46話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:9
46話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:9
【202X 2月X日 PM15:30】
【103号室 リビングキッチン】
【残解決時間 146時間30分】
「解葉さん!」
僕と赤葉さんは解葉さんの声が聞こえた玄関に来た。
「大丈夫。玄関を開けた瞬間、深々と帽子を被った男がスタンガンを構えて迫ってきたから、避けたら逃げていったわ……あらー? これは、謎が解けたの、の手掛かりになりそう」
――あれ? もしかしてそれは……ネームホルダー?
「解葉さん、それを見せてもらえますか?」
「白い手袋……は嵌めてるね。はいどうぞ、森咲杜鷹」
「ありがとうございます」
――藤西……明照? ホコヤギデリバリーサービス:配達部長? ……藤西さん姉妹と同じ苗字だけど、タイミング的におかしくないか?
僕は白いスマホを取り出して、603号室で撮影した[F.T勢力図]の写真を表示させた。
「杜鷹、それって?」
「これですか? これは603号室のリビングキッチン内の冷蔵庫に磁石留めされていた……おそらくフレンチトーストの勢力図メモっぽいですね」
僕は赤葉さんと解葉さんに白いスマホを見せた。
「うーんとどれどれ……これ、私の名前かな? [A.Y 生クリーム]……つまり[萬屋赤葉 生クリーム]で、その下の[M.M 牛乳]は杜鷹のことじゃないの?」
「なるほど……そう言われてみれば」
――確かにそう言われてみれば、FT勢力図メモには2月X日現在と書かれているし……ネームホルダーの名前が藤西明照、藤西さん姉妹と仮に繋がりがあるとすれば……。
これは直接、ホコヤギデリバリーサービスで藤西明照さんと会って確認した方が良さそうだ。
「で? 森咲杜鷹は、この謎は解けるの、かしら?」
「解葉さん、この謎は解けたの、にするためにお願いがあります」
「お願い……なにかしら?」
「ホコヤギデリバリーサービスの事務所に僕達を連れて行ってください、それと……」
「それと? 何が必要なの? 森咲杜鷹」
「八色警視に〇〇〇〇〇〇〇〇の環境をほこやぎ警察署内に手配が可能か、確認をお願いします」
「〇〇〇〇〇〇〇〇の環境⁈ 分かったわ」
――これが可能であれば、警察の存在を警戒している真犯人でも、おそらくこの103号室に現れるはずだ。
僕の油断から13時間ロスを招いてしまった、フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行計画である執眩の妄想犯行。
でも、あの子のトリックを実行した真犯人はたった一つのミスを犯していた。
それは、ほこ西やぎマンション所有者の藤東夕也さんは知らず、真犯人は知っている情報。
真犯人だけが知っている情報だったからこそ、ホコヤギデリバリーサービスに行くキッカケになった。
僕の推理が正しければ、603号室のF.T勢力図の最後のイニシャルは……。
「……そう、森咲杜鷹がその様に言っていたわ。じゃあよろしくね、八色警視」
――解葉さん、早速電話で八色さんに頼んでくれたみたいだ。
「赤い葉っぱと森咲杜鷹、今からホコヤギデリバリーサービスに行くわよ」
「はい! 分かりました」
「解葉、その会社に行くのは構わないわ、でも管理人さんの部屋はどうするの?」
――そうだよ、僕達がここを離れた事を知った真犯人が戻ってくる可能性もあるじゃないか。
「赤い葉っぱ、その点は大丈夫。彼が来てくれたみたいだから」
――ん? 彼って……ああーなるほどなるほど、この人なら大丈夫だな。
「えっ? それってもしかして……スキンハ――」
――赤葉さんダメだ! その言葉を使って……というより、赤葉さんは気づいていないのか……。
「おぉい! 赤毛のフリーター探偵の赤毛のフリ探よー! 俺がいないからって、その呼び方をするんじゃねぇよ」
ドスの効いた声で僕達がいる部屋に入ってきた声の主は、スキンヘッドにサングラスをかけ、ストライプスーツをピシッと身に纏う刑事、明堂真警部だった。
46話
フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:9 完。
47話へつづく!
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