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あとがき
私は、会話の最中にすぐ検索する人が少し苦手だ。
「どうしよう?」 「どうかなあ?」
そんな言葉を聞いた瞬間、待ってましたと言わんばかりにスマホを取り出す人がいる。
もちろん悪気はない。
むしろ親切心だ。
早く、正しく、最適な答えを出してあげたい。
きっと過去に、 「助かった」 「詳しいね」 と誰かに喜ばれた経験があるのだと思う。
だから調べる。
でも私は、少し苦手だった。
人と人の会話には、答えを出す以外の意味があると思っている。
仕事を円滑にするため。 安心するため。 愚痴を聞いてもらうため。 ただ、一緒に悩むため。
答えなんて、すぐ出なくてもいい時がある。
だから会話の途中で検索されるたび、どこか気持ちが置いていかれる気がしていた。
……けれど…。
この作品を書くため、“ググる人間”をずっと観察していた。
すると不思議なことに、少しずつ好きになっていた。
彼らは、世界を効率よく生きたいのではなく、誰かを困らせたくないだけなのかもしれない。
間違えたくない、役に立ちたい、 安心させたい。
その気持ちが、検索という行動になっている。
だから今は、軽蔑ではなく、少し愛でるような気持ちで見ている。
今日もどこかで、 誰かが「どうしようかな」と呟いた瞬間、 ググ男は静かにスマホを開いている。
森村征爾




