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ドラゴニック さーしーえー

(´・ω・`)え……?

さしえが一番多いなろう作品……?

いやいやいやいや……



 タララン、タララン、タララン〜〜♪

 タッ、タッ、タッタタ〜〜♪



───────────────────────────


 ヨロイのドラゴンがあらわれた!▼


 たたかう 行動不能

      行動不能

      行動不能▼

 にげる×


───────────────────────────



 ぐぅるん、ぐぅるん、カプカプカプカプ。 



『ギャウギャ〜〜ウ、ギャウッゥ〜〜♪』

「……なんやこいつ……」


 ちょっと待って……頭、追いつかない。


『ギャウ〜〜? ギャウギャウ?』

「…………」


 さっきまで、すごい悲しい気持ちだったのに。

 いや、現在進行形だけど……。


「……」

『ギャウゥ〜〜!』


 涙を流しつつ、唖然と見る。

 私の右腕は、お遊戯会のお人形さんヨロシク勝手に動きまくっている。

 キョロキョロ、カプカプしてるわ。

 こいつアレね、ドラゴンね。

 ドラゴンってったら……もう、私のヨロイのドラゴンしかないじゃない。


『ギャウゥ〜〜……?』

「……え、な、なに……」


 ズィズィ。


 顔に近づいてきた。

 私のコト……た、食べるの?

 いま、動けないから、抵抗のしようがない。


『ギャウ、ギャウ』

「……んっ!」


 ──ガンガン。ゴッ、ゴッ。


「ぃ、ぃたぃ」


 下顎で小突かれた。

 ちょ……やめて。

 乙女の頭、ノックしないで。

 これ、アレだ。

 ナックルだった装甲が肥大化してドラゴンの顔になってるっぽい。


 アブノさん、何やってんのよ。

 こいつまだ、生きてるよ……。

 ちゃんとシメといて……。


「うぅ、ぅ……」

『ギャウゥ〜〜♪』

「なんで喜ぶの……」


 この全自動ドラゴン人形、

 ホントに私のヨロイのドラゴンなのかなぁ……?

 だとしたら……ずっと一緒に、ここまで来たことになる。

 うぅ、そういや、レエンの魔王をぶっとばした時、

 私は、こいつから力を貸してもらったの?

 あの時は、全身のヨロイのカタチが変わったんだよね……。


 うー、クラウンか先輩か、どちらかが、

 "もしドラゴンの名前がわかったら、力を引き出しやすくなるかも"、って言ってたような……。


「あんた……名前なに」

『ギャウゥ〜〜ギャンギャンギュー!!』

「……ぅ、うるさぁい」


 クラウンのチカラを使えれば、魔物の言葉、わかるかもしれないのに……。

 翻訳デバイスは全く反応しなかった。

 私も操作系のデータは持ってるっぽいので、

 使えないって事は、大元のデバイスが停止してるってことだ。


「く……クラウン、先輩……! へ、返事してよぉ……!」

『ギャウゥ?』

「…………」


 ……いよいよヤバい。

 クラウンに、明らかに何か異常が起こったという事。

 先輩の修復、失敗しちゃったの……?

 そんな、そんなこと……。


『ギャ〜ウ! ギャ〜ウ?』

「……! ……。ごめんね、いま私、動けないの……」


 一人ではなくなったけど、こいつはまずい。

 先輩が私に憑依すると経験値と体力が消耗するけど、

 クラウンが憑依すると全身の流路が消耗するらしい。

 身体に、ほとんど力が入らない。

 雪と雷はまだ続いている。


「どうしよう……」

『ギャ〜ゥゥゥ! ──ギャウ?』

「え?」


 こっちを向いていた右手ドラゴンが、

 キョロリと、いきなり後ろを向いた。


「なに……どったの……?」


 ドス……ドス……!


「──っ!」


 ぁ……足音……!?

 こんな、雪山の奥に……?


『ギャウ──!!』

「ち、ちがぅ……! こんな所に来るのが、ヒトなわけない……!」


 凍えるほど寒いのに、さらに寒気がする。

 吐きそうになって、お腹がジワリと、あったかくなった。


 ドス……ドス……!


「ひっ……!?」


 その魔物は有名だったので、私でも知っていた。


「い、"イエティ"……!」

『ギャウゥ〜〜!』


『 ウゴゴゴゴ、ゴギギキキキキィィ……!! 』


 真っ白の、でっかいお猿さんだ。

 ヒゲイドさんくらいある。

 学校の教科書の挿し絵通りの姿だ。

 違うのは、なんか石の棍棒みたいなの持ってる。


『 ウゴギギギギギァァァ……!!! 』


 ひ……ヒトに近い姿だから、なんかやたらと怖い!

 表情が、読み取りやすい!

 めっちゃ怒ってる!

 なぜ!?

 この雷は、私のせいじゃ……!

 いや……。

 私のせいかもしれないけど……でもっ……!


『 ウゴォォオオオオオゥゥッ……!! 』


「ひ、ひえぇ……っ!」


 クラウン達がいて、ヨロイが正常なら、こんなヤツになんか負けない!

 でも今は、ほとんど身体が動かないし、仮面も被ってない!

 "反射速度(クロックダウン)"も使えないし、"力量加圧(パワーアシスト)"の防御も働いてないかも!

 流路を消耗しているのか、歯車も出せないし……!

 だ、ダメだぁっ……!


「こ……こにゃいで……!」


『 ゥウゴァァアアアアア──!!! 』


 棍棒と拳を振り上げたイエティは、めちゃくちゃデカく見える。

 私が雪に寝転んでるのもある。

 そりゃ、涙でる。


「……、──ぅ……」

『……ギャウ──?』


 右手ドラゴンが、首を捻って、こっちを見ている。

 ……。


「……たしゅ、けてくれる?」

『ギャウー!』



 ──かパッ!



 っと、ドラゴンの口が開いた。



 パァ……ァァァ……、……ァァアッ、アアアアアアアアァァァッ、


 ズォォオッ、オオオオオオオオオオオオオオオオオ…………!!!




 ────光が、集まる。




「あ」



 それ、



 ダメっ。




『 ギギャウ──!!! 』



 ─────────ディゥォンッッ!!!!!



 イエティの上半身が無くなる。



「いいいいぃいぃゃぁぁあああ─────!!?」



 私の身体が反動で吹っ飛ぶ。



 ─────……どごぉぉおおおおおんんん……。



 音。

 一瞬、明るくなった。


 私の身体が、雪に転げまくって、

 もみくちゃになって、止まる。

 何本かツララを粉砕した。



 ゴロゴロ……。


 ドド、ウウ、ドド、ウウ、ンン、……!

 バサッ……ド、メキ、メキメキ……!



「うぅ……、ぅ〜〜……」


 たまたま、視界に入った。

 向こうのでっかい木が、雪が全部落ちつつ、倒れてってる。

 いや、一本じゃないわ。

 バッタンバッタン倒れてる。

 メキメキいってる。


『ギャウ〜〜♪♪♪』

「……、……ぐ」


 やばい……。

 この子、"ソルギア"が使えるぞ……!

 


「あ、ぁ……う……!」

『ギャウ〜〜?』


 ぐ……私、何回転したんだろぅ……。

 フラフラする頭を、何とかしようとする。

 当然、まだ起き上がれない。


『ギャ〜〜ウィィ〜〜!』

「ちょ……おぅぇ……」


 ドヤ顔のドラゴンとは対照的に、私はドンヨリ顔。

 いい感じに、お腹ん中がシェイクされた。

 そら泣く。


 ……ギン。


「──!」


 指先から金属質の音がした。

 目線を向ける。

 ──ッ! こ、これ……!


「……"狂銀"の仮面の、一部……!」


 間違いない!

 私が砕いた、あの子の仮面の一部だ。

 片方の銀のツノが、綺麗に残っている。


「……、ぅ……う……!」


 ついさっき起こった事を、思い出す。

 まるで、夢を見ていたみたい。

 狂った銀の仮面。

 傷だらけの姿。

 ツノの生えた、憧れの人。


「ぐぅ、うっ、ぅうぅ……」


 ……。

 信じたくない。

 何一つ……。


「うぇ、えっ、えっ、えっ……しで、んんんぅ…………!」

『ギャウ〜〜』


 ギャウ〜〜じゃねぇぞコラァ……。 

 ガン泣きすっぞコラァ……。

 ボタボタボタボタボタ……。


『──ギャウ!』

「ふ、ふぇ……?」


 ドス……ドス……。

   ノシ……ノシ……。

  ドス……ドス……ドス……。


「……」


 もう、やだぁ……。


『 ウゴゴゴゴホォォオオ……!!! 』

『 ゴォオオオオオアアア……!!! 』

『 グォオオオオオオオオ……!!! 』


「囲まれてんじゃないのよぉ……!」


 アレよね。

 さっき、ご家族を、ぶっ飛ばしたからよね。

 それなら右手のコイツに言ってよね。

 やったのコイツだから。

 ……それって、私か……。


『『『 ゴァァアアアアアアアア──!!! 』』』


 うわぁ。

 あいつとか、岩投げる気満々よねぇ──。




『 ギャオ……ォオゥゥ、ゥゥゥ……ッッッ!! 』


「ふぇ?」



 殺気。


 イエティ達からでない。


 右手から(・・・・)




 ────バキぃぃん……!!




 右腕の装甲がへし割れた。


 目を()く。


 違う。


 装甲が、変形(・・)したんだ……!




 ────ゴキンッ、ガキ、ズゴ。




「ひっ、だ……」



 左足がッ────……!?



 ガシャンガシャン。

 バキんガキん、ガゴ。


 ゴッ……ゴォオオオオオ────!!!




『『『 ウゴォオオオアアアア────!!! 』』』




 イエティが集団で襲いかかってくる前に。

 私は、空へ舞い上がった。



『ギャオオォォォ───!!!』

「────〜〜〜〜ッッッ!!!!!」



 変な角度のまま、空に引き寄せられてるッッ!?

 ナナメに身体が引っ張られる!!

 空? なぜ! どうなったの!?

 ぶあっ!? 目に雪、入った!

 にゃ〜〜〜〜!!

 か、風がッ……。


「ぅ、うう〜〜……!!」


 何とか、首を動かす。

 見る。


「こ、これっ……!?」


 ゴォォオオオおおお──────!!!


 左(ひじ)と右(ひざ)のバーニヤから、

 光と炎が噴き出していた。

 ちょ! 髪焼けるって!? 髪!!

 なんで勝手にブーストが──!?


「──っ!!!」


 それよりも、驚くことがあった。


「そ、そんっ……!?」


 左足が、黄金の尻尾(・・・・・)になってる(・・・・・)──ッ!!


 ────ブォオオン……!!


 長いっ……!!

 自分の足じゃ、ないみたいッ……!

 これは、歯車とヨロイで出来ているのッ……!?

 太もものジグザグギアも、バックリと展開してる……!

 隙間から、ヨロイ内の筋組織が見えまくってる!!

 

「うぁ……!?」

『ギャルルルルルルルゥゥゥウウッッ──!!』


 右手は、ブチ切れた(・・・・・)ドラゴンさんの顔(・・・・・・・・)

 ……!

 首の部分が、長くなってる……!

 どうなってんの!?

 こん中に、私の腕があるはずだよね!?

 そんな、これ、これって……!



「これっ……ドラゴンにっ……!?」



挿絵(By みてみん)

『GYAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!』

「んぬわ"ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」




 ──私のカラダ、ドラゴンに、なってる。






((((;゜Д゜))))……。

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