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24.5話 KokuSouS Part.2

幕間回です。

【202X 12月 杜鷹(もりたか)が覚悟を決めた後日】

【まほらぎ市 ハイツまほらぎ 自宅】



『ふっ――本当に杜鷹は懲りないよね! 勝手に覗かないでって、この前も言ったはずだよね? 私は、杜鷹の頭の中を覗くのやめたのにさ、だーから、杜鷹はさ! ――――』



 小蒼(こそう)ちゃんが何か言っている気もするけど……

 僕の名前は、森咲杜鷹(もりさきもりたか)だ。

 この得体の知れないゲーミングノートPC、KokuSouSのメカニズムをやっぱり知りたいという好奇心に負けて、また小蒼ちゃんに隠れて、データベースへのアクセスを勝手に試みて、失敗した、20代半ばのサラリーマンだ!

失敗した僕は今、KokuSouSの主、かつて想いを叶える存在、刻想器だった小蒼ちゃんに怒られている。



『……なんだよ! ねえ、聞いてる?』

「いやー、どうしてみても見たくてさ」

『どうしても見たい? なんで?』

「あれ、小蒼ちゃんが集めてる収集データでしょ?」

『収集データだったら何? 覗き見していいわけ?』



 ――やばい、かなり怒っているな……



『喜冬と私のやり取りを覗き見したいとか、あり得ないし!』

「でもさ!僕は小蒼ちゃんの契約者だよ、見る権……」

『そんな権利、貴様には無い!』



 ――この即答ぶり……小蒼ちゃんは本当に怒ってるな……

 

「じゃあさ、どこまでなら良い?」

『しつこいなぁ! ……でもそこまで言うなら、このフォルダだけは見せてあげる』



 僕は小蒼ちゃんをまた許可を貰い、以前開いた用語集Part.1ではなく、用語集Part.2フォルダを開いた。




 【妄想犯行計画 用語集フォルダ Part.2】


 【森咲杜鷹 もりさきもりたか】

小蒼の契約者 その1である妄想犯行計画の暴く側のプレイヤー。

 【性格】 明るい、現実主義、偶に感情的、哲学者。

 【好きな物】 雪護 喜冬(ゆきもり きふゆ)、柊先生、萬屋 赤葉(よろずや あかは)の事件帳、まほらぎ家の特製醤油ラーメン。

 【嫌いな物】 人を殺める人間。

 【小蒼との関係】 対等、契約者。

 【森咲杜鷹の妄想犯行計画の攻略歴】

 小蒼! の忠告を無視した杜鷹は、仮想の五感探偵?という謎の自称をつけて、金餅良緒の自宅邸内で発生した、【ステージ1 匂いの妄想犯行】を20時間以上一睡もしないまま、犯人を暴いてクリアした。

五感再現してある妄想犯行計画内で、仮眠も取らずにガチ攻略したら倒れるのは当然である。

だから小蒼! の忠告を無視した杜鷹への対策は、雪護喜冬を妄想犯行計画に巻き込む事。

結果、杜鷹のガチ勢攻略を封じる事が成功。

これは小蒼! との想いの契約を契約不履行にしようとした杜鷹へのお仕置きだ!

 【以上】


 ――仮想の五感探偵? なんで必ずその言葉の後ろに疑問符があるんだよ! 確かにガチ攻略したのは認めるよ、あの時はそれしか考えて無かったからね。

 


 小蒼ちゃんのこの記録を見た僕は、まあ確かになーと考えながらファイルを閉じて、フォルダ内の喜冬さんのファイルをクリックした。



 【雪護喜冬 ゆきもりきふゆ】

小蒼の契約者その2である杜鷹と同じ会社の20代半ばの女性で、杜鷹が護りたい大切な人である。

現在は私、小蒼と契約した、妄想犯行計画の探偵ヘルプ版のプレイヤー。


【性格】 明るい、凛々しい、冷静、賢い。

【容姿】 雪みたいな肌、透き通る髪、間近で見たら美人でした。

【趣味】 トリックモノと推理モノの鑑賞、考察、オリジナルトリック作り。

【杜鷹との関係】 同僚で、趣味友達以上恋人間近。

【小蒼との関係】 契約者、対等。

【雪護喜冬について】

 雪護喜冬は杜鷹以上に賢くて鋭く、あんなもの見たら普通は、逃げるのに逃げなかった。

だから私は、杜鷹の絶望の未来の引き金の1つである喜冬と想いの契約をした。

 

 【以上】



 ――あんなもの? 僕の絶望の未来を見たと喜冬さんは、確か言っていたな……この気持ちを言葉で表現するのが難しいな……あと???がオリジナルトリックづくりに変わってるし、喜冬さんは美人で、僕は普通のどこにでもいるサラリーマンだけどね。

 


「小蒼ちゃん?」

『ふっ、なに?』

「喜冬さんとした想いの契約って、なんだったの?」

『はぁ…………鈍感』

「小蒼ちゃん……その鈍感という言葉は本当にやめてくれ」『ふっ……ふっ』



 小蒼ちゃんの鼻で笑ういつもの癖で、強制的に話が終わってしまった気もするが、僕は次に、あの子と名前がついたフォルダ内のファイルをクリックした。



 【小蒼の管理者ログインが必要です。パスワードをご入力ください 残1回】


 

 ――ですよね……

 


 まさか金餅邸にあった、K.S換気システムの管理者ログイン画面を、現実世界の仮にもゲーミングノートPCであるKokuSouSの画面越しで見るとは……考えてもいなかった。

 


「結局……あの子は誰なんだろうな……」

『ふっ、さあね、知らない』

「ねぇ、小蒼ちゃん。暴かれる側……のプレイヤーのあの子は誰だろうね?」

『ふっ――知らない、知ってても教えない』



 そうきたか、小蒼ちゃん。

まあ確かに、僕の絶望の未来に関わっている、あの子の正体を僕と喜冬さんで、真相に辿り着くと決めたんだ。だから逆に、ファイルが見れなくて、良かったよ。


 赤葉さんや明堂さんのファイルはフォルダ内には無い……次のファイルを見つけた僕は、ファイルをクリックした。



 【萬屋八色 よろずや やいろ】

 【年齢】 27歳

 【職業】 警察官。

 【階級】 警視、警察キャリア組。

 【性格】 冷静、冷徹、整理脳。

 【好きな事】 八色の想いを収集ができなかった。

 【嫌いな事】 嘘つき、罪を消そうとすること。

 【萬屋八色について】

 萬屋赤葉の事件帳にも登場する、萬屋一族の姉妹達の長女であり、ほこなぎ町の全域を管理する部署の責任者。

赤葉が憧れる姉の1人で、赤葉が記録人や探偵みたいな事をほこなぎ町で活動できるのも、八色の支援があるから。

 妄想犯行計画の舞台であるほこやぎ町では、萬屋八色は、裏側からの赤葉の支援をする名目で萬屋記録局を創設。萬屋記録局長に赤葉を据える事で、管理している。

 ほこやぎ町の住人は、意思を持つほぼ人と同じである為、八色という人間がやりたい事は、赤葉を管理しながら、陰ながら見護る事なのかも。

 【以上】



 …………なんだ、えーとつまり……



「どういうことなんだ?」

『ふっ、しょうがないから教えてあげるよ。杜鷹の好きという想いの一つである、萬屋赤葉の事件帳の世界ほこやぎ町に、五感再現と1秒1秒が流れる世界に再構築したのがほこやぎ町で、好きな事を秘密にしたい想いの持ち主が萬屋八色だから、好きな事に書いてある通りなんだよ』

「どおりで怖いわけだよ……画面越してみる八色さんのままだった……ふぅ」


 

 ため息が出てしまった……

 あの金餅邸の事件を仮想空間で起きた事件とはいえ、僕にとっては現実の一つだった……

 画面越しで見るフィクションだと分かる事件と五感転送されたほこやぎ町の森咲杜鷹の身体の感覚で、実際に見てしまうのとは、また訳が違うのだ。

 だから匂いの妄想犯行のトリックでも使われた、あの臭い干物の匂いも僕が今いる現実と同じぐらいの感覚だった。

 そのおかげで何回も僕は吐きそうになっていた……と思っていたら金餅邸に事件についての赤葉さんが書いていた報告書のファイルがあった……


 ――機密文書だよね、コレ?……



 【警視 萬屋八色様へ】

 1月X日の前日、金餅良雄様からご依頼がありました、金餅良緒様邸の異臭の調査依頼の際に発生した、事案についての報告書です。


【調査場所】 ほこやぎ町 郊外 金餅良雄様邸。

【調査内容】 異臭原因の調査並びに事案調査。






 ――長い……この長い報告書を赤葉さんは、八色さんにいつも書いて、提出しているのか? 赤葉さんが苦戦しながら報告書を書いていたのも頷けるな……



「次は……刻想器と小蒼ちゃんのファイルか……」



 【刻想器と小蒼 その2】

 刻想器は幾つもの世界を渡るモノ。

 人の想いに引き寄せられる場合もあれば、逆の場合もある。

 私たちは出会いし者に合わせた色々な未来の形を見せる事ができる。

 契約者と刻想契約をした時、契約者のその時の想いによって、姿が変わる……だから小蒼はラッキーだった。

 契約者の力の剣となる刻想器もいれば、世界を救う力を与える刻想器もいて、小蒼は杜鷹と対等で、杜鷹の想いによって、雪護喜冬と萬屋赤葉が混ざった容姿の姿になれたのだから……



「小蒼ちゃん?……力の剣や世界を救う刻想器と書いてあるみたいだけど、どう意味?」

『ふっ――言葉どおりですけど……えーとその刻想器だったモノの名前は、ユメなんとか! だったような……私はあなたと契約した刻想器だったモノから小蒼になったから、他の世界の契約者の刻想器の事は、詳しくは知らない』

「気になるな……それって日本?」

『ふっ――杜鷹は知らない方がいいこともあるんだよ』

「確かにね……僕にとっては、刻想器……いや小蒼ちゃんは小蒼ちゃんだし、僕が出会ったのは小蒼ちゃんだしね」

 『ふっ――あのさ、小蒼ちゃん、小蒼ちゃんってしつこい!』


 小蒼ちゃんがまた怒り始めたが、僕は気にせず次なるフォルダを開こうとしたのだが……

 ファイルが開かない。



 『ふっ――次のフォルダを見たいなら、また鍵を探すことだね、分かった、杜鷹?』



 またそのパターンか!

 煽られたら逆に僕は、燃えるタイプなんだ!

 でも……


「今回は、ここまでにしておくよ。おやすみ、小蒼ちゃん」

『ふっ――おやすみ、杜鷹』


 明日も喜冬さんとほこやぎ町に行く為、僕は身体を休める為にKokuSouSのシャットダウンをクリックしたのだった……


 シャットダウンしたら小蒼ちゃんがどうなるか? 聞くの忘れた!


24.5話 KokuSouS Part.2  完。

次回のKokuSouSへつづく!

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