↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生×ユニークスキル 100連ガチャで無双する!?  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/30

EP 15

臨床試験の被験者


シンイチに案内を求められ、リオナが向かった先は、アルクス城の地下にある牢獄だった。湿った空気と、微かな黴の匂いが漂う、冷たい石造りの空間。


「リオナ様? なぜこのような場所に…。ここは牢獄ですよ?」


松明の光に眉をひそめながら、護衛についてきたフィアが心配そうに声をかける。


リオナは、覚悟を決めた目で、地下牢の奥を指差した。


「…彼女を、ここに連れてきて」


「…! シオン、ですか? なりませぬ! あのような凶悪な盗賊風情、リオナ様の御目が汚れます!」


「良いから」


主君の、短くも揺るぎない命令に、フィアは「ハッ!」と短く応えると、不満を露わにしながらも牢の鍵を開けた。


やがて、手足に枷をはめられた一人の女性が、フィアに引き立てられるようにして現れた。黒豹のようにしなやかな身体つきに、暗闇でも爛々と輝く金色の瞳。囚人でありながら、その佇まいは一切の気品を失っていない。盗賊団「黒豹の爪」の頭目、シオンだった。


「…何だい? とうとう、あたしの首を刎ねる時が来たのかい?」


シオンは、嘲るような笑みを浮かべて言った。


フィアが、その不遜な態度に激昂する。


「黙れ、罪人が! 口を閉じろ! これから言われたことにだけ、従え!」


その、張り詰めた空気を切り裂いたのは、シンイチの静かな声だった。


「俺はシンイチ。医者だ。今日から、お前の治療を任された」


「……医者? あたしを治療するだぁ? ふざけてるのかい?」


シオンが、鼻で笑う。その態度に、フィアの怒りが再び燃え上がった。


「貴様、黙れと言っているだろう!」


「よせ」


シンイチは、フィアの前に立つようにして、静かに制した。


「俺の患者に、手荒な真似はするな」


「――!?」


フィアが、息を呑む。目の前の罪人を、彼は「患者」と呼んだのだ。


「シオン、とか言ったな。お前を治療してやる。お前の身体に残っている古傷や不調も、全てだ。完璧にな。…だが、少々時間がかかる」


「…何だって?」


「俺は、この世界の回復魔法と、俺の知っている医学を組み合わせることで、人体がどこまで再生できるのか知りたい。その研究に、付き合ってもらう」


シンイチのあまりに率直な言葉に、リオナが「シンイチ…」と心配そうに彼の名を呼ぶ。


当のシオンは、その回りくどい言い方に苛立ったように、枷を鳴らした。


「はっ、周りくどいね! はっきり言いな! あたしを実験台にするってことだろう!」


「そうだ。だが、お前にとっても悪い話じゃない」


シンイチは、シオンの金色の瞳を真っ直ぐに見据えて、取引の条件を提示した。


「俺の治療計画に最後まで従えば、お前には十分な報酬を支払う。そして、この牢獄から解放し、お前が望むなら、故郷に帰れるよう手配してやる」


「なっ…!?」


故郷に帰れる。その言葉に、シオンの瞳が、初めて激しく揺れた。処刑か、終身刑。そのどちらかしかないと思っていた未来に、ありえない選択肢が提示されたのだ。


「よく考えろ。このまま牢で朽ち果てるか、俺の治療を受けるか。お前が選べ」


シンイチは、ただ静かに、囚われの黒豹の答えを待っていた。


それは、絶望の淵にいた彼女にとって、あまりにも甘く、あまりにも危険な、悪魔の囁きのように響いていた。


読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたら、★評価やブックマークで応援していただけると励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。