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元読モの限界OL、大好きな錬金術ゲームに転生!〜ライト勢だったので、裏設定もやりこみ要素も毎日が新発見です〜  作者: 沼口ちるの


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第6話:ついに推しがやってきた! 完璧な騎士団長と定期依頼

「ふぅ……これで50本、全部完成!」


アトリエの机にずらりと並んだ、透き通るような緑色の小瓶。

ライネの純度100%の魔力抽出と、私の(無駄に洗練された)寸分狂わぬ分量調整が生み出した、最高品質の『癒やしのポーション』だ。


「お疲れ様、ミオお姉ちゃん! すごく綺麗な色ですね!」

「ライネちゃんのおかげだよ。さて、約束の日だし、そろそろザックさんが取りに来る頃かな」


トントン、と控えめで品のあるノックの音が響いた。

あのドアを壊さんばかりに開けるお調子者騎士にしては、随分と行儀がいい。


「はーい、今開けますねー」


ガチャリと扉を開けた私の目の前に立っていたのは、赤い髪の軽薄な青年……ではなかった。


白銀の髪に、氷のように冷たくも美しい碧眼。

仕立ての良い豪奢な騎士団長の制服を隙なく着こなす、長身の美青年。


「突然の訪問、失礼する。王国騎士団長、レオン・ハルトだ。ザックから依頼していたポーションの受け取りに参った」


(嘘でしょおおおおおおおおお!? レオン団長!? 本物!? 生きてる!? 顔が良い!!!!!)


私の心の中の限界OLが、ペンライトを両手に持って阿波踊りを始めた。

『アルケミア・クロニクル』における私の最推し。無駄口を叩かず、厳格で、隙のない完璧な騎士。まさか、彼が直々にこんな場末のアトリエに足を運ぶなんて!


「あ、あ、あのっ……! どどど、どうぞ! 中へ!」

「……? ああ、失礼する」


完全に挙動不審になっている私を不思議そうに見下ろしつつ、レオン団長がアトリエに足を踏み入れる。その瞬間、空気がピリッと引き締まった気がした。


「……何の用かしら、騎士団長サマ。お使いならザックで十分でしょうに」

「魔女殿……いや、錬金術師レイカ殿。ザックは現在、遠征前の最終訓練でしごいている最中だ。それに、彼がしきりに『とんでもない品質の薬が出来上がっている』と騒ぐものだからな。私の目で直接確かめに来た」


レイカの嫌味な態度にも動じず、レオン団長は机に並んだポーションを手に取った。

ふたを開け、匂いを嗅ぎ、光に透かしてその純度を確認する。その真剣な横顔があまりにも美しすぎて、私は息をするのも忘れそうだった。


「…………驚いたな」


しばらく無言でポーションを検分していたレオン団長が、小さく息を吐いた。


「王城の錬金術師たちが作る最高級品すら凌駕している。不純物が一切なく、魔力が完全に溶け込んでいる……これなら、重傷でも一瞬で傷が塞がるだろう。これをたった一週間で50本も?」

「ふん。言っておくけど、それを作ったのは私じゃないわよ。そこのヒヨコ二人よ」


レイカが顎で私とライネを指す。

レオン団長の鋭い碧眼が、私たちを射抜いた。


「彼女たちが……? 失礼だが、まだ若い。熟練の技が必要なはずだが」

「魔力の抽出はライネ。調合と定着はミオ。二人の分業よ」


レオン団長は私とライネを交互に見つめた後、深く頭を下げた。


「疑うような発言をしてすまなかった。素晴らしい腕だ。このポーションがあれば、遠征での死傷者を劇的に減らすことができる。騎士団を代表して、礼を言う」


(ヒィッ! 推しに頭を下げられた!? 尊すぎて死ぬ!)


「そ、そんな! 私たちは師匠に言われた通りに作っただけで……!」

「えへへ、お役に立てて嬉しいです!」


パニックになる私と、無邪気に笑うライネ。

レオン団長はふっと口元を和らげた。……ゲームでも滅多に見られない、超レアな微・微笑みスチルだ。


「そこで、レイカ殿。いや、ミオ殿、ライネ殿に提案がある」


レオン団長は姿勢を正し、真っ直ぐに私たちを見据えた。


「この品質のポーションを、定期的に王国騎士団に納品してもらえないだろうか。専属契約として、報酬は市場価格の二倍、必要な素材の調達も騎士団で優先的に手配しよう」


「定期納品……!」

「ええっ、二倍!?」


王国のトップからの、破格の専属契約のオファー。

ライネは孤児院への仕送りが増えると目を輝かせ、レイカは「面倒な素材集めを押し付けられるなら悪くないわね」と口角を上げている。


そして私は──。


(定期納品ってことは、推しに定期的に会えるってこと!? なにそれ最高すぎる!!)


異世界転生して良かった。

神様、仏様、ゲームの開発スタッフ様。

限界OLの社畜ライフから一転、私は今、猛烈なモチベーションに満ち溢れていた。

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