↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/25

2ー2 はた迷惑な依頼人


 男はジークと名乗ると、今回の依頼について一通りの事を話した。


 大まかな内容はこうだ。


 事の始まりは三日前。

 王宮の、それもリークスフィアの私室の前に置かれた一通の手紙。

 差出人の欄にルファール・エル・シエルと書かれたそれには、リークスフィアを十日後に誘拐すると、そう記されていた。

 王宮に誰にも気付かれずに侵入し、手紙を残し、去る。

 本来不可能な筈のそれが起きた結果、当然王宮は混乱した。

 結果、内部に犯人が居る可能性や、十分な指揮を取る事が出来るかを懸念し。

 外の魔導士にリークスフィアの保護を依頼するという結論に至る。

 幾つかの魔導士事務所を候補に吟味をしていた所、偶然にもウェイアーズ魔導士事務所が営業停止となった事を知り。裏を掻くという判断から依頼を任せようと赴いた。


「……という訳だ」


「なる程」

 話を全て聞き終わると、椅子に腰掛けたまま、アルトは言った。

「君達には生活の面も含めて、今から一週間の間、姫様を保護して貰いたい」

 ジークは今まで変化する事の無かった表情を少しだけ歪めた。

 不安、そんな色が見て取れる。

 身分が証明されているとは言え、自らの主を見知らぬ人間に託すのだ、不安にならない筈が無いだろう。

「分かりました、姫様は私達が責任を持ってお守りします」

 ハルカはそれを気取り、明るく、不安をかき消すように言った。

「感謝する」

「感謝されます」

 茶化すような声、それにジークは少し安堵のしたように、ハルカに背を向けるとリークスフィアに向き直った。

「姫様」

「ジーク、まだ暗い顔をしてる」

「そう、でしょうか……」

「ええ」

 姫様の前で、不甲斐ない。

 リークスフィアの言葉に、ジークは表情を曇らせた。

「でも大丈夫、心配は無用だわ」

「ですが……!」

「私が言うのだから」

 リークスフィアは軽くウィンクをして笑う。

 彼女はこういう人だ。

 ジークはそれに一瞬目を奪われ、俯くと、微笑んだ。

「そうですね、姫様がそう仰るなら、きっと」

「勿論よ」

 ジークはその後リークスフィアと二言三言話すと、事務所の扉の前で振り返り。

「姫様を頼む」

 そう言って、商工街の人混みに消えていった。

 ハルカはジークが視界から消えるまで見送ると、リークスフィアを覗き込む。

「それじゃあ、リークスフィア様、中に入りましょうか?決める事もありますし」

「リア・フィーレル」

「え?」

「私を呼ぶ時はそう呼んで、その代わり、私もハルカと呼ぶから」

 リークスフィア、いや、リアは悪戯っぽくハルカに笑いかけた。

「うん、リア!」

「宜しい」

 二人は笑いあうと事務所の中へと入った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。