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した! した! さーしーえー

( º дº)<チョット、イッテキマース



 まじすか……。

 



「すごぉ……」


「原石が……。消えてしもたんじゃがのう……」


 祭壇の前の、

 能力おろしをするための、

 白い石の、まぁるい台座。


 ────それが、ごぽっと、無くなっていた。


「穴ですね……」

「穴じゃな……」


 めっちゃ穴、空いてる。

 めっちゃ、きれいな丸。


「! てかっ、あのお姉さん達、どこいったの!?」


 ばらばらだったのに!

 "しゅん!"って元に戻ったわよ!?

 "しゅん"って!!


「あわわわわ、おこってたのかなぁ……あ? あれ? これって私、何も壊してない事になるんじゃ……?」


 あ!

 遺跡破壊のお尋ね者に、ならなくてすむ……?


「いやおぬし、檻の仕掛けは壊し……いや何でもない」

「…………」


 そうでした……うう……。

 何とも言えない気持ちになりながら、

 大聖堂の床に開いた、穴の中を覗く。


「ふっかいですね……」

「うむ……」


 あ、そうだ。



 にょき、


 にょきにょき。


 くるるるる────!


 ちいさめの、歯車です。


 ────ボッ!



「────! おぬし──」

「えいっ」



 ひゅ────────……。



「──────………」

「──────………」



 …………。


 …………。



「……ありゃま、見えなくなった」

「途中まで、火で中が照らされておったな」



 小さな山火事歯車を、

 目の前の縦穴に、投げ落としてみた。

 ……地面に落ちる音がしない。

 途中まで見えてた火の光も、

 見えなくなってしまった……。


「こんな地下の大聖堂の、更に地下だもん……そうとう深いよね……」


 あ!

 あんな小さな歯車でも、

 私のスキルの経験、値……?

 の、ハズだ。

 もったいないな。

 回収回収っと……。


「……ん? あれ?」

「どうした娘っ子」


 ……歯車が、戻ってこない?


『────告。スキルより、投下された歯車のパスが断絶。』

「──えっ!?」


 ど、どゆこと!?

 私の意志では、もう戻せないってこと!?

 そ、そんなぁ……!


「しょぼん……」

「ど、どうしたのじゃ? さっきの火種は、そんなに大切なモノじゃったのか? そんなもの、何故に投げ入れたのじゃ……」


 あ、いや、あのですね……。

 私の火種は、空、飛ぶんです。

 そして回るんです。

 肥大化するんです。

 ゼルゼウルフは消し炭、

 シガラグレイルは爆発ですよ?

 そんなヤワな子じゃ、ないんですよ?

 …………。


 (……や、山火事、そろそろ無くなるんじゃないの?)


『────まだ余裕があります。』

「…………」


 山火事、まだ無くなりません。

 安心な反面、ちょっと複雑ね……。

 乙女として、山火事が主戦力の一部ってどうなの……。


「エンマさん! わたし、ちょっと下の様子見てくる!」

「おい……危険じゃぞ! ここは明らかに抜け道のような仕掛けじゃ! な、何か、階段のようなものがあるはず……」

「だいじょーぶ! 私、上がったり下がったり出来るから!」

「ど、どういう意味じゃ!?」


 "准反重力機構《デミハングラビティシステマ》"は、

 前後左右の飛行は苦手だけど、

 上下の移動は簡単なんだよね!

 ……いつか、鳥(バード)とか、お話の天使みたいに、

 空を自由に飛んでみたいわね。


 とりあえず降りてみよう。

 私の歯車、かえしなさい。


 下に降りて危なそうだったら、

 上にジャンプすればいいし。


 あ、てか私、空は飛べないけど、

 空を歩いたり、走ったりはできるわ。

 ……あれ、人間やめてないよね? 私……。


 魔法職(マジナリー)の人で、

 浮遊魔法使える人、いるって言うもんね!

 うん……せーふ。

 ま、まだせーふだ……。


「エンマさんは、ここで待ってて!」

「お、おい、娘っ子────……ぉお────……」



 ピョ────────ん!!



 エンマさんの声が、小さく後を引く。



「クラウン。減速と光、お願い」

『────レディ(準備完了)。"准反重力機構《デミハングラビティシステマ》":機動。カーディフの火:ギア周回を開始。』


 楕円(だえん)状の、重力を司(つかさど)る歯車。

 明(あか)りを灯(とも)す、炎を司(つかさど)る歯車。


 先輩が呪われてた時の、

 迷宮跡の降下を思い出すわね。



 …………。



「……先輩って、バスリーさんに、告白したの?」

─────────────────────────────

 >>>ぶふぉ

   いきなり なんてことをきくのさ!

   ほ ほら!

   "視覚域拡張野(ベアークラッチ)"も展開!

   しとくからね!

─────────────────────────────


「……にげたな」

『────はっきりしないオトコです。』


─────────────────────────────

 >>>やーめーてー

   心が折れますからー

─────────────────────────────


 とっくに落下の速さは緩やかになり、

 "穴の通路"を、分析しながら、

 下へ、下へと、落ちていく。


 この縦穴、きれいな円柱だわ。

 壁が、とってもきれい。


 そんなに距離は落ちていないな……

 上を見る。


 ……あれ?

 エンマさんが、見えない?

 ゆっくりだから、

 そんなに距離は落ちてないはずなんだけど……。


 上を向いていると、

 クラウンがいきなり、すごい事を言う。


『────"転移系統"の術式を通過中です。』

「─────!?」


 ああん───!?

 んだとぉぉおお────!?


「ちょちょちょちょちょ──!!!?」


 転移って何!?

 てんいってなにぃ────!??


─────────────────────────────

 >>>ちょ ばか! いま!

   そんなバタバタしたら!

─────────────────────────────


「え」



 ……カクン。



 あ……。



 "准反重力機構《デミハングラビティシステマ》"の、


 歯車の回転が、横に、ブレた(・・・)────……。




 ……………………やば。






    ┐

   上

   と

   下

   し

   か

   ム

   リ

   ィ

   ィ

   い

   い

   い

   │

   │

   │

   │

   │

   !

  └









『────デジャヴを確認。』






 ひゅ〜〜〜るるるるる…………





 ────ずどむっ!!


 ────ちゃぽ……。


 ……お?



「……おっ、おっ、立った! 見てクラウン! 私、立ったわよ!?」

『────肯。着地しています。』



 ────ちゃぽ、ちょぽん……。

 ────ぐにっ。


「いやぁ──……! 今回はヨロイ着てたからねっ! 前みたいにガチ泣きせずにすんだわ……って、"ちょぽん"……?」


 ! ここって……!


「うそ……」



 ……どうやら、洞窟のような所らしい。


 どこからだろう。

 少しだけ、細い光がチラホラもれていて、

 まぁまぁ周りを見渡すことができる。

 随分と入り組んだ、えと……鍾乳洞?

 みたいな所のようだ……。


 それはいい。

 それより、ビックリしていることがある。


 ────水だ(・・)。


 この鍾乳洞の下一面、

 大量の水で、満ち溢れている────。


「……何なのよ、ここ……」



 さっきまで、遺跡の地下にいたのよ……?

 ……上のスキマから、

 少しだけ降り注ぐ、光のスジ……。

 まさか、外……!?


「いや……外ってわけじゃないか。明らかに洞窟の中っぽいし……」


 上を見ると、ポッッカリと、

 さっき通ってきた穴が空いていた。

 ……うん、夢じゃない。



 ────ぐにっ。


「……やっぱり、大聖堂のあの穴が、この場所に繋がっているんだわ」


 ────ぐにっ。


「"転移"って……? そんな魔法、本当にあるなんて……?」



 ────ぐんぬ。



「……ぬ?」



 ────ぐんぬぐんぬ。



「……なんか、不安定な足場ね……」





 さぁて。


 私は今、


 一体、何に乗っているのでしょうか……?





挿絵(By みてみん)



( º дº)<おりろコラ。

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