


 実際に(・・・)、起こった(・・・・)のだと────。




 





      戦   狂   黄

      っ   銀   金

      た   オ   の

       ゜  ク   義

          セ   賊

          ン   ク

          フ   ル

          ェ   ル

          ル   カ

          ト   ン

          が   と

           `   `



 





(๑´ㅂ`๑)うわぁー

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『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
百合はいいぞ(*´ω`*)
[良い点] そうか、ついに僕はここまで、、、!!ここまでたどり着いた、、、!!楽園だ!夢の、楽園だぁ!!!!!
[一言] あ、自分性癖は略奪以外なら全部ドンと来いなんで
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