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ララバイキルキル さーしーえー

 

 やってしまいました……。

 ていうかクラウン?

 なんで私の髪、凶器化したの?


『────解。歯車法による固定軸は、空中に設置するよりも、体表に固定した方が強度が増加傾向。』

「え!? そ、そうなの!?」


 空中で固定した歯車より、

 身体に固定した歯車の方が、

 より強く固定されるってことか!

 だから私の髪を軸にして、あんな……

 そ、それは、まぁ勉強になったけどさ……。


「私の髪が、唸りを上げて敵を砕くのを見る、私のキモチはいずこに……」


 自分の髪が、ぎゃりぎゃりギャリーって、

 騒音をあげながら、敵を砕くのよ。

 何と言えばいいの……。

 この、自分が人間離れしちゃってく感覚を……。


「お〜〜い!! 娘っ子や〜〜い!!」


 エンマさんが、とてもいい笑顔で、

 手を振りながら近づいてくる。

 ゆっくりと、

 弾んで進んでくるように見えるのは、

 気のせいかしら……。


「あは、エンマさん、やっちゃいました……」

「いんや、見事じゃった! まさか、ツインテールとはのう」

「ぐぉッふぇ」

「まぁ、守護像の事は、あまり気に病むでない。元々ワシが行こうと言い出したから、こうなったのじゃ」

「えと……」


 床には、先ほどのピンクお姉さん達が、

 破片となって散らばっている。

 あ、うん。

 さっき頭、踏んだね……ごめん。


 あのまま、ほったらかしにして逃げたりしたら、

 ここから這い出て、

 森を徘徊してしまったかもしれない。


─────────────────────────────

 >>>深い緑の森をさ迷う

   十四体のピンク女……

─────────────────────────────


 こ、こわっ……。

 先輩やめぃ。


 ピンクちゃん達はバラバラだけど、

 奇跡的に、大聖堂の建物自体は、

 ほぼ、無傷と言っていい。

 ……うん、原石が入っていた、

 小さな檻(おり)の仕掛けだけは、

 錆びてたのかわからないけど、壊しちゃった……。

 ゆ、床の掃除とか、して行こうかな……。


 致し方なく壊したとはいえ、

 彼女達がまもっていたモノを、

 私達が気安く触れちゃったのは確かだ。

 ……ちぇ。なんだか落ち込んできた……。


「……そだ、エンマさん。さっきの原石、どうなりました?」

「ん? おお! 見てみい。これじゃ──……」


 エンマさんが、懐(ふところ)の布の間から、

 先ほどの、緑の原石を取り出す。


「……ほんとだ! くっついてる……!」

「原石同士が、引き合っておるようじゃ。はずれんよ。むぅ……こんな事は初めてじゃあ。まるで、最初は1つじゃったような……!」

「さいしょは(・・・・・)、ひとつ(・・・)────?」


 ふむぅ……?


「……エンマさん。私も、さっきお預かりした原石、持ってますよね……」

「む? あれはおぬしにやった! 返さんくてもよいぞい?」

「……いえ」


 ──────しゅるるるっ。


 マントの影から、

 小さいままの、緑の原石を取り出す。


「……私、こんなカッコウしてますけど、一応、盗賊にはならないでいたいと言うか……お天道様に、足を向けて寝ないようにしたいと言うか……」


 うう、なんて言ったらいいのか……。


「両親にも、頑張って夢を見つけるって、約束しちゃったんです。私、何とかギリギリ、お金には困ってません。これ、やっぱり、お返しします……」


 エンマさんは、

 最初はキョトンとした顔をしていたが、

 ニッと破顔し、また変な笑い方で喋りだした。


「ど、どははは! 見た目とは裏腹に、なかなか律儀な娘っ子よの! いや……おぬし、"盗賊"ではなく、"義賊"であったな! むしろ、見た目通りと言うワケか! ……ワシに付き合わせたこと、堪忍じゃ……」

「いえ、そんな────……!」


 いきなり軽く頭を下げるエンマさんに、

 片手に原石を持ちながら、

 パタパタと両手を振っていると────……!


 ────ピカッ!


「「!!」」


 持っている原石が、光りだした────!

 なんて激しい、緑の光だろう──!!


「え、エンマさんっ──!!」

「おうっ! この光……ワシにも見えよるぞ! ふむ、こっちも光っておるな……。よしっ! 娘っ子よ! その原石、じっと、持っててみぃ!!」

「え、あっ──……!」


 私の持つ原石に、エンマさんの持つ、

 変なカタチになってしまった原石を、

 近づけていく────。


 不思議だ。


 こんなに眩しい光なのに、


 目を、閉じようとは思わない────。



 ──────────……。


 ────────……。


 ────……。




     「 そぅ それで、いぃ…… 」











「────え?」



 光がおさまる前に、声が、きこえた、気がした。


 女の人の……あれは……


 まさか……。



「娘っ子よ! そ、そぃつはっ────!」


「…………!」





 私の手の中で。


 緑の光を放つ、


 ソレ(・・)は、存在した。




挿絵(By みてみん)

「────カギ(・・)?」


 仮面越しに見る、その原石のカギ(・・)は、

 まるで、血のように(・・・・・)、

 魔法が全体を巡っていた。


 すごい……なんなの、これ……。


「……っ! お、おいっ!? 娘っ子っ!!」

「! あっ、えっ? な、なにエンマさん」

「みっ、みろ、周りの……!!」


 え、え、なに、なんなのよ……。

 後ろを指さすエンマさんにつられ、

 大聖堂の長椅子の方を見てみる────と……?


「────っ!? な、んで──!?」



「キルル……」



 ────ピンクの守護像が、たってる──……!


「ッ──ッ!!?」


 驚きで、連続して息を吸う。


 何故だっ!?

 みんな、砕いてしまった、

 はずなのに!!


「キルル……」

「キルル……」


「うそでしょ……」


 な、なぜ……

 あっちのも、そこにいたのも……!


 ──立ってる(・・・)、無傷だ(・・・)──。


 そのまた後ろで、何かが動く。



 ─────しゅん!



 一瞬だった。


 粉々の破片が、次の瞬間に、

 元の、女の人のカタチに戻った。

 いちビョウもかかってない。


 ────気づけば、十四体、立っていた。


「…………」

「……お、おい、娘っ子……」



 睨み合う。


 私達と、


 ここを守りし、像。


 変だ。


 つっ立ってる。


         動かない──。





      「「キルル」」


     「「キルルキ──」」


 「「「キタルベキ トキハ キタ」」」


 「「「ソノ カガヤキト トモニ」」」



「…………」


「…………」



 ────スッ……。




   「──────イキナサイ──……」



 一体の、顔のない女の人の像が、

 私たちの、すぐ後ろを指さした。


 私の手の中のカギは、

 強烈な光を放ちながら、

 ゆっくりとそちらへ、動いていく。


 ────気づけば、カギは、

 床に吸い込まれて(・・・・・・・・)、いった(・・・)。





 光で、見えな────────。














 ……能力おろしをする、



 白い、丸い、石の台。



 それが……──────────ない(・・)。



 ポッカリと(・・・・・)、大きな穴が(・・・・・)、空いていた(・・・・・)。





 後ろを見ると、




 もう、誰もいなかった。






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