5の3 首が繋がった?
「お前は誰だ!、何故ここにいる!。」
酷い言われようだ。僕が此処に居るのは神様がしたことだ。まるで忘れられていた。記憶にも残っていないなんて。悲しすぎる。
龍神の姿だから分らないだろうとは思っていたが、はじめの出会いまで記憶にないなんて。
僕は、神様に事の起こりをゆっくり話し始めた。
流石は神様だ。じっくり辛抱強く聞いてくれた。
「だから、僕は、この姿になって、そして黄泉の国から魂達を連れてきたのです。勝手なことをして申し訳ございませんでした。でも、彼等は何も悪くはないんです。処罰は僕だけにしてくださいませんか?御願いいたします。」
「・・・・」
☆
何と言うこと!私が総ての発端だ。仕事を弟子に押しつけ楽をしていたせいで、この星はおかしな事になって仕舞った。
このまま大神様に御願いして作り直して貰うのが良いのかも知れない。
でも、私は何一つ苦労をしないで、またイチから大神様に働いて貰うのは気が引ける。
なんとか、ここで踏ん張って、この星の軌道を修正してみよう。
「これ、龍神。其方、私と一緒にこの星を改善してみないか?お前の作った国は、なかなか面白い。筋が良いぞ。だが、理を大きく逸脱してしまった。これは重大な誤りだ。魂がこの世界で増える事が出来ないという悲しい結果になって仕舞っておるではないか。」
「はい。分っております。でも彼等を今更輪廻の輪に戻してしまうのは余りにも可哀想で、どうにかなりませんでしょうか。」
この者の慈悲の心は確かに分るが、余りにも執着しすぎている。
このままでは、この魂は魔に飲み込まれてしまうのではないだろうか。
「此、龍神。其方の優しさは、美しいが、近視眼過ぎるぞ。ここの魂達の成長を阻害しているのがわからないのか?魂は、何度も生れ変わって、色んな経験をして大きく美しくなっていくのだぞ。其方も経験してきたはずだ。心配せずとも輪廻の輪には入らずとも良くしてやる。其れが私の力だ。この国の魂は、速やかに黄泉に送られ記憶を浄化して、またここに戻ってくるのだ。そうすれば魂はまた成長して行くであろう。」
「・・・はい。」
☆
僕は、神様の助手としてこの星の改善のお手伝いをすることになった。
僕は竜神の国の人々を見て、申し訳なくなった。
僕のせいで、成長が止っていたなんて。ごめんなさい。
ここに張り巡らされた結界はもう直ぐ解かれてしまう。そうすれば彼等は、今までのようには生れてこないだろう。記憶が引き継がれることはなくなって、成長はゆっくりになって仕舞うだろう。
でも、僕は反省もしていた。僕は急ぎすぎたのだ。
僕はこの事を猿人、熊人、猫人などの主立ったものに話をした。
黙っていなくなってしまえば、混乱させてしまうと考えたのだ。彼等はこの話を聞いても驚かなかった。そして、
「竜神様。私達のことは心配しないでください。記憶を消されるだけです。きちんと記録しておけば、次代に引き継ぐことが出来ます。其れよりも、新しい命を生み出す力を与えてくださるというのはもっと素晴らしい事です。」
と言った。
彼等の方が、素晴らしい。僕は憂い無くここを去ることが出来る。
ありがとう皆。僕の大切な魂達。
僕は神様のお供をしてこれから世界を巡る。
只、時々神様は、僕がいることを忘れてしまい、置いてきぼりにされてしまう。
「これ!竜神よ!其方は気配が薄すぎて、偶に忘れてしまうでは無いか。なんとかせい!」
と、理不尽なことを言われる。
仕方がないので、神様を僕の頭に乗せて、常に密着していることとなった。
殆ど神様の乗り物になったようだ。




