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49話  フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:12(終章)

 

 49話

 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:12(終章)




【202X 2月X日 PM22:00】

【仮想:ほこやぎ町 萬屋記録局】


「やっと帰ってこれたよー、もうクタクタだよー……早く入りましょ!」

「はい、赤葉(アカハ)さん」



 ガチャ!



 無事、今回の第3の妄想犯行計画を暴いた僕は、解葉(トケハ)さんに送ってもらい、赤葉さんと一緒に萬屋記録局(よろずやきろくきょく)へ帰ってきた。




「お帰りなさい、赤葉さん、森咲(モリサキ)さん」



 僕達が記録局内に入ると喜冬(キフユ)さんが待っていた。



「ただいま喜冬、もしかして解葉の引越し作業が終わった感じ?」

「そうですね……かなり荷物が多くて大変でしたが、とりあえずひと段落ついたので、溜まっている事務作業を片付けないと考えていたら、この時間ですね」



 ――そうか! ステージをクリアしたから探偵ヘルプのお手つきが解除されたのか。



「赤葉さんと森咲さん、藤西(フジニシ)さん姉妹は大丈夫でしたか?」

「解葉さんの話では、明裡さんは送検される前に真犯人が逮捕できたからとりあえず釈放、さっきほこやぎ署にご両親が迎えに来たみたいだよ」

「そ! 杜鷹(モリタカ)が真犯人のガチほこやみんを暴いたからね」

「その話、聞いても良いですか?」

「勿論だよ! ね? 杜鷹」

「そうですね、ではまず――」



 僕と赤葉さんは喜冬さんに今回の事件のトリックについて話を始めた。



「――と言う訳なんです」

「なるほど……その太陽光(たいようこう)貯照(ちょてら)遮断(しゃだん)設備(せつび)制御機(せいぎょき)は、緊急メンテナンス用のリモコンではなく、103号に設置された太陽光貯照遮断設備の中枢(チュウスウ)端末を動かす為に必要な物だった、と?」

「そうです雪護さん。1月1X日に真犯人がリモコンを盗んだ理由は、操作に必要な片方を103号室から遠ざける事で、管理人である藤東(トウトウ)さんが情報参照をする機会を奪ったと言う事です」

「確かに、では真犯人はどうやって犯行を?」

「喜冬。あのガチほこやみんが1月1X日以降に管理人室に入る事はしなかった。もし入っていたとしたら、昨日の事件が起きる前に103号室で事件が発生していたはずよ」



 ――確かに赤葉さんの推理通りだ。

 フジキタさんが藤東さんを襲った日以降にも103号室に侵入していたのであれば、昨日のホコヤライブとは別の襲撃事件が発生していた。

 でも今回の妄想犯行計画は、太陽光貯照遮断設備を使ったトリックだから、ホコヤライブ中の乱入襲撃事件になる様になっていたということだろう……。



「森咲君、肝心の太陽光貯照遮断設備中枢端末のパスワードなんだったの?」

「パスワードはね、ミルクコーヒーをローマ字にした[Milk_Coffee]がパスワードだったよ」

「えっ? それはもしかして……」

「まあコーヒー牛乳って事なんだけど」

「なるほど……それでメンテナンスリモコンを持った状態で中枢端末にログインして、フジキタさんのほこ西やぎマンション内での行動と昨日犯行が証明できた、で合ってる?」

「そうそう、1月1X日から昨日までのメモに記された防犯カメラの映像も照らし合わせて、スタンガンを藤東さんに当てたとこ――」



 プルルル! プルルル! プルルル!



「赤葉さん、スマホが鳴ってますよ」

「えっ? 杜鷹のスマホじゃないの? ……あっ、ほんとだ、やいねぇからだ……なにか嫌な予感がする……もしもーし!」



 八色(ヤイロ)警視と通話を始めた赤葉さんは瞬く間に顔が青ざめていった。



「はい……うん、アレを早くね……はい、分かりました。チッ、えっ? 舌打ちしてないよ、するわけないないない! うん、早急に報告書を書いて、やいねぇのパソコンに送っておくね、はいよろしくお願いします」

「赤葉さん、やっぱり調査報告書ですか?」

「そう……あっ杜鷹、喜冬! やいねぇへの調査報告書を書くのを手伝って! お礼にラーメンホコヤギ家のほこやぎ味噌ラーメンを奢るからさ!」



 ――ほこやぎ味噌ラーメン? それってもしかして……。



「まさか本当にあるなんて……」

「喜冬? 今、なにか言った?」

「いえいえなにも言ってないですよ!」

「ならいいけどさー……じゃあ報告書を書くわよ!」



 ――まさか、小蒼ちゃんが何杯も食べていたほこやぎ味噌ラーメンが、本当にほこやぎ町で実在している味噌ラーメンだったなんて……でもあのラーメンは美味しそうだった!



「はい! 分かりました赤葉さん!」



 この後、僕と喜冬さんと赤葉さんは八色警視への報告書を迅速に書き終えた。



「…………報告書、送信完了っと、ありがとね。杜鷹、喜冬……じゃあ今からラーメンホコヤギ家へ行くわよ!」

「はい赤葉さん!」


 赤葉さんに連れて行かれたラーメンホコヤギ家で僕と喜冬さんと赤葉さんは、ラーメンホコヤギのほこやぎ味噌ラーメンを食べた。



 ――夜中にラーメンを食べに行く事ができるのも、この世界では普通なんだよな。



 僕はそう考えながら、日付が変わる瞬間のモリタカルームに帰ってきた。



【202X 2月1X日 AM0:00】



 ――日付がX日から1Xに変わったな……。



【妄想犯行計画のログアウトコマンドが雪護喜冬により実行されました! ほこやぎ町から現実:まほらぎ市に五感転送を開始します!】



 事件を解決し、仮想空間でお腹を満たした僕は、サラリーマンの森咲杜鷹としての僕が存在している現実世界へ帰還した。



 49話 

 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:12 完。


 第6章 近未来装置と第3の妄想犯行 完。


 次章 50話へつづく!

第6章、これにて完結です。


次章開幕までしばらく休載いたします。


お読みいただきありがとうございました。


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