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第二話 上司と部下

「事務長、すみません。少し相談というか、教えていただきたいのですが……」


 四十代の女性事務員は、申し訳なさそうに声をかけた。

 事務長は手を止め、椅子を向ける。


「どうしました?」


「先方から少し厳しいお電話がありまして……。私の説明が足りなかったのかもしれません」


「ふむ……」

 事務長はすぐに否定しなかった。


「ならば、先方が心配されているなら、私から説明に出向く方が良いかもしれませんね」


 女性事務員は少し安心した顔を見せた。

「申し訳ありません……」


「いえ。私がもう少し早く気が付いていれば、先方に不安な思いをさせずに済んだかもしれません」

 その空気は穏やかだった。

 誰かを責めるのではなく、どうすれば相手が安心するかを考える時間だった。

 だが…。

 近くで聞き耳を立てていたググ男が素早くスマホを取り出す。

 数秒後。


「それ、クレーム対応の初動ミスですね」

 空気が止まった。

 ググ男は画面を見せる。


「ネットにもあります。“謝罪だけ先行すると責任を認めた形になるので危険”って」


「いや、これは……」


「あと、“担当者レベルで抱え込まない”って書いてますよ。対応フロー古くないですか?」

 女性事務員の顔から血の気が引いていく。

 事務長は静かに笑った。


「ありがとう。参考にしますね」

 ググ男は満足そうに頷いた。

 正しいことを言った。

 たぶん…一番言わなくていいタイミングで。


 ググ男、空気より検索結果を信じる。


 だから嫌われる。

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