お嫁さん
「都ちゃん、アンタもそんなに嫁行きたいなら小久保さん家に嫁ぎなよ。会社やめて。」蘭子がまた勝手に決める。
「オイッ、勝手に決めるなよ!俺にも選ぶ権利が」で蘭子に前髪をつかまれた。
「選ぶ権利があったのなんか、今日1日見てたけど無いじゃん?それに、前髪薄くなってるよ?来年はかなり後退するよ?ハゲるし親に借金もあるでしょ?
じゃなきゃ、アンタが素直に親の仕事継ぐ訳ないじゃん!」数本抜いてやっと手を離す。
「私、会社ですでに係長なんです。給料だって上がったし。せっかく東京で綺麗なマンションでオシャレに暮らしてるのに!東京で普通のサラリーマンとオシャレに暮らして働いて共働きしたいんです!」と都がちよっと小久保の顔も見ながら言い返す。
「アンタ達にそんな未来はないよ。権利もない。慰謝料や借金に追われて夫婦で力合わせて地べた這いずるように働いて生きるしかないのよ…古賀さんの為に。」と言って草壁を見る。
「どう言う事だ?なんで、古賀さんと草壁が?」支倉が聞く。
草壁が静かに携帯の画面を見せる。そこには、チューブに繋がれた古賀さん=草壁の妹の姿が。
「エッ、古賀さん!なんで、こんな事に?」「エッ、草壁って古賀さんの何?」皆、口々に言う。
「オイオイ、後ろで何もめてるの〜?やめてよ〜ケンカは。」まだ主催は訳が分からず気にしてる。
「コイツは俺の妹だよ。で、このラフティングから帰ってからすぐ倒れて病院入ったよ。主催は知ってるよ。」草壁が主催をにらみながら話す。
「…兄が警官だと言ってたな…古賀さん。」主催が運転しながら冷静に話す。
「エッ、警察!でもでも、私達何も古賀さんに悪い事してないし!」ラフティングメンバー全員が動揺しだす。
「さあ?それは法廷で話して。岩場に立ってる女性に急に声掛けしたのは、なぜか?なぜ、そのタイミングなのか?ちゃんと説明しなよ。近藤さん?」蘭子が詰める。
「これが自衛隊に知れたら…自主的に退役だよ。実家もね、もう継ぐどころじゃない。分かる?」蘭子が淡々と話す。
「あの高さから後ろ向きに落ちたら、まず病院行くのを進めなきゃいけないのは…分かるよね?ココに居る全員。見てたんだし。実際、支倉さんは怖くて飛べなくなったんだし。
なのに…なぜ1人も勧めなかったのか?
せめて主催者に知らせなかったのか?ログハウスのインストラクターに相談しなかったのか?
皆、立派な社会人なんだし。それくらい常識あるよね?」蘭子が詰める。
「妹は脳挫傷で昏睡状態なんだ。子供も2人共まだ小さい。5歳と3歳だ。これから頭の開頭手術する。」草壁が話す。
「そんな!そんな!アレが原因だなんて分からないじゃないですか?」都が弁明する。
「都ちゃん、アナタはココで2年近い経験がある…
せめて近藤さんの悪ふざけだけなら、まだ腰から落ちれたら頭は守られたはず。
アナタが助けようと腰を自分に引き寄せて、まっすぐ固定しなければ…」蘭子がゆっくり都を見つめる。
「私は、そんな…そんなつもりは…」都が弁明しょうとするが、
「今日も怖がってる私に飛べと囃子てたね。怖がりながら飛ぶと前かがみになるから顔面や腹打ちするの…分かってたよね?普通のプールの飛び込み台から、約高さ1m弱でも痛いのに3m から腹打ちしたら…大変だよね?ワザとだよね?」蘭子が詰める。
「…ちがう」都が弱々しくつぶやく。
「裁判所で証言して。善意だって。コンクリートに後頭部がまんま当たるように固定しょうとしたなんて事はないと。」蘭子が念押しする。
「小久保さんは、それこそ大人なんだし責任者が現場離れるのを黙認したんだから加担者だよ?」蘭子が言うとすかさず、
「証拠は?証拠はないだろ!」と反論する。
「 やっぱり金儲けが大事じゃん。」と小久保の声が響く。草壁がレコーダーを再生した。
「ふざけんな!なんで勝ち組女子がこんなとこ来るんだよ?」更衣室の男性達の古賀さんへの悪口も録音されてた。




