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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第2章 妄想犯行計画と仮想空間
6/30

#4 妄想犯行計画とルール 前編

第2章突入です!

「おい!またお前らか――!、一般人が現場に入るな。おい、誰かコイツらを早くつまみだせ!」


 推理モノ作品にありがちベタなセリフ。

 相棒になる刑事が、主人公にほぼ言っているセリフだ。

 だから僕は今、物凄く感動している。


 ――人が殺められた現場では、かなり不謹慎だけど。



 しかし僕が今、目にしている光景とこの刑事のセリフ。

 まるで僕が、明晰夢を見ているかのような現実観ある光景だ。


「ごめんって。今日はたまたま、この家の被害者に呼ばれて、来ただけだってば――ねえ、モリタカ?」

「そ、そうなんです――僕と赤葉さんは、金餅さんに呼ばれて会いに来ただけなんです!――信じてください!明堂めいどうさん」



 本当に僕と赤葉さんは、金餅さんの家に呼ばれただけ。


 ――本当にそれだけ。


 赤葉さんは刑事である明堂さんと、何かいい争いをしているみたいだけど、僕はこの2人が相棒なのを知っている。

 なぜなら僕が今いるこの世界は、萬屋 赤葉の事件帳の世界だからだ。


 ――まだこの感覚にはなれないけど。


 僕がこの世界にいる理由を、少しばかりお話ししよう。

 それは僕が、玄関前に差出人不明の箱を見つけた話から始まる――


 【2時間前】


 雪護真冬さんを駅まで送り届けた僕は、駅から15分ぐらい歩いて、自宅アパートに着いた。

 玄関先に差出人不明の僕宛の荷物が置き配されていて、


「ん?ちょっと重いな」


 ――前回は確か、ここで話が終わったと思う。



 このあとの僕は――実際に持つとかなり重い、差出人不明の荷物を自宅のリビングに、なんとか運ぶことができた――



 ――でも今は、とりあえず着替えが先だ。



 スーツから私服に着替えた僕は、好奇心と恐怖心を押さえ、箱を開封してみた……

 箱の中身は――一台のノートPCとメガネ型ゴーグル。


 ――普通に怪しすぎるだろ……


 想いを叶える刻想器との契約――

 購入した覚えのない、妄想犯行計画という――いかにも怪しい商品。

 妄想犯行計画プロジェクトという――いかにも怪しい組織。

 そして荷物の中身である、ノートPCとメガネ型ゴーグル。

 偶然ではない非現実的な出来事の連続で、今後――僕自身に起きであろう展開をある程度の予想はしていたが――刻想器は、僕のある程度の予想すら――全て通り越してきてしまった――



 しかし僕――森咲もりさき 杜鷹もりたかのあの胸を抉る未来には、護りたい人が絡んでいる。



 ――だから僕は、逃げる訳にはいかない!



 とりあえず僕は、ノートPCをACアダプターに接続しようとした――

 無い!――高額なゲーミングノートみたいなノートPCなのに、ACアダプターがなぜないんだ!


「まあいい、電源を入れて見れば――わかることだ」



 ノートPCのOS起動画面をみた僕は――僕が今、見ている現実に非現実が――少しずつ侵食し始めていることを改めて実感した。



 【KokuSouS……起動中】



 絶対に隠す気ないだろ――刻想器。

 ……つまりあれだ!

 刻想器と契約した人にプレゼントされる契約特典みたいなモノだ!



 『ふ――そんな契約者特典があるわけないでしょ――アホめ』



 ん?――今、どこから女の子の声が聞こえたような……


 『お前の目はふし穴か?あの時と同じくだりは、もう十分なんですけど――!』



 あの時と同じくだり?なんのこと?

 女の子の声が聞こえてきたのは、メガネ型ゴーグルで、KokuSouSのデスクトップ画面の3D空間では、一人の高校生ぐらいの女の子がこちらを見ていた。

 かなり不満そうな剣幕な表情な女の子は、こちらに向かって何がぶつぶつ言っている。



 『ふっ――早く、ゴーグルをかけなさい!』



 女の子に言われて慌ててしまった僕が、メガネ型ゴーグルをかけた瞬間、僕の意識は――突然、途切れた。


【ようこそ!森咲杜鷹!】

【五感転送を開始……】

【XXXXXへ五感を転送しました】



 ――五感転送?なんだその用語は……



「気がついた、杜鷹?」



 女の子から名前を呼ばれて、意識が覚めた僕は、ゆっくりと瞼を開けた。

 瞼を開けた僕の視界には、まるでVRゲームの様な地図等の情報が――

 宙に浮いているように表示されており、立ち上がった僕が見たモノ。

 それは、先程僕に声をかけてきた女の子だった。


 ――ノートPCの3D空間にいた女の子か?

 でもなんか雪護さんに雰囲気が似ている気もする……



「ん?――ここは?」

「ここはあなたと契約した想いを元に、私が作り出した――」

「杜鷹の想いを具現化した世界の入口――」

「杜鷹と契約した、プラネタリウムと同じような空間」

「そして――私の名前は小蒼こそう――」

「かつて刻想器だったモノ」


 かつて刻想器だったモノ?

 小想と名乗った少女は、刻想器の目的、契約、代償。

 あのプラネタリウムで――語られなかった話の続きを、ゆっくりと僕に話し始めた。


「あのプラネタリウムの世界で――私が杜鷹に見せた絶望の未来」

「杜鷹がどれだけ頑張っても絶望の未来に繋がる運命だった」


 どれだけ頑張っても、僕はあの未来に辿り着く?

 言いたいことが非現実的すぎて――よく分からない……


「ふっ――少し杜鷹には難しいのかな?」


 頭の中を覗き込むのは、かつて刻想器だった時ね名残か……というかやめてくれ、頭の中を覗くのは――


「うん――じゃあ頭の中は、なるべく覗かないようにするね」

「はい、頼みます……」


 小蒼ちゃんは続けた。


「だから絶望の未来の可能性を見せて、自分でどうするのか考えさせて、選択をさせるようにしたの――」

「映画館で杜鷹だけに、絶望の未来を見せた理由――」

「それは、もう一人の絶望の未来を見た人がいるから――その子を助けてあげるため」



 僕以外にもあの胸を抉るような絶望の未来をみた人がいるのか。

 僕にはどうしても納得のいかない事が1つだけある。

 それは――



「なぜ――絶望の未来を見せる必要がある?」

「未来は自分で掴みとるモノだ!それはあの映画館……プラネタリウムでも刻想器にも言ったはずだ!」


 ――そう……なぜ幸福な未来ではなくて、絶望の未来を見せる必要があるのか……?



「ふっ――それはね――幸福な未来を見せることもできるけど――」


 パチン!


 指を鳴らした小蒼ちゃんが、プラネタリウムのスクリーンに映し出したモノは、僕の幸福な未来の映像だった――

 幸福な未来の映像には、僕がいて、雪護さんもいて、そして子供もいた。

 でも最終的には、あのプラネタリウム空間で見た、胸を抉るような絶望の未来に辿り着いてしまった。



「どういうことだ……意味がわからない……」



 幸福から絶望に叩き落とす未来を見て困惑する僕に対して、小蒼ちゃんは、静かに口を開いた。



「未来のあなたは、確かに幸福な時間を得た――」

「でも選択することをやめた――」

「選択をやめる……それ以外の選択肢は他にいくらでもあった――」

「でもあなたは、選択することをやめてしまった――」

「結果、絶望の未来に繋がってしまった――それだけのこと――」

「時は命あるモノに、常に選択をさせていくモノ」


 小蒼ちゃんの言葉に僕は正直、どう返事をしたらいいのか、分からなかった――

 でも刻想器に想いを伝えたあの時。

 僕の中には、自分の未来と雪護さんを護りたいという想いがあった。

 想いに応えてくれたからこそ――

 刻想器は僕と契約し、契約者の観察者【小蒼】として再び現れたのではないだろうか――

 

 ――雪護さんに似た外観はともかく……



「僕……森咲杜鷹が、絶望の未来を回避するためにはどうすればいい?」


 絶望の未来を回避するための方法は、必ずあるはずだ!


「どうすればいいか――」

「あなたが選択を続けること――」

「絶望の未来を見せた、もう一人のヒトを助けること――」

「これ以上は教えれない――」

「でも――私が具現化させたゲーム、妄想犯行計画」

「このゲームを全てクリアできたら、新たなる未来への道は開かれる」


 つまり小蒼ちゃんが作り出した、僕の想いを具現化したゲーム、妄想犯行計画。

 ゲームを攻略していく中で、あの未来を回避する鍵を見つけて、鍵を最後に束ねて、ゲームクリアに続く最後の扉を開くための鍵にする。



 ――ふっ、面白いじゃないか。


 小蒼ちゃんは、僕に問いかける――



「森咲杜鷹――あなたは、このゲームをクリアする覚悟は、ありますか?」



 ――僕の答えは、すでに決まっている。




「もちろん――YESだ!」



 #4妄想犯行計画とルール 前編 完

 #5 妄想犯行計画とルール 中編につづく

最後までお読みいただきありがとうございました!

12月10日(木) 一部内容を改訂しました。

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