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43話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:6

 

 43話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:6



【202X 2月X日 PM14:00】

【仮想:西やぎ区 ほこ西やぎマンション 103号室(管理人室)】

【残解決時間 148時間】




 僕達は、ほこ西やぎマンションの所有者管理人である藤東夕也(とうとうゆうや)さんの部屋にいる。




「管理人室……603号室と変わらない間取りの部屋だな」

「森咲杜鷹、赤い葉っぱ。何が解ったらすぐに教えて」

「分かりました、解葉さん」



 僕達はまず、奥の洋室の左の部屋に入った。



「ここは寝室か、藤東さんの顔写真立てがある……僕より少しだけ歳が上の様な感じもする、清潔感のある男の人だ」

「確かにね、杜鷹もそんな感じだけどね」

「えっ? 赤葉さんは何を言っているんですか?」

「はぁ、杜鷹もこの人と同じぐらいに大人に見えるよってこと、それ以外の意味はないから」



 ――現実世界における僕は、普通のどこにでもいる20代半ばのサラリーマン……でもちゃんと身だしなみには気をつけてるからな。



「あれ? ……杜鷹、机の上にメモ帳があるよ」

「本当だ、これは藤東さんが書いたメモですね」




 僕と赤葉さんは藤東さんが記したメモを見た。



[202X年12月X日:僕が所有しているほこ西やぎマンションの一室をホコヤギアカリさんの中の人が購入、ファンとして嬉しい] 



 ――603号室の売買契約書を交わす時、藤東さんと明理さんがその場にいた? 声を聞いてホコヤギアカリだと気づいたのか?



 [202X年12月X日:ホコヤギアカリさんの中の人は双子の姉妹の妹さんで、フレンチトーストの下味についてエレベーター付近で語り合っていたので、咄嗟に僕はコーヒー牛乳派です!と答えてしまった。明理さんは僕を忘れていたのか、かなり驚いていた様だった]



「あれ? やっぱり藤東さんがガチほこやみん?」

「赤葉さん。次のメモを見てみましょう」



 [202X年1月X日:最近よく見かけるデリバリーサービスのバイクの配達ドライバーが、エントランスにいる僕に「ここってもしかして有名人が住んでいるのか?]と尋ねてきた。僕には守秘義務がある、だから教える事はできないと返事をした]



 ――ん? ここでデリバリーサービスの配達ドライバー……。



 [202X年1月1X日:先日の配達ドライバーがまたエントランスにいた僕の……までは記憶があったが、配達ドライバーが近寄って来た後、身体の全身が痺れたまでは覚えている、しばらくして目が覚めたから良かったが、あれは一体なんだったんだろうか]



 ――全身が痺れて意識を失った? もしかしてスタンガンか? なぜ配達ドライバーがそんなものを持っていたんだ?




 [202X年1月2X日:先日の配達ドライバーの会社であるホコヤギデリバリーサービスへクレームを入れた。僕がスーパーで買い物をした帰り道で、あの配達ドライバーがホコヤギアカリの中の人のお姉さんに迫っていたからだ。

「ホコヤちゃん。君はフレンチトーストには牛乳だよね?」と聞かれていた時のお姉さんの引き攣った顔を見て、この状況はまずい、と僕はそう感じた。なぜならお姉さんは生クリーム派である事は、もう知っていたからだ。でもあの配達ドライバー:トウキタは、無断欠勤後退職していた。]



 ――これは……つまりあのガチほこやみんのコメントは藤東さんではなく、別の人間によるコメントの可能性があるということか……トウキタ、苗字だとしたらTか……。



 [202X年1月3X日:太陽光貯照遮断設備のメンテナンス用リモコンが無い事に今更気づいた。

 あれは普段使う事がないリモコンだ。

 もしかしてあの時……いいやあのリモコンは特殊な操作方法が搭載されたリモコンで、管理者用制御パスワードはホコヤギアカリさんがヒント。

 だから簡単に解けないはず……いや待てよスマホアプリ……まさかな]



 ――つまりあの配達伝票が偽造された伝票だった?だとしても、偽造された伝票である証拠はない……、スマホアプリ? 確たる証拠に繋がるか……。




 [202X年2月X日(今日、午後):ガチほこやみんが603号室に侵入しようしているコメントを発見した。もしあの配達ドライバーがガチほこやみんだったとしたら、太陽光貯照遮断設備の強照を……そんな場合ではない、助けに行かなくては!]



「そうか、そういうことか……」

「杜鷹、これって一体、どういうことなの?」

「赤葉さん、藤東さんはマンション所有者管理人として、藤西さん姉妹達との守秘義務を守っていた、そして命も守った可能性があるという事です」

「守秘義務? 口外してはいけない契約か」

「そうです赤葉さん。藤東さんは守秘義務を守った結果、藤西さん姉妹を庇って刺された可能性が高くなりました」




 僕と赤葉さんが見た藤東さんがメモ、それはあの子の第3の妄想犯行計画である"執眩の妄想犯行"に選ばれたほこやぎ町の住民に合致する条件がほぼ揃っていた。



「森咲杜鷹、この謎は解けそう、かしら?」

「解葉さん、いつの間に……いや一つ確認したい事があります」

「どうぞー森咲杜鷹」

「昨日、明理さんの通報を受けた警察が、603号室に駆けつけた際、明裡(メイリ)さんはどうしていましたか?」

「明裡? チョイ待ちー……えー、気絶していた明裡は藤東さんを刺したと考えられる血のついた包丁を手にしていた……と報告があるわ」



 ――なるほど……仮にガチほこやみんが太陽光貯照遮断設備制御機を盗んだ元配達ドライバーだったしたら……いいやこれは一度ログアウトして、現実世界で喜冬さんと整理した方が良いな……。



「赤葉さん、解葉さん……トイレを貸してください」

「トイレ? 後でちゃんと藤東さんにトイレを借りました、ありがとうございますと森咲杜鷹が説明すること」

「もちろんですよ、解葉さん」



 ――ログアウトするタイミングはここしかない!



【103号室 トイレ】



 僕はトイレの中で立ちながら、白いスマホを操作している。


「今が……202X年2月X日の14時25分だ、アラーム機能を5分後の14時30分にセットして……」



 ――ログアウトしたい! ……喜冬さん、気づいてくれ!



【妄想犯行計画のログアウトコマンドが雪護喜冬により実行されました! ほこやぎ町から現実:まほらぎ市に五感転送を開始します!】



 ――よし! 流石は喜冬さんだ、ありがとう!



 《「――ぐしながら一品一品、慎重に盛り付けているみたいです!」》




 ――ただいま、まほらぎ市……。




 43話 

 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:6 完。


 44話へつづく!

お読みいただきありがとうございました。

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