7 戦い5
これからはこの副都がオレの住処になるわけだが、タニラと相談してできるだけ家賃の安い家を借りる、もしくは家を買うことにした
それだけの補償は出ている
それにしても、異世界人からの被害に対する補償が出るほどにこの世界は荒らされているのか。悪に
この世界の悪はふしぎな力を持っている者がいるのはあの戦いを通して分かった
それに、冒険者という部類も気になる
一応ギルドでオレも登録だけはしておいたが、嬢の話によると、冒険者は荒事以外にも採集や街の便利屋のようなものまでしているらしい
だが金を稼ぐにはちょうどいい
「あったわ、ここで家を紹介してくれるみたい」
タニラに連れてこられたのは恐らく不動産屋のような場所
この街にある物件を紹介して契約までしてくれるようだ
「家・・・。金がいる。オレも稼ぐ」
「冒険者だからって討伐とか危険なことはしなくていいのよ? 街のお手伝いや採集でも十分に暮らしていけるのだから」
「うん」
まあ確かにそれでも普通に生活するくらいには稼げそうだ
だが、悪を滅す、殺すという目的がオレにはある
あの異世界人はかなり強かった。オレの体質が無ければ何度死んだか分からない
またいつ襲ってくるか、また、オレが襲うか分からない
そのためにもオレの力をしっかりと把握し、その力を伸ばすためにも討伐依頼を受けることは理にかなっているだろう
取りあえず家は決まった
街の出入口に近いため少し危険もあるし、何よりまったく整備されていないボロ屋だが、最も値が安いうえに、家賃はいらないとのこと
借りるのではなく完全に購入という形だ
当初は借りようとしていたのだが、これなら継続的な金銭は発生しない
契約が済み、その家へと案内された
全く手入れされていないため、すぐに寝ることはできないな
今日は掃除だけしていったん宿に泊まり、明日から家をさらに整備して暮らせるようにするとしよう
タニラもやる気満々になっている
「それじゃあサキちゃん、宿に行きましょう」
二人で宿に入り、出された食事をとって眠りについた
翌朝、まずは必要なものを買いそろえるため街の商業区画へ
日曜品やら家具やら、とにかくないものが多い
家具なんかはオレが運べるから、一気に買ってしまうのがいいだろう
見た目は15の少女だが、力は数百キロのものを楽に運べるほどには強い
これもオレの元々の力だ
化け物になって以来人知を超えた力を発揮できるようになった
日用品を買いそろえてから家具も買い、いっきに家へと運んだ
「ち、力持ちだねお嬢ちゃん」
家具屋の店主に驚かれたが、この世界ではこういった力を持つ者は珍しくないようだ
だからこそ、荒事を解決する冒険者などという職が成り立つのだろう
全てを運び終えて、夜のうちに掃除だけはしておいた家に設置していった
これで住めるようになった
あとは
「タニラ、オレ出かける」
「夜までには帰ってくるのよ」
「うん」
さて、冒険者としての初仕事となる
依頼はギルドで受けるって話だったが、オレが受けれるものは限られるらしい
なんでもランクというものが関係するのだとか
嬢の話によると、ランクはFからAまでなんだが、どうやらその上もあるらしい
まあオレはFランクだから、簡単な討伐依頼や手伝い、採集くらいしかできない
手っ取り早くランクを上げ、強いモノと戦って強くならなければ、護りたいものも守れない
「ようこそお越しくださいました」
オレに色々と説明してくれた嬢が受付に立っていた
「あら、あなたは、確かサキちゃんね。今日はどうしたの? 依頼を受けに来たのかな?」
「そう。できれば、強くなれ、て、ランク、上がるやつ」
「そうねぇ、ならこれならどうかしら? サキちゃんでも出来て、ランクアップ用のポイントも多い依頼よ。周辺の森に出るエムシ討伐よ。エムシは大きな芋虫でね。成長すると危険な魔物になるから幼虫のうちに倒すの」
「それで、いい」
依頼を受けてオレはすぐ街の外へ出た
嬢に装備を整えてから行くよう言われたのだが、オレにはこれがある
手から自在に出し入れできるのこぎりと鉈
虫くらいなら簡単に倒せるだろう
街道を歩き、その周辺にある森へ入って行く
森の中にいるらしいのだが・・・
ふむ、多いな。佃煮にできるくらい多い
依頼にはできるだけ倒してほしいとあった
ならば目につくものを全て倒せばいいか
鉈を出し、その場にいた六匹を切り刻んだ
討伐の証として触覚を持ち帰らなければならない
しまった、袋を持ってくるのを忘れたな
仕方ないので草やツルを編んで作った
元の世界では服も自分で繕っていた、はずだが
その辺りの記憶はあいまいだ
取りあえずできた武骨な袋に討伐の証明である触覚を入れて行った
その後も虫を見つけては殲滅し、ざっと五百を超えたところでようやく少しの疲労感が出たので終わりにした
それにしてもこの虫、あれだけ駆除してもまだまだいるようだった
成長すると厄介な蛾になって、毒を振りまいて飛ぶようだ
確かにそれは危険だな
とにかくまあ、これだけあれば金になるだろう
触角は何かの素材に使えると言っていた
だから討伐証明として買い取りもしてくれるようだ
生活費くらいにはなるだろう
ギルドに戻り、討伐証明である触覚の入った袋を10個、受付にドサリと置いた
「こ、これは、こんなに、しかもこの短時間で」
「なんか、いっぱいいた、から」
清算を終え、ランクも1ランク上がってEとなった
これでさらに受けれる依頼も増える
「それにしてもすごいわねサキちゃん。期待のルーキーって感じ?」
「・・・」
何も言わずオレはギルドを後にした
もらった報酬は銀貨50枚
触角一個当たりが銅貨10枚だったのだが、銅貨10枚で銀貨1枚、500個分の触覚で銀貨50枚らしい
ちなみに銀貨100枚で金貨1枚だ
昨日泊まった宿代が一日銅貨5枚
十分生活費になっているな
ひとまず今日はこのくらいにして、明日もまた討伐依頼を受けるとしよう




