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7.聖女、部下を教育する

「ただいま戻りましたよ~」

「ん? 随分と早……なんだそれ」

「森の主です!」


 アジトの前で木を伐採していたユーリに私の成果を披露しました。


「また面倒なことを……えーっとカインだったな? 主がいなくなったらこの周辺はどうなる?」

「また別の奴が主の代わりになると思うが、なんでだ?」

「他所から変なのが入ってこないようにしていた可能性もあるからな。セレナ、無闇にその土地の主を殺すな。大規模な縄張り争いが起きたらどうする」


 なぜか私が怒られる展開になりましたね……なぜ???


 こんな大物を仕留めてきたというのに「ありがとう」や「ご苦労さま」の一言もなしとは……


「こんな大きなお肉を持って帰ってきたのに言うことはそれだけですかぁ~???」

「生態系を無視するなって教えられただろうが。その主が死んだせいでこの森のパワーバランスが壊れるかもしれないんだぞ。色んな魔物が俺たちに襲いかかってきたらどうする」

「私に歯向かうのなら皆殺しにするだけですよ? 私はお肉が食べられて嬉しい。周りも好戦的な魔物が消えて嬉しい。WinWinの関係ですね」


 ユーリは手で目を覆い、項垂れました。


 つまり、私の勝ち。


 はい論破!!


「では解体お願いしますね~」


 返り血を浴びて汚れてしまったので、川へ水浴びに行くとしましょう。


 ◇


 水浴びをしたおかげで綺麗さっぱり気分爽快ですねぇ。


 アジトへ戻ると皆忙しそうに動き回っていました。


 手近な椅子に腰掛け、その様子を眺める。


 女の子の一人がせっせと皮を剥がし、他の人たちが肉と骨を切り分ける。


 ……川でやるべきでは?


 アジトの前がすごい血生臭い状態になってしまいました。


 アイテムバックからピッチャーを取りだし魔力を注ぐ。


 するとどんどん水が生成され、縁から溢れ出す。


 あまりこういうのは得意じゃないんですよね。


 溢れ出た水に魔力を加え操作する。


 すると水は空中に集まりだし、球体状に形を整える。


「コレを使ってくださいね」


 そう言って解体中の手下の傍に浮かせる。


 何故か全員目を丸くしていますが気にしない。


 余った水を飲んで喉を潤す。


 …………目出し帽を被ったままでしたね。


 目出し帽を脱ぎ、ユーリを呼び寄せる。


「ユーリ、ユーリ」

「あ? なんだよ忙しい時に……」

「そろそろお昼ですね」

「……解体が終わるまで我慢してろ」

「ブーブー!」


 ユーリにブーイングを送るもガン無視されました。


 悲しいですね。


「アイリ、アイリー」

「は、はい! なんでしょうか!?」


 元奴隷の女の子、アイリを呼び寄せます。


「私はお腹が空きました」

「すぐに用意しますね!」

 <甘やかさなくていいんだぞー!!

「だいじょうぶでーす!」


 大丈夫らしいので素直に甘えましょう。


 アイリがせっせと動き続けています。


 肉を切り取り焚き火で焼く。


 味付けは塩のみ。


 塩以外ないので仕方のないことです。


 切り分けられたお肉が私の目の前に置かれました。


 ズッ


 ガプッ


 ギュウウウウ


 ナポ…


 モニュ…モグ…


 モニュ…モニュ…


 う、美味すぎますね!!!!!!


 何ですかこのお肉は!?!?


 何でこんなにジューシーで旨味が溢れているのでしょうか。


 ガツガツと食べ進めるとすぐにお肉がなくなってしまいました。


 ……え? 何でお肉が無くなっているんでしょうか?? 理解できません。


 きっと誰かが横取りしたに決まっています。


「アイリ! 私のお肉を奪った奴を殺しますよ!!」

「お代わり焼き上がりました!」


 ストンと座っておかわり分を食べ進める。


 うーん、デリシャス。


 お口の中がデリシャスパーティーですね。


「皆さんもキリのいいところでお昼にしてくださいね~!」

「「「「うーっす!」」」」


 その後はガツガツとお肉を貪りました。

 

 ◇


 お腹も膨れたので盗賊行為を再開……するには時間が経ちすぎていますね。


 お昼を食べたあと軽く昼寝をしたらもう時間が無くなってしまいました。


 なので一旦全員を集めて聞き取りを行います。


「この中で文字の読み書きが出来ないという方~」


 ……ほぼ全員ですか、これは骨が折れますねぇ。

 

「今から皆さんに文字の読み書きが出来るように勉強してもらいます。拒否権はありませんので、素直に習って下さい」


 それから私のスパルタ教育が始まりました。


 悲しいことなのですが、冒険者で文字の読み書きができない方はかなりの人数います。


 そのせいで報酬を少なくされたり、依頼内容が全然違ったりという事案があとを絶ちません。


 私の部下がそんな目にあうのは我慢なりません。


 なので、しっかり教育します。

 

「はあ? 難しすぎ? この程度で音を上げていたらこの先苦労するって言ってるんです。殺しますよ?」

 

「受付に聞けばいい? 何寝ぼけたこと言ってんですかねえ。受付が全員味方なわけないでしょうに。死にたいんですかぁ!?」


「指が痛い? 普段剣を握ってるんですよね? その程度の棒切れで痛くなるなら斬り落としてあげましょうか? 嫌なんですか? なら次寝ぼけたこと口走ったら殺しますからね?」


「あの、セレナ……もう少し優しく……」

「ユーリは黙ってなさい!!!!!」

「……はい」


 私の優しい指導のおかげか皆素直に文字の読み書きを学習してくれました。


 …………あ? 文句でもある顔をしてますね?


 文句なんてないはずです。


 死にたいのか?


 ……よーし、良い子ですね。


 私の部下はとても物分かりが良い子たちばかりで助かりますねぇ。


 何ですその目は。


 次は計算を覚えて貰うんですから、本当にこの程度で音を上げてもらっては困るんですよ。


 その後私は部下たちに四則演算を教え込みました。


元奴隷の女の子たちの名前一覧。


アイリ :リーダー的ポジションの年長者。

イブ  :ヴではなくブ。次女的ポジション

ウマル :ダラダラからのうまるーん!三女的ポジション

エルサ :ありのままでもう少しも寒くはない四女的ポジション

オリーブ:セレナ盗賊団最年少。末っ子的ポジション

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― 新着の感想 ―
独裁者ですね~魔女王国が誕生しそうです~諫言する軍師的ドジっ子ちゃんが欲しいですね~
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