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44話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:7

 

 44話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:7



 《『あんこフレンチトースト!いただきます! ……うーん』

夢月(ゆめつき)さん、感想を聞かせてください!」

『美味しいです! 夢宮(ゆめみや)さん、喫茶まほらぎのあんこフレン――』》



 現実世界に戻ってきた僕は、テレビを消した。



【202X 1月21日 PM18:40】

【現実:まほらぎ市 ハイツまほらぎ 森咲杜鷹(モリサキ モリタカ)の自宅】



 僕はベッドの横にあるゲーミングノートKokuSouS(コクソウズ)が置かれた、ゲーミングデスクの椅子に座った。



「全く、油断も隙もないな……小蒼(コソウ)ちゃん」

 《ふっ、お帰り、杜鷹。でもそれは、あなたの望んだ想いが反映された妄想犯行計画もうそうはんこうけいかくシステムだから》

「そうだよね小蒼ちゃん。これはよくあるゲームのプログラミングされたCPUが作り上げた妄想犯行計画ではないからね、だからこそ、あの子が現実世界にいるって確証ができたよ」

 《ふっ、それは良かった。それで? 5分後にアラームをセットした理由は?》

「それは……5分後にアラームをセットしておけば、戻った時は14時30分だから103号室にいる赤葉(アカハ)さんと解葉(トケハ)さんからは怪しまれない」

 《ふっ、なるほどね。まっ、私はまほやぎプラネタリウムでほこやぎ町を観察し、あなた達が攻略中はルール違反していないか、確認するだけだから》

「それが中立か」

 《そう。だから現実世界で杜鷹と喜冬(キフユ)が情報共有するのは構わない、でも喜冬がお手つき状態の場合は、情報共有した情報を喜冬が喋るのはNG》

「なるほどね、小蒼ちゃん。次回ログイン期限は202X 1月22日の18時40分で大丈夫かい?」

 《ふっ、正解……もしかして警戒してる?》

「半分正解だよ、喜冬さんに電話してもいいかい?」

 《ふっ、どうぞー》



 僕は喜冬さんに電話をかけた。



「もしもし喜冬さん? うん、大丈夫だよ。明日なんだけど、休日だから図書館に行こうと考えていてね……うん、じゃあ明日の朝9時、まほらぎ図書館で待ってるよ」



 ツー! ツー! ツー!



 《ふっ、休日か……だから杜鷹は余裕があったんだね》

「そうだよ、僕は会社員だからもちろん休日はある、でも明日は早いから、もう僕は寝るよ。おやすみ小蒼ちゃん」

 《ふっ、おやすみ杜鷹》




 こうして僕は明日に備えて寝ることにした。





【202X 1月22日 AM09:00】

【現実:まほらぎ市 まほらぎ図書館入口前】

【帰還時刻まで9時間20分】



「おはよう杜鷹君! 待った?」

「大丈夫だよ。おはよう喜冬さん、とりあえず中に入ろう」



 僕と喜冬さんは、まほらぎ図書館に入った。



「久しぶりにここに来た気がするけど、この静寂な空間。心が落ち着ける様な雰囲気と本が捲られる音がマッチして……」

「杜鷹君、あの角の席に行きましょう」

「うん、分かったよ」




 僕たちは人気の少ない角の席に座った。



「じゃあ喜冬さん、まずあの子が解放した第3の妄想犯行計画である執眩(しゅうげん)の妄想犯行についてだけど――――」



 執眩の妄想犯行のいきさつから現在の進捗度(しんちょくど)について話した。




「――なるほどね。杜鷹君は、そのトウキタという人が真犯人だと考えているのかな?」

「そうだよ。デリバリーサービスの元配達員トウキタが藤東夕也(とうとうゆうや)さんに成りすまして、藤西さん姉妹の603号室に訪れた結果、そこでナニカが起き、藤東さんが重傷を負った」

「なるほど……でも杜鷹君、あの子ならそんな破綻しやすいトリックは組まない気がする……」

「喜冬さん、それってどういうこと?」

「防犯カメラとデリバリーサービス」

「えっ? 防犯カメラとデリバリーサービス?」

「エントランスインターホンが設置されたマンションなら、当然セキュリティ設備も備わっているはずよ」

「確かに……僕と赤葉さんが前日に訪れた時、明理(アカリ)さんが対応してくれた……今時、訪問者をモニターで確認できないセキュリティ設備を設置していない方が不自然だ」

「そう。だから今、トウキタが真犯人であると杜鷹君が考えているのなら、杜鷹君の推理は危ない」

「デリバリーサービスか……」

「そう、私に荷物を渡してきたバイクのドライバーがトウキタであるという確証が、今の杜鷹の推理にはない」

「確証……確証か、もし仮に藤東(トウトウ)さんのメモにあった、太陽光貯照(ちょてら)遮断(しゃだん)設備(せつび)制御のスマホアプリが確たる証拠になる可能性は?」

「そのスマホアプリがインストールされているだけ、と言われる場合もあるから難しいかな……」

「確かに……」



 ――確かに今の僕の推理では、トウキタが真犯人であるラインが足りない……でも藤東さんが自作自演するとは考えられない。




「ねぇ杜鷹君、バイクのドライバーが荷物を渡してきた時刻を覚えてる?」

「時刻は確か……16時前だった」

「そうだよね? じゃあ多謎乃解葉の警察車両に乗って、萬屋記録局からほこ西やぎマンションまで、どれぐらいで着いた?」

「約1時間30分ぐらいだったよ」

「警察車両で約1時間30分、あのデリバリーサービスのバイクが小型スクーターだったとしたら?」

「もっと時間はかかるな」

「そう……だから私に荷物を渡してきたデリバリーサービスのドライバーと元配達員トウキタが同一人物であると結びつけるのは、まだ早い気がするの」




 ――確かに、ガチほこやみんと喜冬さんに荷物を渡した人物が、仮に同一人物だったとしても、喜冬さんに荷物を渡したのは16時前だ。

 ホコヤライブのコメントタイムスタンプから事件が起きたのは、17時過ぎから18時までの間だ。

 そして明理さんが警察に通報した時刻は、18時過ぎ。

 その結果、ほこやぎ警察が事件を把握して、僕達がログアウトしている間に、執眩の妄想犯行が始まった……。



「つまり、そんなに早く戻れるわけがないし、仮に帰宅ラッシュとも重なっていた場合、尚更早く戻れるわけがない……そう言う事だね?」

「そう、杜鷹君。だから先にトウキタの情報を固めるのが先じゃないかな」

「そうだね。僕達はトウキタを実際に見た訳ではないし、まだ防犯カメラも調べていないから、ほこやぎ町へ戻った時に調べてみるよ」

「うん、頑張ってね杜鷹君。あなたならこの妄想犯行計画も暴けると信じてるから」

「ありがとう、頑張るよ」



 僕と喜冬さんは調べ物をした後、昼食を一緒に食べた。

 その後、妄想犯行計画にログインする為に自宅に帰った。




【202X 1月22日 PM15:00】

【現実:まほらぎ市 ハイツまほらぎ】

【帰還時刻まで3時間20分】



 自宅に帰って来た僕は、ゲーミングノートKokuSouSが置いてあるゲーミングデスク前の椅子に座っている。



「よし……スイッチを入れよう」



【KokuSouS起動中……】



 ――とりあえず今の現実世界の時刻は15時過ぎ。

 妄想犯行計画にログインした時、ほこやぎ町で14時30分から夜まで滞在し、安全を確認してからもう一度ログアウトする。



【ようこそ! 森咲杜鷹!】



 《ふっ、おはよう杜鷹》

「おはよう、小蒼ちゃん」

 《ふっ、喜冬のログイン準備はできてるよ》

「よし! じゃあ行ってくるよ!」




 僕はゲーミングチェアをリクライニングモードにして、メガネ型ゴーグルをかけた!



【おかえりなさい! 森咲杜鷹!】

【妄想犯行計画にログイン開始……】





 ――とりあえずまずはトウキタの情報を集める、あとは……




【探偵ヘルプ……ログイン確認中…………ログイン確認完了!】



『杜鷹君が今、管理人さんの部屋にいるのであれば、ほこ西やぎマンションの防犯カメラ稼働状況も確認した方が良いよ』



 ――喜冬さんが図書館から出る前に言っていた防犯カメラの稼働状況の確認もしなければ。




【探偵のバイタル状態を確認中……異常無し!】



 《おーい! 杜鷹! トイレ長すぎ!》




 ――赤葉さん、まだ僕がトイレに入って5分も経ってないよ!




【ほこやぎ町 西やぎ区 ほこ西やぎマンション 103号室のトイレに五感転送が完了しました!】



『グッドラック! 探偵!』



 44話 

 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:7 完。


 45話へつづく!

お読みいただきありがとうございました。

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