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ジェットコースター、コース無し

あの子が大活躍(?)します。



 ──びゅおおおおおおおゴォオオオオオ──!!!



『GYAOOOOOOOOOOO!!!』

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいい!!!」


 半分ドラゴンになっちゃった私が、空に舞い上がる!


 ぎゅぅううっ。


 ダメだ!!

 力を入れちゃダメだ!

 少しでも入れると、身体が硬直するっ!


「く、くぅ……!」


 力を抜く……!

 そ、そうよ……。

 これまでの経験で、わかった!

 こんな空中をかっ飛んでるときは、

 あえて力を抜いて風を楽しむくらいの気持ちの方が、

 冷静になれるのよ!


 逆に、落下してる時とかに少しでも力が入ると、

 そこから勝手に身体が反応して、ぎゅ〜〜〜〜って、強張(こわば)りが全身に伝わっちゃう!

 腰、ガクガク。

 トイレ、我慢してる時、地獄。


「ふっ、ふぅ……、……」


 力を抜け、冷静になるのよ、私……。

 こんな、勝手に空(そら)連れ回されてる状況で、よく全身の力を抜けるわよね私ってば……。

 経験って、大事よね……。

 食堂娘にしては、ハードな人生送ってるもんね……。

 いや、現在進行形だな……。

 もう、身体が半分ドラゴンだもん……。


『GYAOOOOOOOOOOO──!!!』

「〜〜っ! うぅ〜〜ぅううッ!?」


 ぎゅぅぅうううう───!!!


(ぎゃあああああああああ)


 自分の意思に反して、

 勝手に太もも辺りの筋肉に、力が入った!

 そこからジワジワと、伝染するように硬直が伝わってくる!

 ぐぶっ、腹筋がっ! 腹筋がっ!?

 ひぃぃいいっ! やめぇぇええ〜〜……!!


 ぎゅんっっ!! ごぉおおおおお────!!!


「──! 〜〜……」


 ドラゴンさんが飛ぶ方向が変わり、

 うまいこと、身体から力が抜ける。

 ち、ちびるって。

 これ……身体の何割かの筋肉が、

 ドラゴンさんに筋肉、操作されてる……!

 どうなってんのよ……。

 ──ん!?

 ちょっと待って、これ、落ちてない?


『GTAAAAAAAAA────!!!』


『ウゴ──────!?』

『ウガァ─────!?』


 

 上から見たイエティさんたちは、小人に見えた。

 うん、逃げてるね。


 かぱぁ……!

 ひゅんひゅんひゅん……!


 ドラゴンさんの口の中のバッグ歯車(・・・・・)が回転し、小さな太陽が形成されていく。


『GYABOO──!!』


 ひゅ───────ん……、

 DDDDDDRRRRRAAAAAGGGGGOOOOOOONNN!!!


『『『ウゴあぁ───────!!!!!』』』


 すごい、爆発した。

 可哀想……。

 何体か、宙に飛んだね。

 あの落下してるイエティさん、悟った顔してる。

 ちょっとゴリルさんに似てるなぁ。


『ウゴォアアアアアア!?』


『GBA……』

「ちょ……あっ、こっち落ちてくる……!」


 悟ったゴリルさん以外に、

 空中で醜く叫びながらキリモミ落下してるくイエティさんがいた。

 このままだと直撃するっ!

 きたきたきたぁ。


『GYAA--BAAAAAA───!!!』

「ふ、ふぇっ────……!?」


 くるっ……、どぉうん!!


 尻尾。

 いや、私の左足だっ!

 ドラゴンさんは、くるっと回って、

 もっくそ、尻尾でイエティさんを跳ねた。

 もがいていたイエティさんは、

 打ち上げられた瞬間、動かなくなる。

 垂直に、上に飛ぶ。


「……! 今の感じ……"力量加圧(パワーアシスト)"……?」


 ドラゴンの尻尾と化した私の左足の装甲では、装甲からはみ出た筋組織が脈動してる。

 これは、ドラゴンの筋肉の本来のチカラ……?

 あ……。

 明らかに昇天していらっしゃるイエティさんが、また上から落下してきた……!


『GYA……? GUOOOOOOOAAAAA……!』

「わ」


 がっぱあぁぁぁ……!!


 ドラゴンの上顎と下顎。

 右手のグローブのナックルだった場所が、さらに肥大化した。

 ──ゾッとする!


『GYABUUU』

「  うそ……  」


 バクんっ……!!

 ──ゴッ、、、クン、、、。


 た、たべちゃった……?


『GYAATU--GYAAA!』


 ドラゴンさんの頭の大きさが、元に戻る。



───────────────────────────


  ひょうはくどらいぶ × 1


───────────────────────────


「……、……」


 なんか視界に表示されたけど、それどころじゃない。

 こわぁ。

 この右手ドラゴン、超凶暴。

 悪食すぎる。

 あ、あ、こら、また下に向かって飛んでる!

 もうわかるわ!

 こっこれ、"ヒットアンドアウェイ"だっ。


『GYAAAAAAA--BAAAAAAAA!!!』


『ウゴゴゴゴゴゴゴ──────!!?』

『ウンガガガ────────!!!』


 そら、イエティさんも逃げる。

 空中から、プチ太陽で狙い撃ちだもの……。

 さっきのゴリルさん似のイエティ、どこいったかな。

 あ……木に引っかかって助かってる。

 うん……じっとしときな。

 後で逃げて、サルサさん似のイエティさん見つけて、

 パンジーちゃん似の赤ちゃんを産んでもらうといいよ……。


『GYAAAAAAAAAA───!!!』


 どぉおおおおんん!!

 どぉおおおおんん!!

 どぉおおおおおおおおんんん!!!


『『ウゴォオオオアアアア』』


 こえぇ……。

 うあぁ。

 ど、どうしよう。

 私、身体、完全に乗っ取られちゃったのかなぁ。

 これが、ドラゴンのソウルシフト、"捕食(ほしょく)……?

 もしかして……。

 顔になってる右手と、尻尾になってる左足は、

 もう食べられていて、無くなってるのかなぁ……。

 そんなの、ヤダなぁ……。

 痛みは感じないけど……。

 身体はもう、なされるがままだ。

 首も、動かない。

 そうよ、この歯車で固定され……。


「…………」

『──GYAAAAAAA────!!!』


 ……なんで、私の首は、歯車で固定されてる?

 ……。

 待て。

 私は何か、気づきかけてる。

 ……。

 "保護"……?

 この、無茶苦茶な飛行で、

 首の骨が持ってかれないように?

 ……この歯車を操作しているのが、

 このドラゴンだったとしたら?


「……ねぇ、あなた……」

『GYAAAAAAAUUUUU───!!!』


 ……守られている(・・・・・・)。

 確かに、私は守られている。

 意識して身体の感覚を感じ取ると、

 関節の弱い所や、衝撃に弱そうな所は、

 おへそ以外は、歯車や筋組織で守られている。

 このドラゴンヨロイの構造から、

 確かに私を守ろうとする意思が感じられる。


「ねぇ、アンタ……!」

『GYAAUUU---AAAAA!!!』


 話を、きいてっ……!!



『──ニャ--ゥ--:"こんどはまもる、ぜったいまもる"。

 ──そう言ってるニャ!。』


「────ッッ!!!」


 右肩ッッ!!


「くにゃうんっっ!!!!!」

『──ニャー!。えらいことニャっとんニャあ! ドン:アンティ!。』

「くっ……くにゃうんんんんん〜〜!!」

『──なっ:ドンが泣いたニャ……。ニャーは罪なニャンコだニャ?。』

「あ、あほぉ〜〜〜〜!!」


 右肩の、ドラゴンの首の付け根に、

 トラ柄の金ピカ猫が、へばりついているっ!!

 てかっ、アンタ……!?


「どうやって、バッグ歯車の外にッッ!?」

『──ニャー?。ま:それは……後回しニャ!。』

「いや後回しってアンタ……!」


 キラキラキラ……!


 間違いないっ、七号機だわ!

 トラ柄のボディの周りには、アナライズホロコーティングがなされているっ!


『GYAAAAAAAOOOOOOOOOOOO!!!』

「わ〜〜〜〜!!」

『──ニ:ニャ〜〜〜!?。』


 ぐるぅううううんんん───!!!


 ドラゴンがまた旋回し、

 地上を逃げ惑う、哀れなイエティさん達を狙う──!


 カッ─────どぉおおおおおんん!!!


『──ニャ:ニャんニャー:こいつー!?。守るってったって:コレはやりすぎニャー!!。バクゲキキニャー!。トラトラトラ──!。』

「はっ……! くにゃうん……!! クラウンはっ!? 先輩は、みんなはどうしたのっ!?」


 やっとコンタクトできた、歯車仲間だものっ!!

 当然きく。


『──ニャップー……:。よ:よく聞くのニャ……。クラウンたまは:どうやら"スリープ"しちゃったのニャ……!。』

「す、"スリープ"!? 眠ってるってこと?」

『──そ:そうニャけど:ドンが言ってるようニャ概念の"スリープ"とは:ちょっと違ってニャ……?。』

「よ、ようわからんっ! とりあえず、生きてるのね!?」

『──ととと:当然ニャッ!!。クラウンたまは:そう簡単には:くたばらんニャ!。』

「ほっ……!」


 クラウン、眠ってるんだ……。

 先輩を助けるために、力を使ったから?


『──ただ……:クラウンたまの"スリープ"と同時に:かなりの流路システマが停止したニャ……。これはかなり異例の事態だニャ!。ニャうぅぅ──!。』

『GYAAAAAAAAAA────!!!』


 ごぉおおおおおおお────!!!

 どぉん、どぉん、どおおおん……!


「くぅぅ──……!」

『──そっ:それでかなりの通信デバイスが断絶したニャ。"時限結晶(アイテムストレージ)"の中では:二号機が中心になって復旧を進めてるニャ!。ニャーは:ドンが心配にニャって:流路を迂回して:直接ここに顕現化(マテリアライズ)したんニャよ!?。』

「あ、ありがとぉ……!」


 ようわからんけど、七号機は頑張ってここに来てくれたらしいっ……!


『──とにかく:このギャウギャウを止めるニャ! 落ち着いてニャンニャンもできんニャー!。』

「く、くにゃうんっ!! そうだ、あなた……このドラゴンの言ってること、わかるのっ!?」

『──だいたいわかるニャよ!。ニャーにも:"ダンジョンモンスター言語翻訳機能"は:ちょっとだけ使えるニャ!。』


 し、しめたっ!


「会話ができるなら、活路はあるわっ!」

『──ドン:アンティ!。コイツはワルいヤツじゃニャいニャ!。ドンを守ろうとしてるニャ!。でも:やり方がヤバいニャ!。』

「わかってる! でも、どうすれば……!」

『──決まってるニャ!。話しかけるニャ!!。世の中:それが全てニャのニャッ!!。ニャーが翻訳するニャー!!。』

「……! はは……」


 悟ったようなこと、言いやがって……!


「たのむっ……!」

『──任せろニャァアアア!!。あ:早くしないと:ニャーが落ちるニャよ?。』

『GYUUUUAAAAAAAAA────!!!』


 ぎゅ────────────んんんっっ!!!


『──ニャはぁぁあ──────!!?。』

「くっううう〜〜〜〜!! くそっ!!」


 すすす………しゅるんっ!!


『──こ:これニャッ!?。』


 髪の毛をひと房、操作できたっ!!

 くにゃうんをくるくるってして、固定する!


「どうっ!?」

『──さすが:ドン!。ビックリ人間ニャッ!!。』

「しばくぞっ!! ねぇっ!! ドラゴンさんっ!! きいてっ!!」


『GYAAAAA……AAAAA!!!』


『──まだニャ!。まだ足らんニャー!!。根性入れるニャー!!。』

「っ……!! 聞いてよっ! ドラゴンっ!!!」


『GYUUUUU……UUUUOOOO……!!』


『──イケイケドンドンニャ!!。気合いが足らんニャ!。我ら:ドラゴンスレイヤーニャぁぁぁあああ!!。』

「っ……きけ……って……!!」


『GUUU……UUU……GYAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOO!!』




 ────ブチッ。




「────き け っ つ っ て ん だ ろ、

 う ん に ゃ ろ ぉ ぉ が ぁ あ あ ──!!!」



 しゅるるっ─────!!!!!



『──ニャあ……?。ニャッ:ニャあああぁぁぁあああ!!?。』



 ────ブンっっ──!!


 がァんッッ!!



『──ニャゴッッ……!。』


『GYAA……?』



 髪の毛使って、猫投げた。

 ドラゴンヘッドに、クリーンヒット!

 こっち向け、コラぁあ……!



『──ニャんへら:ニャんへら:くるくるニャんむぅ……。』


『ギャウぅぅ──?』



 ────ピタッと。



「ッ……! や、やっと止まったわねっ……! はぁっ、はあっ、はぁッ……!」



 空中で、ドラゴンさんが停止した。





『──あの……。ちょっと:ヒドくニャい……?。』




龍虎、相打つ。( *言ω言)。・:+°


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