豹変
「じゃあ〜そろそろ河原行きますよ〜」と主催が皆に声をかける。呼ばれて河原に降りると、「じゃ、まずウエットスーツに着替えて着てください。女子更衣室と男子更衣室あるんで。事前に連絡した通りTシャツと下履きだけになって、コレ着てくださいね。」とレンタルのウエットスーツを各自に渡した。
女子更衣室に都と京香、凛と蘭子で入ると、なぜかワザと距離を置かれた。
「?」蘭子は違和感を感じたが、凛も離れた場所で勝手に着替えてるし気にしてなかったが、ウエットスーツがキツくてサイズが合ってるのか不安になり都に声を掛けた。
「これMサイズと書かれてるけど、このサイズで本当に良いのかな?」とフランクに声を掛けたが、都の顔が強張ってる。
「ああ〜、それで良いんじゃないですか?」と言ってフイッと目線をそらす。
「?」蘭子が気にしすぎなのか?何だかさっきまでと態度が違う。
京香が気にして交互に蘭子と都を見てるので、やはりオカシイのだ。仕方なく京香に尋ねる。
「はい、大丈夫です。着るときキツいですが、あまりブカブカだと後で上から救命胴衣も着ないといけないので。」と代わりに答えてくれた。
横をすでに着替え終わり部屋を出ていく凛が鼻でフフンと笑いながら通り過ぎる。
「おばちゃんだと高くくってた蘭子さんが新人の男子と仲良くなってるから焦ってるんですよ。いや、気に入らないんでしょ?
この子、結構ムラ気だし勝ち気ですよ。
そういうすぐ態度に出るのが男子も分かるんですよ〜
男だって節穴じゃないんで。」と口の端で笑いながら部屋を先に出ていった。
「エッ、ちがう違う!草壁くんは…」言えない!蘭子は口をつぐんだ。
彼は今からこのメンバーを探る気だ。下手な事は言えないのだ。
「結構策士ですね。年の功ですか?私も見習わなきゃ!」と都もスタスタと外へ出た。
「すみません。都さん良い人なんですけど、やっぱり1年以上惨敗続きなんでね、ねっ」と京香さんがなぜか代わりに謝る。
「いいのいいの、そうか!そういうの気付かなくてゴメンね。でも、草壁くんは異性とかそんなんじゃなくて愚痴を聞いてくれる相手が欲しかっただけみたいよ。京香さんもせっかく彼氏探しに来たのにずっと都さんが、近藤さん近づけないようにガードしてるけど良いの?」どうも都は近藤の邪魔をして他のカップルできそうなのを妨害してるようだ。
やっと気付いた。
「私は、ここで同世代の女の子や男の子と話せるだけで満足です。身体も動かせるし…田舎の役場なんで本当におじいちゃんしか居ないんですよ。
それに親は婿取りして欲しがってるから、近藤さんだと家を出なきゃいけないのでダメです。」と首を振った。
「エッ、絶対家から出ちゃダメなの?!」今どき珍しくて驚く。
「婿取りと決まってます。私しか子供いないので。」と京香さんは少し寂しそうに笑った。
可愛がって大事に育てるのは良いが、その子の自由を奪うのは…違うと思うのだが。




