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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第5章 森咲杜鷹と雪護喜冬と第2の妄想犯行
28/30

#24 第2の妄想犯行 探索篇Part.2

まさか白いスマホのアラーム設定で、ほこやぎ町の時間をスキップできるとは……以外な盲点だった。



 ――でも最初から設定できるならそうしてたよ!……今更言ってもしょうがないけどね!



【まほらぎ市への五感転送が完了しました!】

【次回帰還期限】

【202X 1月13日 PM20:00】



 ほこやぎ町の萬屋記録局で、喜冬さんがアラーム機能について話してくれた後、ログアウト準備の為、彼女は自分の拠点に帰って行った。

 次に妄想犯行計画へログインした時のほこやぎ町の時刻は、アラーム機能によって、202X 1月1X AM7:30に設定してある。


「………………」

『ふっ――お帰り、杜鷹」

『どうしたの?』

「いや、あのゲームルール……確かにログアウトは任意と書いてあったなと思ってさ……」

「アラーム機能、なんで教えてくれなかったの?」

『ふっ――杜鷹が私に聞かなかった、だから教えなかった……それだけだよ』

「まあ確かにそうなんだけどね……」


 

 KokuSouSと言うゲーミングノートの画面内にいる小蒼ちゃんの言う通り、聞かなかれば教えてくれない。

 でも僕も含めた時の中で生きる命ある者には、時間を巻き戻す為のシークーバーも時間を速める為の倍速機能もない。

 だから今、僕がもしかしたらという考えたとしてもそれは結局、結果論でしかない。


 

 ――まあ、今は精神的にも身体的にも快適だ。喜冬さんはどうなんだろうか?……あんまり喜冬さんからはそんな言葉は聞かないけど……



 

 【202X 1月13日 AM8:30】

 【まほらぎ駅 駅入口】


 

 まほらぎ駅入口で僕は今、喜冬さんを待っている。

 しろなぎ市に住んでいる喜冬さんは電車通勤で、前までは会社で顔を合わせる関係だったが、最近は駅で待ち合わせしてから一緒に出社するようになった。


「ふぅ……寒い、寒い……雪降ってる」



 駅構内に設置された温度計は、氷点下零度を下回る温度を表示しており、雪が降るのも納得できるぐらいの寒さだった。


 

「あつ!……あ、おはよう喜冬さん」

「おはよう、杜鷹君――寒かったでしょ?」

「待たせたお詫びに……はい、ココア」

「ありがとう、喜冬さん」

「うん、じゃあ杜鷹君行こうか」


 

 喜冬さんが買ってくれた飲み物で、身体を温めながら僕と喜冬さんは会社に向かうことにした。


 

「喜冬さん、昨日のあれなんだけど……」

「杜鷹君……あれはすごいね――」

「でもあの子が仕掛けたステージでしょ?――」

「メガネ型ゴーグルがフィルター代わりになってるから、アニメテイストになっているけれど――」

「もしフィルターが無かったら無理だったかも……」

「杜鷹君もね……アニメテイストになってるんだよ、知ってた?」

「知ってるよ……自分の姿を見るのはあんまりしないかな……喜冬さんはアニメテイストにあまり変わってない」

「杜鷹君――そう言うこと言われるとかなり恥ずかしいからやめてほしい……」

「あっ、つい……ごめん」

「いいよ……でも本当に不思議な気分だね――本当にほこやぎ町があるみたいな感覚になる」

「そうそう、僕も初めて、メガネ型ゴーグルであの世界に行った時に同じ事を思ったよ」

「そうなんだ、あの子は私たちと同じ様に妄想犯行計画へ五感転送ログインしてるのかな?」

「うーん、小蒼ちゃんに聞いたことあるけど……教えないと言われたからな……でも五感転送はしてないとだけ言われたよ」

「……そうなると、私が考えてるあの子候補も大分、広がってしまう気がする」

「えっ?どうして」

「実はね――」

 


 喜冬さんは大学時代にトリック研究会というサークルに所属していたという。

 僕のクラスメイトだった天城灯凛(あまぎ ともり)ちゃんもトリック研究会のサークルメンバーで、喜冬さんが友人になったのもその時だったらしい。


 

 ――うーん、確かに萬屋赤葉の事件帳はオリジナリティがあるトリックが売りの小説だからな……でも灯凛ちゃんは、僕と繋がりがあるから、確かにあの子の候補にはなるのだけど……証明ができないからな……


 

「まあでもトリック研究会と言っても小規模なサークルだったからね――あの子が誰なのかは今は置いておくとして……杜鷹君、会社が見えてきたよ」


 

 喜冬さんと話をしてると時間が早く進んでしまう――トリック研究会……僕の大学にもあったら良かったのにな……

 

 だけど今は――

 


「身体も温まってきたし今日も頑張ろう!」

「杜鷹君、いきなり大声で……恥ずかしい」


 

 喜冬さんと僕は、今日も会社で仕事を頑張るためにまほらぎビルの入門ゲートを通過した。


 

 【202X 1月13日 PM17:10】

 【まほらぎビル エントランス】


 

「ふぅ……疲れた……」

「お疲れ様でした、杜鷹君」

「お疲れ様でした……喜冬さん」


 

1日の仕事を終えた喜冬さんと僕は、会社から駅に向かっている。


 

「……あと2時間半かぁ……」

「いきなり何?どうしたの?杜鷹」

「いや……ただ、24時間はあっという間に来ると思ってね」

「僕たちは今、昼間は会社員、夜は探偵の二重生活になってるでしょ?」

「それがどうかしたの?」

「喜冬さんがいなかったら僕は、会社をサボりにサボって、あの未来とはまた別の未来に辿りづいてしまったのかな?と思ってさ」

「またその話?……あの日、私たちは後ろを振り返らないと決めたはずだよ」



 そう、喜冬さんの言う通りだ。

 あの日――僕と喜冬さんは、ほこやぎ町の喜冬さんの拠点、キフユルームでもう後ろを振り返らないと2人で決めた。

 僕の想いが創り出したほこやぎ町。

 僕と喜冬さんの部屋にある小蒼ちゃんの器、ゲーミングノートKokuSouS、そしてほこやぎ町に行くためのメガネ型ゴーグル。

 第1の妄想犯行である金餅邸の事件は、赤葉さんや明堂さん、八色さんがいたけど、現実世界の住人は僕だけで、実際は孤独な気分だった――

 五感再現された仮想現実の登場人物であっても、現実世界の住人とはやっぱりどこか違う。

 でもそれは当然の事で、現実世界に理解者がいない事も精神的にもかなり参っていた。

 だからメガネ型ゴーグル……ゴーグル?

 そう言えばなんで、山北さんはゴーグルをかけていたんだ?

 


「喜冬さん!なんで山北さんはゴーグルかけてたのかな?!」

「いきなり何?!――杜鷹君、声大きい!」


 

 僕の大声に喜冬さんはもちろんの事、周囲の人達も驚きながら僕を見ていた……


 

「ごめん」

「……恥ずかしいから気をつけてね――えーと、ゴーグルを掛けてた理由?確かに不自然ね」

「そう、本当に誤って転落してしまったなら衝撃でゴーグルが外れないとおかしいのに……」


 

 山北さんがかけていたゴーグルの種類は分からないが――4階から転落しても、外れないゴーグルを山北さんがなぜ嵌めていたのか?

 それがあの転落現場で、転落した山北さんを見た際に思った疑問点だった……

 転落現場に行く前に僕が、聞いたあの悲鳴。

 あれだけ大きな声だったのに、転落現場には人が一人もいないあの環境……どういう事なんだ?


 

「杜鷹君?――ねえ、杜鷹君」

「喜冬さん?――どうしたの?」

「ゴーグルの件はさ、ログインした時に確認しようよ――今は会社員、森咲杜鷹と雪護喜冬だよ」

「ははは――確かに、喜冬さんの言う通りだ――なんかさ、喜冬さんと話してるとあっという間に時間が過ぎるよ」

「そう?私は長く感じるよ……やっと駅が見えてきたね」

「じゃあ、杜鷹君!、またあとでね」

「うん、喜冬さん、またあとで」

 

 

まほらぎ駅の改札前まで喜冬さんを送り届けた僕に対して、喜冬さんは手を振りながら改札を通過して行った……


 

 さあ今から晩御飯を買って帰ろう!


 

 【202X 1月13日 PM18:00】

 【Mマート まほらぎ町店】

 【残帰還期限 2時間】


 

 今、僕はコンビニにいる。

 萬屋赤葉の事件帳のコラボキャンペーンが、Mマートでは今日から開催されていて、僕はコラボキャンペーンの景品が欲しくて、立ち寄ったのだが……

 

 無い!……景品が全て無くなってる……


 店員さんに一応聞いてみたのだが、キャンペーン開始時刻と同時にすぐに無くなってしまったらしい。


 

 ――こういうときに会社員は不利なんだよ……フリマで買う気も起きないし……


 

 無くなってしまったのならしょうがない。

 そんな残念な気持ちを抑えながら、買い物をしていると後ろから女性に声をかけられた。


 

「あれ?探偵君?」

「あ……灯凛ちゃん、去年の年末の病院以来だね」

「うん、調子はどうです?」

「順調だよ、あの時はありがとう」

「そう言えば、喜冬さんと灯凛ちゃん――大学時代、同じサークルだったんだね」

「それって……トリック研究会のこと?」

「そうそう」

「トリック研究会、懐かしい……」

「懐かしい?」

「えーとね……トリック研究会はね、推理やミステリー作品の犯人役の視点に立って――」

「どうやったら探偵に暴かれないのかを――」

「持論を持ち合って考察したり、探偵役が持論を見破ったりして――オリジナルトリックを作って遊ぶサークルだったよ」

「それはまた興味深いサークルだ、僕も同じ大学だったら真っ先に入っていたかも……」

「ふふふ、やっぱり探偵君だ!」

「探偵君はやめてくれよ……恥ずかしいから」

「探偵君は探偵君だからね」

「……灯凛ちゃん……あっ!そうだ、赤葉の小説もトリック研究会で使われてた?」

「萬屋赤葉?勿論――でもオリジナルトリックは確かにあったかな……でも萬屋赤葉自体がさ――」

「計算されたオリジナルトリックなんだよね――」

「だからオリジナルトリックの数は少ないかな――」

「もしかして……探偵君、気になる?オリジナルトリック?」

「気になるな……喜冬さんはもちろん知ってるの?」

「知ってるよ――だからいつもメモとってたよ――」

「赤葉のオリジナルトリックのこと」

「メモか……喜冬さんにまた話、聞いてみるよ」

「キフちゃんがあのメモを持っているかは分からないけどね――」

「あっ、お母さんから電話だ!またね、探偵君」

「またね、灯凛ちゃん」

『もしもし――ごめん、ごめん――いまから……』


 

 トリックメモ……あとで聞いてみるか。


 

「あの……お客様?キャンペーンの景品、まだ残ってました!」

「本当ですか?!ありがとうございます!」


 

 赤葉のキャンペーンの景品を店員さんが、補充してくれたおかげで、僕は無事にキャンペーン景品を手に入れる事ができた!

 


 ――最近のコンビニは対象商品、3つ同時購入で景品一個もらえる系のキャンペーンが多いよな……


 

 『ありがとうございました!またお越しくださいませ!』


 

 買い物を済ませて、赤葉のキャンペーン景品も無事に入手できた僕は、ウキウキな気分で――自宅に向かった。


 

 【202X 1月13日 PM 18:50】

 【まほらぎ市 ハイツまほらぎ 杜鷹の自宅】

 【残帰還期限 1時間10分】


 

 今、僕は赤葉の事件帳を晩御飯を食べながら見ている……暗刺のトリックの赤葉が暴きパートのシーンに何かヒントがあるのかもしれないと考えたからだ。

 

 『東蔵(あずまくら)さん!あなたがこの事件の犯人です!』

 『いきなり何を言い出すかと思えば……私とあの人は体格差があるのよ?』

 『そんな私がどうやってあの人を殺めれると言うのよ!』

 『東蔵さん、あなたが暗闇通路で使ったものはこれ』

 『……そ、それは私が探していた物……なんであんたが持ってるのよ!』


 ――赤葉が持っていた物……それは鈴のついた東蔵さんのロッカーの鍵……


 

 ほこなぎ寺の事務員である東蔵さんは、物をなくす癖がある人物。

 だから色々な物に鈴を着ける習慣があった。

 あの暗闇通路で被害者を殺める際も赤外線ゴーグルを掛けた彼女は、被害者の前に鈴のついたロッカーの鍵を投げた……音に反応した被害者が鈴を拾おうとした隙を狙って、背後から刺した。


 

「そう……やっぱり音が鳴る物……でもな……」


 山北さんが誤って転落した空き会議室を僕と喜冬さんはまだ調査していない……この後、妄想犯行計画にログインした後に考えた方がいいかも。


 ――音を鳴らせれる物……音を鳴らせるれる物。


 

「ご馳走様でした!――さぁて!」


 

 戸締りをした後、部屋着に着替えた僕は、テレビを点けた後、ほこやぎ町に行くため、ベッドの中でメガネ型ゴーグルをかけた!

 

 『ふっ――いってらっしゃい、杜鷹!』


 小蒼ちゃんのいってらっしゃいの声と共に、僕の意識は途絶えた……



 【おかえりなさい!森咲杜鷹!】

 【妄想犯行計画にログイン開始……】

 【探偵ヘルプ……ログイン確認中……】

 【探偵ヘルプ……ログイン確認完了!】

 【探偵のバイタル状態……異常無】

 【ほこやぎ町への五感転送を完了しました!】



 #24 第2の妄想犯行 探索篇 Part 2 完

 #25 第2の妄想犯行 探索篇 Part 3につづく

最後までお読みいただきありがとうございました!

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