45話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:8
45話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:8
【202X 2月X日 PM14:30】
【仮想:西やぎ区 ほこ西やぎマンション 103号室 トイレ】
【残解決時間 147時間30分】
僕は体感、約20時間程滞在していたトイレに戻ってきた。
――よし! 現在時刻は14:30、現実世界で長時間休憩して、情報整理も出来たから……出るか!
ドンドンドン!
「杜鷹、聞いてるの! もりた――」
ガチャ!
「赤葉さん、そんなに急かさないでくださいよー」
「ごめんね、でも気配が消えた様な雰囲気だったからさ」
――鋭い! 僕は5分間だけ現実世界に帰っていました……は流石に言えないな。
「あー、今回の事件を便座に座りながら、ずっと考えていたからですかね」
「なら良いけどね……それで5分のトイレで、なにか考えは浮かんだの?」
「ええ。ほこ西やぎマンションに設置された防犯カメラとメモの名前、元配達員トウキタについて、ですかね」
「そうかー防犯カメラと元配達員か、じゃあ管理人室をもう少し見るしかないね」
「そうですね、赤葉さん。とりあえず解葉さんがいる部屋に行きましょう」
僕と赤葉さんは解葉さんがいる部屋に向かった。
【PM14:40】
【103号室 太陽光貯照遮断設備中枢管理室】
【残解決時間 147時間20分】
解葉さんは奥の壁の約半分がディスプレイで覆われている部屋にいた。
「なるほど、これは……謎を解けたのにするには複雑すぎるわね」
「解葉さん、これは?」
「あー、やっとトイレから出てきた森咲杜鷹。これはこのマンションの太陽光貯照遮断設備の稼働状況を管理している中枢管理コンピューターみたいなものかしらね、ただ」
「ただ?」
「よく分からないわ、何が書いてあるのかも分からないし」
「ちょっといいですか…………言語設定……日本語に変更」
言語設定をした結果、目の前のディスプレイは、解葉さんの言う通り、太陽光貯照遮断設備の中枢制御コンソール端末という事が分かった。
更にディスプレイには、このマンションの断面図も表示されている。
「そうか! このマンションは正方形の中に、壺が入っている様に設計されたマンション……だから1階と最上階の部屋は3部屋しか無いんだ!」
――だから最上階と角部屋である、603号室の太陽光貯照遮断設備の貯照モードには、[前面]と[L字]]が表示されているのか。
「だから……グラップリングロープを使用しての侵入は難しい」
――この環境でグラップリングロープを用いた603号室への侵入はハイリスクだ……なら侵入ルートは玄関しかない。
「森咲杜鷹、謎がまた一つ解けたね。ハイリスクなグラップリングロープを利用して侵入するよりも、もっとシンプルな謎は解けたの、で侵入したラインがあるはずよ」
「そうですね、解葉さん。……うーん、マンションの防犯カメラを確認しましょう」
「森咲杜鷹、このマンションの防犯カメラは、何故かこの太陽光貯照遮断設備のシステムの中に組み込まれているわ」
――太陽光貯照遮断設備のシステム中に組み込まれている? ……本当だ! [ほこ西やぎマンション、監視カメラモード]がある。
僕は太陽光貯照遮断設備に搭載されている、[ほこ西やぎマンション監視カメラ]の映像が納められているフォルダーを探した。
「フォルダとファイルの量が多いな……しかもこれは自動ストレージ管理機能? 余計なファイルはこの機能で、クラウドサーバーに転送されているみたいだ……はぁ」
「杜鷹、どうしたの? もしかしてまたアレ?」
「赤葉さん……はい、またアレです」
僕達の目の前にあるディスプレイに表示されているメッセージ。
それは1ヶ月前に金餅邸で見たメッセージと同類のメッセージだった。
[アクセス制限モード中です!]
[管理者IDのパスワードをご入力ください 残1回]
[管理者ID:T.Y]
[パスワード:【_________……】]
「あっははは! これは簡単には、謎は解けたの、にしてくれないコンソールだね」
――僕と赤葉さんは一度見てるからアレで終わる……でも解葉さんは初めて見るであろう、近未来設備だから笑うしかないよな……。
「そうですね……ん? でも今回は管理者IDのパスワードだけみたいですよ」
「管理者IDのパスワードだけ? ……謎はとけたの、になるのなら好都合だわ」
僕は赤葉さん達と共に、別の部屋で管理者IDパスワードの手掛かりを探す事にした。
【PM15:00】
【103号室 リビングキッチン】
【残解決時間 147時間】
僕達は103号室のリビングキッチンにいる。
「赤い葉っぱと森咲杜鷹、部屋を荒らさない様に気をつけてね」
「えっ? 解葉さん、もしかして許可取っていないのですか?」
「何を言い出すのかしら? もし仮に許可を取っていないなら、この部屋に私達がいる事自体、謎はとけるのかしら?になるだけよ」
「確かにそうですが……」
「気をつけてというのは、もし真犯人がこの部屋に入る事ができた場合の事を考えた時、ハイリスクになるから」
「分かりました、解葉さん。気をつけま――」
「あー! 杜鷹、これ、これ見て!」
赤葉さんが見ているのは、冷蔵庫の扉だった。
その冷蔵庫の扉にはメモが磁石留めされていた。
[S.C設備のPW=A.HのFT、F.TのFTの好み]
――ん? これは……S.C設備? PWはパスワード。
FTの好み……もしかしてフレンチトースト? でもF.Tとは誰なんだ?
ピンポーン!
《こんにちは、ホコヤギデリバリーサービスです!》
――ん? デリバリーサービス? 誰も頼んでいないはずなんだけど。
「あら? 誰もデリバリーを頼んだ覚えは無い筈だけど、まぁいいわ、赤い葉っぱと森咲杜鷹はここにいて」
「分かったわ解葉」
「よろしい……はーい、今いきますよー」
デリバリーサービスに対応する為、解葉さんは玄関に向かった。
《ちょっとあなた! 誰なの? 待ちなさい!》
――ん? どうしたんだろう。
「杜鷹、解葉がいる玄関に行きましょ!」
「はい赤葉さん!」
僕と赤葉さんは、解葉さんの叫び声が聞こえてきた、103号室の玄関へ向かった。
45話
フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:8 完。
46話へつづく!
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