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チロン・ノート

やっとやね。(*´艸`*)




「朝、ですか……。んん──っ!」



 私はチロン・ウナ・スマリ。


 パートリッジギルドの受付嬢です。

 知らないうちに、朝になってしまいました。

 ギルドの仕事には、たまにこんな日もあります。


 大きく、伸びをします。

 胸が重いです。

 あのチンチクリンの体が、よくもまぁ育ったものです。

 ふふっ……あの頃のクルルカンさん達には、勝ちましたかね。


「ふぅっ……」


 カタッ──……。


 コーヒーを片手に、窓の側へと向かいます。

 伸びた髪がカップに入りそうになって、慌てます。


 北側の窓から見えるのは、霊峰ヴァルター山。

 そう……あの事件があった、氷の山です。


「きれい、です……」


 オレンジ色の朝日に照らされた霊峰は、優しい色になっていました。

 この景色を見られるなら、たまの残業も良いものです。

 ひんやりとした外の空気に、

 上に伸びた耳が、プルルンとします。


「……」


 今でも、あの日のことを、よく思い出します。

 パートリッジの街の人達の間で、あの出来事は伝説のように語られています。

 神様の嘆きだとか、カントフムペの怒りだとか……。

 でも、多くの人達が信じているのは、


 "黄金(おうごん)義賊(ぎぞく)クルルカンと狂銀(きょうぎん)オクセンフェルトが戦った"


 という、絵本の続きのような物語(ストーリー)です。


「ふふ……」


 私は、知っています。

 あの日、誰と誰が戦ったのかを。

 そして、その後、どうなっていくのかを。


 私は冷たい朝の空気に目を覚ましながら、

 昔のことを、思い出すのでした。


 これは、私がまだ。

 ちょっと敬語がヘタだった頃の、物語────。






 あの日のパートリッジは、

 この世の終わりの、始まりのようでした。


 これは比喩ではありません。

 ギルドマスターのブレイクさんは、

 本気で街全体に、避難勧告をするか迷っていました。


 雷と、雪と、風と、光。

 神様が何かしたような。

 あの山は、そんな光景だったのです。


 山頂だけに、大きな光が差し込み、

 天空から、七本の光の柱が降りてきていました。

 恐ろしく、そして、綺麗な。

 小さな私は、ポツンとそれを見ていたものです。


 魔物の討伐にいった冒険者さんや、

 マジカさんも心配ですが、

 私は、あそこに行ったクルルカンさんが、最も心配でした。



「……チロンよ。本当に、あそこにあの子が行ったのか……」

「……行った。あの光は……無関係じゃないと、チロンは思う」



 呆然と、超常現象と言える光景を、眺めて。

 流石のブレイクさんも、思考が止まりかけていました。

 ギルド職員の一人が報告に駆けつけます。

 


「──ぎ、ギルマス! 冒険者が次々に帰ってきてるようです! マジカさんも帰還しました!」

「!」

「魔物はどうなった」

「そ、それが……いきなり炎に包まれた、と……」

「……? 怪我人は」

「それが、おかしいのです。"傷がいきなり全快した"との報告が相次いでいまして……」

「……」

「いきなりの衝撃の後、"白い羽根"のようなものが傷口に生え、気づけば治っていた、との報告もあります」

「……ギルマス、チロンはよくわからない」

「ふんっ……私もだ。とにかく怪我人は少ないのだな? 少しでも休むように言え。すぐに避難を手伝ってもらうかもしれん」

「かっ、かしこまりました!」


 タタタ……。


「ギルマス……パートリッジは、どうなってしまう?」

「わからん……だが」

「?」

「私は……私に届けられた、ある方の言葉が……頭から離れんのだよ」

「? ある方の……言葉?」

「ああ……。"運命(うんめい)に、(たよ)れ"、という言葉が、な……」

「……」


 真剣な顔で、彼は輝く霊峰を見ていました。


 私はよくわからず、耳をぴょこぴょこさせましたが、

 ブレイクさんが皆への避難勧告を先延ばしにしているのは、

 その言葉が原因だと、何となく理解していました。



 少し経ち、お風呂上がりのマジカさんが、

 タオル一丁でコーヒー牛乳を飲んでいるのを注意した時、

 ものすごい光の爆発が、雪山で起こったのです。


 最初は恐ろしいと感じましたが、すぐにソレはおさまります。

 目をチカチカさせながら、慌てて空を見ました。


「雲、が……!」

「マジか……!」


 消し飛んでいたのです。

 少し、空の動きが見えました。

 山のてっぺんから青空が、波紋のように、広がったのでした。

 雪は止み、雷は一瞬で消し飛んでいました。


 今までの吹雪が嘘みたいな、

 暖かい陽射しが、久しぶりに街に降り注ぎました。

 ポカンと、みんなが、空を見ていました。


「まるで……神話だな」


 隣にいつの間にか立っていたブレイクさんが、言います。


「ギルマス……」

「彼女を……。いや、彼女たち(・・・・)を、探さなくては!」

「え?」

「マジカ! あのクルルカンのお嬢ちゃんと……もう1人(・・・・)の捜索を依頼する! というか、はやく服を着ろ! まだ雪は残っているぞ!」

「ぶるっ、マジ寒い。……かまわんが、"もう1人"って誰のことだ?」

「……"狂銀"だ」

「……マジで言ってんのか?」


 タオル一丁のマジカさんは、首を捻っていましたが、

 ブレイクさんの目が真剣だったので、バカにはしません。


「頼む……私も同行したい」

「ち、チロンも行きます!」

「ま、マジちょい待ち……服借りてくる……」


 街の復興をギルドの皆さんに任せ、

 モフモフになったマジカさんと一緒に、

 私たちは、また雪山を目指しました。

 陽の光で、急激に雪が解け始めているので、

 白はキラキラと光り、足元をぐらつかせました。

 えっちらおっちらと、私たちは登ります。


「──ぶべぇ! ……マジ歩きにくい」

「ギルマス! マジカさんコケた!」

「ふんっ、雪に顔型作るような魔女が、プレミオムズを名乗っているとはな!」


 マジカさんとブレイクさんが口喧嘩になりかけた時、

 すぐ上の雪の塊が、大きな音と共に、霧散しました。

 青い空に、粉々の雪が舞います。 


「「「!?」」」


 巨大な人影が、姿を現しました。

 青空と山頂をバックに、

 ノッシ、ノッシと、こちらに降りてきます。

 ……!?

 あれは……本当に人ですか?

 何やら道着のようなモノを着ているような……。

 大きな……獣人の男性……?


「マ……ジ……か……」

「バ……カ……な……」


 マジカさんとブレイクさんは、

 その大きな獣人の男性を見て、

 信じられないような顔をしました。

 彼を、知っているのでしょうか。


「……!! あれっ! ギルマス! あの人……腕に誰かを抱えてる!! 二人!!」

「──ッッ!! ……本当に……本当、なのか……」

「……マジだな」


 間違いありません!

 クルルカンさんと、もう1人、女性を抱えています!

 金色と、銀色の髪……!

 …………銀色の仮面!! 本当に、狂銀、さん……?


「ギルマス……!!」

「……」

「マジ、ボロボロだな……」


 2人は、それぞれの髪の色と同じ鎧を付けていましたが、

 その鎧は、至る所が破損していました。

 ですが、不思議なことに、裂け目から見える肌には、

 怪我をしているような跡は無かったのです。


 …………ズゥゥウン……。

 

 この男性が救助してくれたのでしょうか?

 道着をきた大きな獣人の方は、ライオンのような人でした。

 私たちの目の前で、その人は立ち止まりました。

 大きい。


「「「…………」」」

「…………」


 あれっ、顔、こわっ。

 筋肉質の腕には、金と銀の少女を抱えています。

 わぁ、その道着、半袖ですか。

 ブレイクさんが、話しかけました。


「ふんっ……。

 まさか、お前がここに来ていたとはな……、ゴウガよ……」

「……! ゴウガ、さんっ!? それって──!!」

「ま、マジ久しぶりだなテメー……ぶるぶるっ……」

「……………………」


 "至高の(プレミオムズ)格闘職(・グラップド)"、ゴウガリオンさんに会うのは、

 この時が初めてでした。

 腰周りに、金色のベルト型のプレミオムズ・アーツが輝いていました。

 あと、超怖い顔の方でした。

 ぶるるっ。


「ふんっ……。その2人を、助けてくれたのか……」

「………………」


 ゴゴッ、という音がしながら、巨躯が曲がり、

 ゴウガリオンさんは2人を柔らかな雪に下ろしました。


「………………………真のォォォォ……!!」


 ビクッ。

 声、こわいっ。


「真のォォォ………!! 強者(つわもの)なりぃィィィ……ッッッ!!!」


 ゴウガリオンさんは、そう、私たちに言いました。

 めっちゃ、こっち睨んでました。

 こわい。


「……? 強者(つわもの)? ……この2人が、か?」

「あわわわわ……!」

「マジぶるぶるぶる……!」


「……………………………さ、ら、ば、だァぁああ!!!」


 ─────ドォン!!! と。

 すっごい音がして、気づけばゴウガリオンさんは消えていました。

 私たちは、その衝撃で、めちゃくちゃな量の、

 溶けかけの雪を被りました。


「「「……、……」」」


 ゴウガリオンさんのお陰で、

 比較的、山のふもとに近いところで、

 クルルカンさんと狂銀さんをゲットした私たちは、

 すぐさまパートリッジギルドに引き返し、

 出来るだけ人目を避けて、

 裏口のほうから、ベッドがある部屋に入りました。

 マジカさんはお風呂に直行しました。

 二人を同じベッドに寝かしつけたとき、

 変なことに気づきました。

 金と銀の、髪の先が……繋がってる……?


「ギルマス……?」

「……! チロン、よい……そのままにしておけ」


 けっこう疲れが溜まっていたようで、

 ブレイクさんは隣の部屋でドッカリと椅子に座りました。

 私は一応獣人で、体力はあるほうです。

 備え付けの紅茶セットの火の魔石に手をつけます。


 コトコト……とぽぽ。


「…………どうした、ものか」

「? ギルマス」

「本当に……生きていた……!」

「……? えと……?」


 ブレイクさんは、ホッとしたような、

 今にも泣きだしそうな顔になりました。

 普段、ギルマスとして君臨している時には見せない、

 優しいお爺ちゃんのような表情でした。


「あの、それは、クルルカンさんのことです……?」

「それもだが……もう1人の仮面の少女もだ……」

「……! 狂銀、さん……」

「彼女は、かつて"紫電"と呼ばれた魔法職だ……そして」


 紅茶を一口。


「……2年前の、パートリッジ教会崩落事件の、犯人だ……」

「──!! あの、狂銀さんが……!!」


 ふぅ、と息をはくブレイクさんに、

 迷いの表情が浮かんでいました。


「死者が出なかったとはいえ、大きな事件だったからな……。彼女は指名手配犯になっている。まぁ……1年前に死亡扱いになっているので、ある意味無効かもしれないが……」

「……捕らえる、のです?」

「……それを、迷っていてな……」


 私も、すぐ横の椅子に座ります。


「彼女は……"紫電"は、教会の地下研究所で、ある実験対象となっていてな……その時の力の暴走が、崩落の原因のようだ」

「……!! ちからの、ぼうそう……!!」


 思わず、隣の部屋を見ました。


「でも……!」

「ふんっ……ああ。今の彼女は、暴走しているようには見えない。だが、チロン。お前もあの光る山を見ただろう?」

「!! まさか……」


 あの雪山の超常現象は、"紫電"さんの、暴走……っ!?


「……、……」

「私は、そう考えている。そして、それを止めたのが……」

「……! クルルカン、さん……」

「……あぁ」


 ……。

 もし。

 もし、それが本当なら。

 クルルカンさんは、この街と一緒に、

 狂銀さんを救ったことになる。

 たぶん、命をかけて────。


「──チロンよ。私はギルドマスターだ。故に、悩むのだよ」

「!」

「あの……恐ろしいエネルギーを秘めた少女を……野放しにしていいのかどうか……」

「……」

「いつ、また暴走するかもわからない……また研究者に委ね、備えたほうがよいのではないかとも、思うのだ……」

「っ! でもっ!」

「!」

「でもっ……チロンは! 今のふたりから、危険な感じはしないっ……! その……。穏やかな雰囲気(シンエル)を、感じるのです……」

「チロン……!」

「なんだか、とっても、今が幸せなような……。そんなシンエルを、チロンは感じます!」

「……ふ。"義賊"と、"狂銀"からか……」

「はい」


 私はこの時、

 何故か、自信をもって答える事ができました。

 眠る2人は、とても幸せそうだったのです。


「……」

「……そう、だな。今さら、研究所送りなど─── 」



 ────、


 ────……どぉおおおんんん!!!


「!!」

「────!?」


 大きな、破砕音。


「隣の部屋からだ!!」

「っ!!」


 慌てて、隣のベッドの部屋に入ります。

 私とギルマスが見たのは────、


「「……────!!」」



 ────光。


 ────ぶち壊され、外が見える壁。


 ────銀の少女を背負う、金の少女。



「──クルルカンさんっ!!」

「アンティ・クルル……!!」


「はぁ……はぁ……!」

「ぅ……」



 ふたりの少女の体は、光っていました。

 まるで、光のイレズミです。

 それぞれ、金と銀の光の模様が、肌と鎧を伝います。

 繋がった髪は、お互いの間を光が往復し、

 なにかを交換しているみたいでした。


 まだ、体力が万全ではないのか、

 狂銀さんを背負った義賊さんの肩は、

 呼吸と合わせて、大きく上下していました。

 鋭い金色の瞳が、私たちを射抜きました。


「はァ、はァ……、けっ……研究所なんかに、行かせないッッ……!!」


「クルルカンさん……」

「君は……」


「かっ、はッ……、こ、これは……私たちが、掴みとった、未来っ!!」


「……」

「……」


「誰にも……じゃま、させないッッ……!! これから、私たちの全てが、始まるんだっっ……!!」

「ん……」


「「…………」」


 目の前のクルルカンさんは、

 背中の狂銀さんを、必死に守ろうとしていました。


「ふんっ……黄金の義賊が、狂銀を守るのだな……」

「ギ、ギルマス!?」


「──この子はっ!! 悪者なんかじゃない!!

 ──わたしもっ!! 正義なんかじゃない!!」


「「──!!」」


 その目には、黄金の輝きが宿っていました。

 私は、魅入ってしまっていたと、思います。


「必ず……この子と一緒にっっ……!!!」


 彼女は、大きな声で、宣言しました。



「────────幸せに、なってみせる!!!」 

 

「「……!」」


 それはまるで、永遠の愛を誓うような、

 クラリとする、言葉でした。


「はァ……はァ……」

「ん、ぅ……」


「……アンティ・クルルよ」

「!」


 ギルマスが、そっと、話しかけます。


「……なぁに?」


「たのむ」

「!」


「……え?」


「──その子を、"紫電"を……」

「ギルマス……!」


 ブレイクさんの目には、外から反射する光が、

 灯っていました。


「 マイスナを、頼む 」


「……────!」


 クルルカンさんは、少し、

 ポカンとした顔になりましたが、

 すぐに、力強い笑顔になりました。


 そして、大きく、頷いたのです──────。




「 ───── うんっ!!! 」



 きゅぅぅぅぅううういいいいんんんん………!!!




『────"反射速度(クロックダウン)":"起動(オン)"。

 ────"力量加圧(パワーアシスト)":"起動(オン)"。

 ───────スタンディング:バイ。』





 キィぃん────────・・・・・・・!






 ────。






「…………」

「…………」



 まるで、絵本のクルルカンのように。


 一瞬で、金と銀の少女は掻き消えました。


 パラパラと、足跡型に床材が陥没しています。


 ぶち壊された穴から見える雪に、


 陽の光が反射し、キラキラと綺麗に光りました。


 私は、あの絵本の続きが、


 こんなだったらいいな、と思いました。




「……チロンよ」

「はい」

「礼を言う」

「ふぇ?」

「私は、ギルドマスターとして間違った選択をした」

「……」

「そして……人として、素晴らしい選択をしたのだ」

「……! はい……!」

「私は今、とても清々しいのだよ、チロン……!!」

「はいっ!!」


 嬉しくて、耳がぴょこぴょこしますっ!


「ところでチロンよ」

「はい?」

「お前……あのクルルカンが来てから、

 徐々に敬語が使えるようになっているじゃないか」

「え"」

「心配していたのだよ? 少し前までのお前は……、

 "チロンは知らない"、"チロンに任せろ"、

 "チロンはやればできる"、"チロンの今日のおやつは"……」

「な"、な"、な"」


 ぴょこぴょこ。


「ふんっ……もしそのままなら、受付から外していた所だ……よい機会だな。これからは自分の事を"私"と呼称しなさい」

「え、え、え……」

「"わかりました"は、いただけないのかな?」

「え、あ……わ、わかりました……」

「ふんっ……! よろしい……!」


 ブレイクさんは、満足そうな顔をして、

 壊れた部屋を後にしました。

 むぅ、やっぱり、ピリピリお爺ちゃんです。

 私は──……。


「ふふ……」


 もう一度だけ、壊れた壁からの景色を見て。

 受付まで、修理の依頼をしに、戻ったのでした。





 それが、私の知っている、


 あの日の後の、出来事です。









「あれから随分、経ったものです……」


 カップのコーヒーは、良い香りをさせながら、

 冷めていきます。


「私も、それなりの受付嬢に、なれたかな……?」


 この前、同僚に告白されました。

 どうしましょう。


「元気、かなぁ……」


 もし、付き合う事になったら。

 一緒に、ドニオスの街に遊びにいこうかな……?


「世界は……楽しいことに溢れていますね」


 ブルル、と、耳が思い出をふるい落とします。


「さぁて……帰り支度をしましょうか。あれ……」


 カウンタに、ひとつの封筒が置いてありました。

 これは……もしかしなくても、処理し忘れですね。


「まったく……私の担当の子でしょうか。先輩は苦労するものです!」


 やれやれ……これは、街門の出張所送りですね。

 封筒に、にやりと話しかけます。



「……きみも、あの人たち(・・)に、配達されるのかな……?」



 この封筒の中には、


 だれも知らないストーリーが、


 封じこめられている───────。








 あの日から、まもなくして────。


 その噂は、瞬く間に広がった────。





 西の街、ドニオスには────。



 二人組(・・・)郵送配達職(レター・ライダー)がいて────。


 いつも一緒にいる、その人たちは────。







 ある有名な(・・・・・)絵本の(・・・)


 最後のシーン(・・・・・・)のふたりに(・・・・・)ソックリなんだって(・・・・・・・・・)


 


 





「いや──、やべぇ! 遅刻だわ! マイスナ! 走るよ!」

「むぅ──! もっとアンティとイチャイチャしたかった……」

「ばっ……、い、いっつもしてるじゃないのよぉ……」

「配達しながら、チュッチュする」

「や、やめんかぁー!! 明日の朝の記事にのるわっ!!」

「ドンとこい」

「あっっふぉぉお……! ただでさえ、いつも二人でギラギラ目立ってんのに、これ以上、伝説ふやしてどうすんのよォォー!?」

「んふー、公開処刑。ペアで」

「あに言ってんだコイツ……ほら、行くよ!!」

「んー! アンティずるい! 家ではアンティもすごいのに……」

「いっ……!? あーあーあー! やーめーんーかぁ──!!! 家は家! 仕事は仕事!!」

「仕事と愛の両立。尊い……」

「マイスナ、てめぇは狂ってる」

「んべー。狂銀だもーん」

『────アンティ。まもなく地上です。』

『>>>ちゃんと着地してねー。てかさー。いっつもここから40メルのダイブしてる時点で、めちゃくちゃ目立ってるよねー』

〘------帰りに酒;買うのん? 買うのん!☆〙

〘#またか……君は少し、節操をだな……〙

「ちっ、くそスライム女が……くそぉぉぉ、いっつも高い酒ばっか飲みやがってぇ……!!」

「ローザ、めっ」

〘------えぇえ──☆〙

〘#マイスナ。その軌道だと、アンティの至近距離に着地するぞ?〙

「ドンと恋」

「わっ、ちょ、離れっ!?」

「ひしっ♡」

「ぎゃー!! だーきーつーくーな─────!!」















 それは。


 ほんの少しだけ、未来のお話。









(●´ω`●)スペサルTHANKS・・・!。・:+°

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