41話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:4
41話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:4
【202X 2月X日 AM10:00】
【仮想:ほこやぎ町西やぎ区 ほこ西やぎマンション 603号室】
【残解決時間 152時間】
僕と赤葉さんは、多謎乃解葉警部の案内で殺人未遂現場である、藤西さん姉妹の自宅を訪れている。
「多謎乃警部! ご苦労様です!」
「ご苦労様。あの後、異常はありましたか?」
「いえ、ありません!」
「ありがとう、ではまたなにかあったら、報告をお願いします」
「了解致しました、多謎乃警部!」
僕達は解葉さんと一緒に規制線の向こうに入った。
「赤い葉っぱの助手の森咲杜鷹、どこから調べるの?」
「そうですね……まずは昨日、どういう状況で何が起きて、どうして藤西さん姉妹が事件に巻き込まれたのかを教えてください」
「赤い葉っぱの助手の森咲杜鷹は、それを知って謎は解けるの?」
――謎は解けたの、謎は解けるの……話を引き出しにくい。
「どうしたの? 私がなぜ森咲杜鷹に、今みたいな感じで聞いたのか……その謎は解けたの、かしら?」
「それはですね解葉さん……僕と赤葉さんが、この部屋の調査を終えて、この部屋から出たのは昨日14時すぎです。しかし、今この家にはなぜか藤西さん姉妹ではなく、警察を含めた僕達がいる。それが謎を解く、一つのラインです」
「なるほど、その謎は解けたか。事件の詳細はまず……110番通報があったのは、昨日の18時過ぎ」
――昨日の18時過ぎ? やはり僕と喜冬さんがアラーム機能でスキップしたら、アラームを設定した時刻まで、ほこやぎ町はリアルタイムで時間進行するのか……。
「で、その通報者は藤西明理だった」
「明理さんが?」
「そうよ、森咲杜鷹。通報を受け駆けつけた警官が目にした光景……それが」
ガチャ!
「これだったの……幸いにも被害者の藤東夕也さんは、先に現場到着していた救急隊によって、緊急搬送されたから、命の灯火を消さずに済んだわ」
――こ、これはリビングキッチンに血が飛び散って……床には血の跡が……。
僕達が帰った後、この部屋で一体何が起きてしまったんだ⁈
「そして藤東さんは現在もICU。藤西姉妹はほこやぎ署で取り調べ中、以上が現在解けている謎。森咲杜鷹、この謎は解けたの、かしら?」
「その謎は解けたの、にして藤西さん姉妹の無実を証明する。だから解葉さんは萬屋記録局に来たのでしょう?」
「見抜いていたのか、森咲杜鷹」
「もちろんです、解葉さん」
――これが解葉さんの癖を封じ込める技、謎は解けたの? 返しだ!
「ふふっ……では森咲杜鷹にこの謎を解けた事件解決に導く為の協力を要請する、もちろん赤い葉っぱもね」
「赤い葉っぱ、赤い葉っぱって! 解葉は私の名前を普通に呼べないわけ」
「だから呼んでいるじゃない、赤い葉っぱで赤葉」
「はいはい二人共、今はそんなことをしている場合じゃない! ……とにかく何が起きたのかを一人で考えてみます。何か分かったら情報共有しますので」
「……分かったわ杜鷹、熱くなってごめんね。私達は別の部屋を調べてくるね」
「分かりました、赤葉さん」
「ほら解葉、行くわよ」
「赤い葉っぱ、私は一応あなたより年上だよ」
バタン!
赤葉さんと解葉さんは別の部屋に向かった。
――藤西さん姉妹の自宅で起きてしまった事件である以上、藤西さん姉妹の無実を証明する事は非常に困難だ。
でもあの子がこの妄想犯行計画を仕掛けている以上、事件のラインに繋がる手掛かりがあるはずだ。
僕はこのリビングの南側に位置する、システムキッチン周りに手掛かりがないか調べ始めた。
「ん? 冷蔵庫にメモが貼ってある……」
[F.T勢力図、2月X日時点]
[F.M 生クリーム]
[F.A 牛乳]
[Y.A 生クリーム]
[M.M 牛乳]
[F.Y? コーヒー牛乳?]
[F.A(F) 牛乳]
「なんだこれ……藤西さん姉妹の名前、僕や赤葉さんの名前のイニシャル? ……と言うよりも最後にまたF.A(F)があるのはなぜなんだろう……」
カシャ!
僕は冷蔵庫に貼り付けてある、FT勢力図メモを白いスマホで記録した。
「そう言えば……小蒼ちゃんがブラウザ機能の制限緩和とか言ってなかったっけ? ……ホコヤギアカリ……は、TooTubeで生配信をしているカッコカワボイスで、ファンを増やしているバーチャル生配信者…‥なるほど、TooTubeのリンクもあるか」
僕は白いスマホを使って、TooTubeという配信サイトで活動中の明理さんのアカウント"ホコヤギアカリ"のアーカイブにアクセスした。
「昨日のアーカイブ……はあるな、午前10時前に配信開始された[ホコヤギアカリ 午前!]のアーカイブを確認しよう、映像付きはメンバーシップ……メンバーシップ以外はコメントアーカイブだけ見れるな」
――これは……配信中の明理さんの部屋に僕が入ってしまった時ぐらいコメント欄か……ガチほこやみんのコーヒー牛乳コメントがあるな。
[ホコヤギアカリ、"誰"フラされる]
[ガチほこやみんの僕がいながら浮気するなんて!]
――ガチほこやみんの僕がいながら浮気するなんて……なんだこの明らかに違う、距離感の近いコメントは?
「次に確認すべきアーカイブは、僕たちが帰った後のアーカイブ……あった[ホコヤライブ 夕方!]か」
[ガチほこやみんさ、いい加減にしろよ!アカリちゃんもほこやみんもスルーしてやってんだよ]
[僕はガチほこやみんだから、ホコヤちゃんの名前も住所、姿も知ってるんだー、僕はF.Y、解るよね?]
[アカリちゃんが怖がってるからやめなよ!]
[ガチほこやみん、通報しますた!]
タイムスタンプが17時を過ぎた頃、ガチほこやみんが"あるコメント"を送信した後ぐらいから、平和だったコメント欄の雰囲気が一気に変わり始めた。
[アカリちゃん、何か頼んだの?]
[アカリちゃん、行ってら]
[えっ? アカリちゃん!どうしたの??]
[悲鳴?おいおいなんかやばいぞ!警察に通報しなきゃ!]
[光が……なんだ?]
「なるほど、コメント欄から推測できる状況……悲鳴が聞こえたのが17時半から18時の間……眩しい?」
――太陽光貯照遮断設備が関係してる? 赤葉さんがいるベランダを調べてみるか……。
僕が13時間ロスをしてしまったから、その時間分の証拠が消えていってしまうと考えていた。
でも生配信ライブだったからこそ、残る証拠があった。
[ホコヤちゃんが住んでいるマンションには太陽光ちょてらなんたら設備があるよね? F.Y]
――このガチほこやみんが残したコメントこそ、事件の真相に繋がるラインの一つだ!
『現在時刻――PM12:00』
『残解決時間――150時間』
41話 フレンチトーストから始まる第3の妄想犯行:4 完。
42話へ続く
お読みいただきありがとうございました。
2026年6月6(土)、一部表現を改訂しました。




