47話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:10
47話
フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:10
【202X2月X日 PM16:20】
【仮想:ほこやぎ町 西やぎ区 ホコヤギデリバリーサービス 西やぎ支店】
【残解決時間 145時間40分】
僕は赤葉さん、解葉さんと共にホコヤギデリバリサービスの西やぎ支店に来た。
――配送会社の会社に初めて来たが……そんなゲーム、聞いたことがないよ。
僕達はまず受付へ向かった。
「こんにちわ。私、こういう者ですが、先程お電話でお約束した藤西明照さんをお願いしますか?」
「多謎乃様、お待ちしておりました。藤西ですね、少々お待ちください……」
――ここまでリアルな動き……僕と喜冬さんの見えないところで、私達住人が本当に普通の生活をしています! としか考えられない。
「多謎乃様、藤西が今からこちらに来るそうです。それまでこちらの応接室でお待ちくださいませ」
「分かりました。ありがとうございます」
僕達が応接室でしばらく待っていると白い配達員服の男性が現れた。
――この人が藤西明照さんか……あれ? 40代後半ぐらいの人に見えるけど……やはり藤西さん姉妹に顔が似ている様な……。
「多謎乃さん、大変お待たせして申し訳ございません。昨日はどうもありがとうございました」
「こちらこそ、ご協力いただきありがとうございました」
「それで娘達は……多謎乃さん、こちらの方々は?」
――ん? 今藤西さん、娘達と言っていなかったか。
「あー、この二人は、 本件の関係者でもあり、外部協力者の萬屋記録局の局長と局員です」
「そうですか……もしかしてそちらの男性、フレンチトーストには牛乳派の森咲杜鷹さんですか?」
――えっ? なぜ僕の下味の好みを知っているんだ?
「あっ、いきなりで申し訳ございません。昨日の夕方、明理からこんなメッセージを貰いましてね」
[フレンチトーストは牛乳派仲間を見つけた!]
[それはよかったね、明理]
[うん!萬屋記録局の森咲杜鷹さんって方]
藤西さんが見せてくれたスマホのメッセージには、僕の名前である森咲杜鷹の名前が確かにあった。
「では、藤西さんはフレンチトーストには?」
「明理と同じ、牛乳派ですよ」
――なるほど……あのFT勢力図の[F.A(F) 牛乳]の読み方は、[フジニシ・アキテル(父)牛乳]か。
「藤西さん、私達はフレンチトーストの話をして来たのではないのです。これについて、お話をお伺いする為に来たのです」
「こ、これは……」
解葉さんは藤西さんにホコヤギデリバリサービスと名乗った人物が落としたネームホルダーを差し出した。
「これが何処に落ちていたのか、分かりますか?」
「いえ。しかしこれは私のネームホルダーですが……」
「なにか引っかかる点でも?」
「……多謎乃さん、これは大分前に会社内で紛失したネームホルダーなのですよ」
――やはりこのネームホルダーは真犯人が……。
「森咲杜鷹、藤西さんになにか聞きたいことはある?」
――僕が藤西さんに聞かないといけない事……。
「藤西さん、ホコヤギデリバリーサービスにイニシャルがF.Tの社員さんはご在籍されていますか?」
「F.Tがイニシャルの社員ですか? しばらくお待ちください」
藤西さんはテーブルに置いてあった、藤西さんが一緒に持ってきていたタブレットを操作し始めた。
「森咲さん、弊社の社内システムに登録されているF.Tはこの二人しか該当しませんね、あとこれを……」
[藤北 友也25歳 男性]
[藤北 友成40歳 男性]
[202X:2月X日:13:05 ホコデリユーザーF.Y様からお届け先変更受信。配達先変更先完了:ほこやぎ町 中やぎ区 萬屋記録局]
――ん? 藤北と書いて、フジキタとトウキタの二通り読みがあるか……、あの藤東さんのメモにあったトウキタはホコヤギデリバリーサービスの社員だったか……ホコデリから配達先変更?
「このホコデリというのは、弊社が配信しているスマホアプリです。会員様であればリアルタイムで配達先変更ができるサービスなのですが、西やぎ区から中やぎ区はかなり距離があるので、ドライバーも大変だったと申しておりましたよ」
――これだ! 配達ドライバーが喜冬さんに強引に荷物を渡した理由、真犯人の移動ルートラインのロジック。
「ありがとうございます。もう二点ほどお聞きしたい事があります」
「森咲さん、なんでしょうか?」
「まず一つ目は……お二人はまだご在籍されておられますか?」
「いえ、こちらの名前のスタッフは無断欠勤して連絡がつかないですね」
「ありがとうございます。もう一つは……ホコヤギアカリが明理さんである事を藤西さんは知っていましたか?」
「えっ? それあの子達の父親ですから、勿論知っていますよ」
「そうですよね、ありがとうございました」
「多謎乃さん、森咲さんあの子達は無実ですよね?」
「明裡と明理が巻き込まれてしまった今回の謎。この謎を解くために萬屋赤葉と森咲杜鷹に協力をお願いしたのです、だから明照さん、心配しないでください」
「多謎乃さん、どうか娘達をよろしくお願いします」
「では明照さん、お忙しい中、お時間いただきありがとうございました」
「あ、森咲さん。言い忘れていましたが………」
僕は藤西さんから事件解決に繋がる情報を貰った。
「……そうですか……その社員の方の好みもコーヒー牛乳ですか……」
「そうです、この会社でもホコヤギアカリは人気バーチャル配信者ですから、フレンチトーストの話はよく出ますので」
「なるほど! 藤西さん、ありがとうございます」
「いえいえ、森咲さん。あなたのフレンチトーストの下味が牛乳派で本当に良かったですよ」
――フレンチトーストの下味が牛乳派で良かったのだろうか……、とりあえず事件のラインは全て繋がったかな。
藤西さんの父と話を終えた僕達は、ほこ西やぎマンション別の向かうため、ホコヤギデリバリーサービスを後にした。
【PM17:30】
【仮想:多謎乃解葉の警察車両内】
【残解決時間 144時間30分】
僕と赤葉さんは解葉さんが運転する警察車両の後部座席に座っている。
「太陽光貯照遮断設備制御機とネームホルダーの謎は解けた……あとはSC設備のパスワードだけなんだ」
――藤東夕也……藤北友也……藤北友成……也と成? 成はセイと読むこともできる……藤はトウと読むこともできる……友はユウと読むこともできる……也はナリと読むことが、ん? もしかしてあのパスワードは!
「どうしたの杜鷹? もしかしてあの管理人さんの部屋にあるアレのパスワードが分かった感じ?」
「ええ、赤葉さん、やっと分かりましたよ。パスワードも真犯人が103号室になぜ来たのか、なぜ解葉さんにスタンガンを向けたのか、なぜ冷蔵庫にあんなメモを残したのか」
「森咲杜鷹、もうそろそろほこ西やぎマンションに着くから、現場で謎はとけたの、の話を聞かせて」
「はい、分かりました解葉さん!」
――あとは真犯人を暴き、藤西さん姉妹を解放するだけだ!
47話
フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:10 完。
48話へつづく!
お読みいただきありがとうございました。




