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48話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:11

 


 48話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:11



【202X 2月X日 PM19:00】

【仮想:西やぎ区 ほこ西やぎマンション 603号室】

【残解決時間 143時間】



 《ジャジャン! ピロロピロ! ピロロピロ! ジャジャン! 「ほこやみんのみんな、こんばんはーホコヤギアカリです!」》



 [アカリちゃんが復活しますた!]

 [待ってたよアカリちゃん!]

 [またアカリちゃんの声が聴けてよかった]



 僕は現在603号室にいる。

 僕がこの部屋で見ている白いスマホに表示されている画面は、TooTubeの生配信[ホコヤライブ 特別夜配信]だ。



 [ホコヤちゃん……なぜ配信してるんだよ!:F.Y(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]

 [ガチほこやみん! 一線、超えすぎ!:Y.A]




 ――赤葉(アカハ)さんのコメント……でもF.Yのコメントを見れるのは、管理者権限を持つ八色(ヤイロ)さんと僕と赤葉さん……そして本人だけだ。




 [えっ? Y.Aってもしかしてあの赤毛の?]




「なにこのコメント? なんで赤毛なの知っているのよ!」

「まあまあ赤葉さん、落ち着いてください。萬屋記録局はほこやぎ町で有名なんですから」

「そうなんだけどさー! なんであなたが知って――」




 ――赤葉さんもフリック入力派か、このコメント欄はF.Yから見れば普通のコメント欄、八色さんがそうなるように設定してくれたみたいだ。




 《「……心配させちゃったみたいだね……ほこやみんのみんな、ごめんなさい! でもホコヤギアカリは大丈夫です!」》



 [良かった、心配したんだよ!]

 [ホコヤちゃん……君は今、配信できる状況じゃないはず……:F.Y(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]

 [良かった、本当に良かった]




 《いきなりですが! ガチほこやみんさん、あなたのフレンチトーストの好みはなんですか?》




 ――明理さん……ホコヤライブ配信をほこやぎ警察署内でできる様に八色さんが手配してくれて良かったよ、Y.Yって八色さん……。




 [ガチほこやみんのフレンチトーストの好み?]

 [あー確かガチほこやみんは生クリーム派だったかな?」

 [ホコヤちゃん、それが何が関係あるのかい?:F.Y(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]



 《「私の質問に答えてください、ガチほこやみんのF.Yさん」》



 [@F.Y あれ?あなたはコーヒー牛乳派でしたっけ? 103のF.Yさん:管理アカウントY.Y(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]

 [@管理者アカウント 103……それをなぜ知っている? お前、誰だ?(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]

 [@F.Y それじゃ、103で。:管理者アカウントY.Y(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]

 [@管理者アカウントY.Y いいだろう……待ってろよ!:F.Y(管理者アカウントY.Yと許可されたユーザーのみ表示中)]

 [ホコヤギアカリさん、ガチほこやみんさんのフレンチトーストの下味の好みはやっぱりコーヒー牛乳でしたよ:MM]



 《「MMさん? ……教えてくれてありがとう! 実はねー私のパパのフレンチ――」》



 明裡(メイリ)さんと明理(アカリ)さん、あなた達は何も悪くなかった。

 でも明裡さんが真犯人へフレンチトーストの好みを正直に答えていたら、もっと状況は悪化していただろう。




 プルルルル! プルルル! プルルル!




「杜鷹、スキンハゲから電話みたいだよ」

「ホントだ、やっぱり真犯人は近くにいたんですね」

「そんなこと言ってないで早く出なよ」

「はい赤葉さん。…………もしもし、森咲です」

『おう、森咲。お前の読み通りホシが来たぞ、今度はホコヤイーツの配達員を名乗ってな』

「やはり……お二人は大丈夫ですか?」

『もちろんだ! また多謎乃が出たらよー、スタンガンを構えてたから俺が取り押さえたぞ! 今から603号室へ連れて行く』

「分かりました、よろしくお願いします」




 しばらくして明堂(メイドウ)警部と解葉(トケハ)さんに603号室に連行されてきた真犯人とようやく対面する事ができた。



「ガチほこやみんいいやトウキタさんいえフジキタトモヤさん、はじめまして、森咲杜鷹(モリサキ モリタカ)です」

「森咲杜鷹……MM! なぜ分かった? なぜ俺がガチほこやみんだと分かった!」



 ガチほこやみんのその言葉と共に時間が停止した後、ガチほこやみんの後ろからフレンチトーストを食べる小蒼(コソウ)ちゃんが現れた。




『ふっ杜鷹さー、この人が犯人である推理と証拠はある?』

『もちろんさ、僕の推理のラインが間違っていたら、この人はここにはいないはずさ』

『ふっ、そう。なら探索と推理整理は終わりね』




 その言葉を合図に、僕の瞳に映している帽子と?マークUIアイコンが帽子と吹き出しマークUIに変わった。



『はい、どうぞ。時間の針を動かすから』

『分かったよ、小蒼ちゃん』




 その言葉の後、光の粒子となって消えた小蒼ちゃんはまほやぎプラネタリウムに帰って行った。




 ――時間の針が動き出したな、よし!




「なぜあなたがガチほこやみんだと分かったのか、それはまず――」



 僕が藤北友也(フジキタ トモヤ)さんが真犯人であるガチほこやみんと確信した理由は……。



【約1時間前のPM17:40】

【仮想:ほこ西やぎマンション 103号室】

【残解決時間 144時間20分】




 約1時間少し前、僕達はホコヤギデリバリーサービスから103号室に戻って来た。



「おう、お前達戻ってきたか。異常は何も無かったぞ」



 103号室で待機していた明堂さんは、リビング内に設置されたシステムキッチン周辺にある冷蔵庫のメモを見ていた。



「明堂さん、何を見ているんですか?」

「この冷蔵庫のメモさ、多謎乃から送られてきた603号室の冷蔵庫のFT勢力図のメモもそうだが、俺にはなんのことだがさっぱり分からんな」

「あー、それはですね、フレンチトーストの下味の勢力図ですよ」

「フレンチトーストの下味勢力図だぁ?」

「そうです、明堂さん。あのイニシャルは藤西さん姉妹……妹の明理さんが書いたモノだと考えています」

「待って、森咲杜鷹。なぜ明理が書いていた謎が解けたの?」

「藤西明裡さんは僕のフレンチトーストの下味の好みは知りません。明裡さんが知っているのは、赤葉さんのフレンチトーストの下味の好みだけです、僕が牛乳派である事を知っているのは明理さんだけなんですよ」

「なるほど、同じ双子の姉妹でもそれぞれ持つ記憶が違う、そういうことかしら?」

「そうです、解葉さん。僕が明裡さんに話していないのだから、僕の好みを知っているはずがないのです」

「そうかー、明裡さんが記録局に来た時、杜鷹はフレンチトーストの話に参加してなかったわ」

「そう言うことです、赤葉さん」




【現在時刻:202X 2月X日 PM20:00】

【仮想:西やぎ区 ほこ西やぎマンション 603号室】

【残解決時間 142時間】



 僕の話を聞いたフジキタさんはしばらく黙り込んでいた。



「……………くっ、だから俺がホコヤちゃんの部屋にいたとでも言いたいのか?」

「そうです、あなたはミスを犯した。603号室のFT勢力図を読んだ結果、ある勘違いしたのではないですか?」

「ある勘違いだと?」



 ――フジキタさんが勘違いしたミスは……。



「フジキタさん、このマンションの管理人さんのフレンチトーストの下味の好みを知っていますか?」

「はぁー? このマンションの管理人のフレンチトーストの下味の好み? コーヒー牛乳だろ?」

「そうですよフジキタさん。このマンションの管理人さんのフレンチトーストの下味の好みはあなたと同じコーヒー牛乳です」

「だろ? だからなんだって言うんだ?」

「では、フジキタさん。なぜ管理人さんから警戒されていたあなたが、管理人さんの下味の好みをコーヒー牛乳であると知っているのですか?」

「……そ、それはえ、それは……」

「フジキタさん、それは"12月X日、管理人さんがホコヤギアカリの中の人と姉との会話に割り込んでしまった話"を記したメモを読んでしまったから、では?」

「……俺がどうやって管理人のメモを読めるんだよ、おかしな事を言うな!」

「フジキタさん。あなたが管理人室に入った日は1月1X日ではないですか?」

「なぜそれも知っているんだ……あっ!」



 ――それは管理人室に入った事がある人にしか出せない反応……。



「フジキタさん、僕達があなたが管理人室に入った日を知っている理由は、あなたが最後に読んだ管理人さんのメモの後、その後に書かれたメモの内容を見たからです」

「ぐっ、でもそれは証拠にならないだろ?」

「記録は証拠になる、デジタルではない管理人さん自身が書いたメモなら尚更証拠になるのですよ、フジキタさん」

「……まさか会社にクレームを入れてきたフジヒガシがこのマンションの管理人だったとはな……トウキタがやっていた事にして、俺は難を逃れたはずだったのに……」

「はい、あなたの今のその言葉が"確たる証拠"です、フジキタさん」

「はぁ? フジヒガシの何処が証拠なんだよ!」

「それはです――」

「ガチほこやみんのフジキタ! このマンションの管理人さんの名前は、トウトウさんよ」

「解葉さん……」

「トウトウだって? ……普通に読むならフジヒガシ……いやトウキタと同じ……漢字の読み方の先入観感だけで、全てバレちまうとはな………そうだよ、全て俺がやった……俺がガチほこやみんさ」


 ――そう、あなたのその先入観こそ致命的なミスだった……。



「フジキタトモヤ、私と明堂警部に対する公務執行妨害と藤東さんへの殺人未遂の容疑者として、あなたを逮捕するわ!」



 解葉さんによって手錠をかけられたフジキタさんは、明堂警部によってほこやぎ警察署へ連行された。



【第3ステージ 執眩(シュウゲン)の妄想犯行 クリア!】

【残解決時間 142時間のリセットが完了しました!】



 48話 

 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:11 完。


 49話へつづく!

お読みいただきありがとうございました。

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