草壁仁
「伊藤蘭子、36才です。仕事は、え〜っと漫画家です。ペンネームは伏せます。このごろネタ作りが厳しくなってネタ探しに来ました。ゴメンね、なんかお邪魔しちゃって。」と謝りながら座る。
「エーーーッ、漫画家なんですか?え〜、ペンネーム教えて欲しいなぁ〜」と都が朗らかに笑った。本当に女性から見たらお嫁さん向きなんだが、今回の男性陣からは余り歓迎されてないのか?
男性陣は1つしか違わないのに。年上年下拘らなくて良いのにと思ってしまった。
だが、その男性陣もなかなか。好かれてもキツい感じだ。
近藤雄馬さんは、いかにも男社会で男とばっかり関わってきた人みたいだ。嫁呼ばわりだし親を安心させたいとか。結婚したらすぐ「孫は?」と聞かれそうだ。
20代女性だとちょっとキツい。30超えた都さんなら話に乗ってくれそうだが…ミスマッチか?
1番ヤバそうなのは小久保圭さんだ。
顔も良いしスタイルも良い!が、絶対会社をマトモな理由で辞めてなさそうだ。手癖の悪さ感じる…
「…俺は草壁仁。年は28。仕事は警備員だ。」と隣の黒尽くめがスッと立って言った。
自分から進んで言わないだろうと思ってたので驚いた。
「おっ、草壁さんはやっぱりデカいね。立つと自衛隊の近藤さんより高いね。」と主催が運転しながらチラッ見たのか言う。
確かに2人は格闘家みたいな身体だ。近藤さんは柔道とか強そうで、草壁も何かやってそうだ。
「ハア、私韓流好きだから筋肉好きなんだけどな。上手くいかないわ!」都がため息をつく。
そうだ!都は韓流推しやってたと。韓国はやはり兵役あるから男はたくましい人がモテる。
が、そういう人は頭固くて女らしい古風な人を求める。ミスマッチが起こりやすいのだ。
「私も!マッチョ好きですよ〜」と凛さんも声を張る。
多分、横の圭さんを牽制してるのだろう。
絶対女にモテるダウナー系だ。彼女がいないはずがない!絶対会社で女トラブルあったのだ。それで親の家業を嫌々継ぐのに、自分の代わりに働かそうと思って動ける若い嫁を探してるのだ。
これも都さんが最適なのに…ミスマッチか。
とにかく若い婚期真っ盛りな人達の中に紛れた自分が1番ミスマッチだ。
「疲れそうだな。」思わず心の声が口に出てたようだ。
「そんな事言わないで!ラフティング今日は結構水カサ増して激しいですよ!一昨日雨降ったから。一応インストラクターさんが舵取りしてくれますが。頑張りましょう!」爽やかスポーツマンらしく主催が声掛けしてきた。
ふと視線を感じて横を見ると草壁がこっちを見てた。
が、すぐ目線そらした。
『なんだ?仕事が珍しいからか?』と思った。




