最終話 嫌われない方法
ググ男は最近、気づき始めていた。
自分は何故か空気が読めない。
悪気はない。
むしろ、相手のためを思っている。
なのに時々会話が止まる。
笑顔が固まる。
誘われなくなる。
職場でも、友人関係でも、少しだけ浮いている。
その都度、調べた。
『空気が読めない人 特徴』
『嫌われる人 共通点』
『正論ばかり言う人』
『人間関係 改善方法』
検索結果は大量に出てきた。
ググ男は真剣に読んだ。
・相手の感情を考える
・共感を先にする
・正しさを押し付けない
・話を最後まで聞く
「なるほど……」
ググ男は頷いた。
翌日…。
職場の女性事務員が困った顔をしていた。
「コピー機また調子悪いのよねぇ……」
ググ男は口を開きかける。
原因、型番、修理費、レビュー、買い替え時期。
全部もう調べられる。
でもググ男は一度だけ飲み込んだ。
「……大変ですね」
女性事務員は少し驚いた。
「ふふっ、今日は検索しないの?」
「……我慢してます」
その言葉に女性事務員は吹き出した。
「何それ」
周囲も少し笑う。
ググ男は困った顔で頭をかいた。
たぶん彼はこれからも空気を読むのは苦手だ。
きっとまた余計なことも言う。
調べなくていいことまで調べる。
でも…。
誰かが困っていたら本気で心配する。
頼まれてもいないのに調べる。
不安そうな顔を見ると放っておけない。
だから少し面倒くさい。
だから少し空気が読めない。
だから嫌われる。
でも…。
少し愛されてる。




