────行動ログ:No.347。│ さーしーえー
正直に言うと、今までクラウン視点から、
逃げてきました。(´-` )
──レディ。
──当機は:歯車法常時展開型基幹デバイス、
──"クラウンギア"です。
──行動ログ:No.347の記録を:開始します。
──・──・──・……── ‐ ‐ /
「……王都いやだ王都いやだ王都いやだ王都いやだ王都いやだ王都いやだ……王都、やだ……」
『>>>元気だしなよぉ』
「にょんむ──……」
『────。』
──対象者:アンティ・キティラの奇行を確認しています。
──両膝を抱え込み:両腕にてロック状態を維持。
──ベッド上部を、緩やかに反復運動中。
「ううぅ、プレミオムズなんて、みーんな、うさ丸になっちゃえばいいのよ!」
『>>>なんでやねん!』
『────……。』
──警戒発言を感知。
──助言モードです。
──最適なアドバイスを:発言します。
『────アンティ。その条件下では、あなたも:うさ丸化する事になります。』
「……いーじゃない、うさ丸どんとこいよ……にょんやにょんや、どこまでもにょきっと逃げてやるわよ……ぴょんぴょんわーるどよ、さすればぴょんぴょんわーるどなのよ……」
──アドバイスに対する発言分析中。
──ワード:"ぴょんぴょんわーるど"に:該当:無。
──スペック確認中。
──状態:混乱しています。
──感情域により:発言を開始します。
『────く、クルルカン。私には翻訳不可能判定。』
『>>>あ──……随分まいってるぽいねー。でもさ? 一応、あの後に話し合って、解決案は出てたじゃない!』
──問題定義の確認中。
──議題:"プレミオムズ集会と試験の日程の調整"。
──先刻の会話ログの一部を:感覚圧縮にて、再生中──。
──再生開始>>>。
∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀
『……解決手段は限られてきますわ。早めにカーディフに帰って、個人で試験を受けてから、すぐドニオスに戻って、王都で開かれる、"プレミオムズ集会"に備えるしか、ないのではありませんの?』
『わぁ〜〜〜!! ヒキ姉、またポロッと余計な事、言いまくってるよぉぉおお!!』
『試験だと……? おまえ、まだ学生なのか?』
『カーディフ……? あ、アンティさんのご実家、あの街なんですね?』
『…………。アンティ。私のおっぱいを好きなように揉んでいいので、許してくださいませんか?』
『あほぉぉおおお〜〜!! おっぱいで全ての罪が許されるなんざ、思うなよぉおおお〜〜!!?』
『……聞かなかったことにしてやる』
『……う、受付嬢の耳は、節穴ですよっ』
『……キッティ……それ、"目"の言い回しだかんね……あああっ、"プレミオムズ集会"、サボっちゃだめなのぉぉおッッ!?』
『……いや、アンティ。初めての集会にこない奴は、けっこう、調べられるぞ?』
『……うそでしょ』
『一応、それぞれの大クラス職の代表者、という肩書きだからな。大切な存在だから、無断ボイコットした奴は健在かどうか、調査隊などを組んで、居場所やステータスを調べたりするのだ。ドニオス出身のプレミオムズの一人に、よく行方不明になってる奴がいてな? ……アンティ。結論を言うと、プレミオムズ集会が開かれた場合、お前は必ず出ろ』
『うっへぇぇええ、うそぉぉおお……』
『もちろん、アンティさんが調べられれば調べられるほど、無許可の"Gsランク"である事がバレる可能性は高まります。その時は、その……みんなでチ──ンです。アンティさんは、学校の試験をとっとと片付けてから、集会に出席なさって、話術やら愛想やらで切り抜けるしかありません!』
『そ、そ、そんなぁ……むちゃくちゃなぁ……』
AAAAAAAAAAAA
──>>>再生終了。
──内容精査中。
──確認を開始。
①カーディフの街に可能な限り早く帰郷。試験の事前受講の交渉を行う。
②迅速にドニオスに帰還。プレミオムズ集会の有無の確認。
③プレミオムズ集会が開催される場合、王都に訪問。話術と愛想で切り抜ける。
④懸念事項:試験期間中の体調管理。
──作戦内容を保存しました。
「んむぅ〜〜〜〜、ふみゅ〜〜〜〜、ほんみゃ〜〜〜〜ぁぁ!」
『────。』
──対象者:アンティ・キティラの奇声を確認しています。
──"んむぅ〜〜〜〜":理解不能。
──"ふみゅ〜〜〜〜":理解不能。
──"ほんみゃ〜〜〜〜ぁぁ"理解不能。
──理解不能率:100パセルテルジです。
──感情域に:致命的な論理バグを確認。
──精査未遂の状態:発言されます。
『────……り、理解不能。不能です。わ、私は:どうすれば。』
『>>>おーい、後輩ちゃ──ん! 奇声あげても現実は変わんないよ──!!』
「ふぬふうふむふぬふむふぬふま……」
──混乱中です。
──混乱中です。
『────ほ、翻訳不可能です。私は:ふ、不可能:不可能判定……。』
『>>>うわぁ、ちょ、ちょと、クラウンちゃんも、落ち着いて……』
──むっ。
──対象者:クルルカンより問題発言。
──言い返します。
『────わ:私は落ち着いていないわけではありません。』
『>>>うそこけ……。目ぇ回してたよ?』
「うみゃ〜〜……、集会、やだぁよぉぉおお〜〜……!!」
「……にょきっとな!」
もごもご。
『────。』
──ボゥル・ラビット:うさ丸の行動を確認中。
──アンティ・キティラの腹部へ移動。
──表面温度:僅かに上昇を確認。
「ううう〜〜、こわいよぅ、うさ丸ぅぅ〜〜……!」
「……にょきっとなぁ!」
きゅうううう〜〜。
──アンティ・キティラによる:うさ丸の抱擁を確認。
──リラックス作用を確認しています。
『────告:体温安定。心拍数:標準値を確認。』
『>>>……しばらくは、うさ丸・大先生に、まかせようか』
『────了解。抱擁中のうさ丸の体温:トレース開始。』
『>>>ま、今は、ちょっとそっとしといてあげたいしな』
「ううう〜〜うさ丸ぅぅ〜〜!」
「にょんやぁ〜〜」
『>>>おし、じゃ、後輩ちゃん! ぼくたちだけで、行ってくるよ?』
「うぅぅう〜〜! いっでらっじゃいぃぃ〜〜!! イニィさんによろしぐねぇ〜〜!!」
ぎゅぅぅううう〜〜。
「にょんにょにょん〜〜」
──基底現実側との交信を一時終了。
──クルルカン精神体と共に:"時限結晶"内に、ダイブします。
──移動中です。
──移動中です。
『>>>……クラウンちゃん。さっき届いたアレ……もっかい見せてもらっていい?』
──クルルカン精神体より:オーダーを受諾。
──ヒット:一件。
──指示断定可能です。
『────了解。ヨトギサキからのメッセージを選択。
────文面データをアナライズカードに転写:再生します。
────ピ────。一・件・です。』
きゅぅぅうううういいん……!
─────────────────────────────
【 あ──……、お、これでええんかいの?
えぇと、おーい、聞こえとるかぁー。
あ──……ま、ええか……。
"いにぃ・すりーふぉお"は、預かった。
返してほしくば、兎にも角にも、
さっさとこちらに、おこしやす。
…………。
……これ、人さらいみたいやな……。
…………。
え、ぇえい、てかはよ、
あの悪魔っ子、むかえにこいあ!
俺っちでは、あの大姉は、
止められんぞ……。
俺っちも、ちんまい頃、たまーに、
同じ目に、おうとったからなぁ……。
……ああなった大姉は、人の言う事、
ほんに、まるで聞かんからなぁ……?
はよせんと、庭に閉じ込められようぞ!
えーから、着の身着のままで、
はよぅこい!
ほんならな──!
ほんに、はよぅなぁ──! 】
─────────────────────────────
──ジジ、ジ──ブッ……。
『────以上です。再生を:終了しました。』
『>>>はぁ。コレ、完全に誘拐されてんな、イニィさん……』
『────"箱庭フォートレス"座標まで、体感:後:60ビョウ単位です。』
『>>>ん。さぁて、じゃあ! 悪魔救出作戦と行きますか!』
『────クルルカン、手を。』
『>>>ん?』
『────ここからは、"時限結晶"内とはいえ、急加速になります。』
『>>>! ……ふふ、なるほど。お出かけに行く時の、子供扱いってわけだ?』
『────……謝罪を申請。』
『>>>! い、いや、皮肉で捉えたつもりはないよ! ……すまない、他意はなかった』
『────謝罪を受理しました。』
『>>>……そりゃ、どうも。手を、握るよ?』
『────。』
『>>>────』
『────。』
『>>>……ねぇ』
『────はい。』
『>>>なんか、ぼくにききたいこと、ある?』
『────な、ぜ。』
『>>>たまに、じっと見るよね?』
『────……。』
『>>>い、いや、勘違いしない! せめてるわけじゃない! ……でもね? なんか、変、だよね……?』
『────う。』
『>>>その、あの時から』
『────……。』
『>>>────"きみは、大丈夫なのかい?"』
■
『────……/、……、!……、──。』
■
『>>>クラウンちゃん?』
■
──。
■
──・──・── ‐ ‐ ──・──・──
■
──きお、く、デー・タが、さ。
■
──ログ、なんば ふめ や て
■
──でぃ れいど はっせ…… ──
■
■
──>>>さ い せ。
──・──・── ‐ ‐ ──・──・──
■
■ ■
■
『────きみは、大丈夫なのかい?』
■
■
『だいじょーぶですよ! せんぱいったらぁ』
■
■ ■
■
『ここで、生きていくしかないのだ』
■
■
■
『ことばを、もどす……?』
■
■
■
『ごめ、わ』
■
■ ■
■ ■
『─────ぎゃあああああああああああああ!!』
■
■
■
『みっつ、に、わかれた、って……なんで、だ……なん、で……』
■
■
■
『黄野、金時……お前が、やるんだ……』
■
『かめん……が』
■
■
『ざけ、ろ、ざけんなよぉッ……うあ、うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』
■
■
■
『う、く、ぐす、ぅ! ざけやがっ……て! これは、"復讐"だっ……復讐だっ! 復讐なんだぁ……みんな、みんな、助けてやるぅ……! 死ぬまで、助けてやるよ……! くあ、くあああ……ああ……!』
■
■
『──君が、そんなにその名前が嫌ならさ?』
■
■
『はは……バカみたいだ────……』
■
────────。
────。
──。
‐。
『>>>ほんとに……大丈夫、か?』
『────……。』
──ぁ……。
──頬にふれる、手。
『>>>クラウン……?』
『──、──問題:ありません……。』
『>>>……。なら、いい……』
『────……。』
『>>>──。』
──。
『────ききたいこと:と、言いました。』
『>>>!』
──。
『>>>……、あぁ。いいよ! 何なりとどうぞ?』
『──、──。』
──わら、う。
──わらって、いる。
『────……なぜ。』
『>>>──ん?』
『────なぜ今あなたは、笑っていられるのですか……。』
『>>>──』
──。
──。
『────忘れて、ください。』
『>>>………』
──。
──私にだって、ログを消したい:時がある。/










