↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/53

21話 モリタカルームと契約

 

 モリタカルームと契約


【202X 1月X日 PM20:00】

【ほこやぎ町 萬屋記録局 モリタカルーム】


「いない……確かに杜鷹君は、爆睡中だって赤葉さんは言ってたのに……」



 寝ているはずの杜鷹君は、どこにもいなかった。

 状況が理解できない私の目の前に、小蒼(こそう)さんが現れた。


 

『ふっ、2時間ぐらい前に、杜鷹は妄想犯行計画からログアウトして、直ぐに倒れて、今は入院しているんだからさ。もしかして杜鷹がいると思ったの? 雪護喜冬(ゆきもりきふゆ)』


 ――小蒼さん、お見通しだったのね……


「赤葉さんの話を聞いて、もしかしたら……と思って、扉を開けたのは確かだよ」

『なら、何故開けたの?』

「その答えは、妄想犯行計画に私がログインした時のメガネ型VRゴーグルとUIマップの萬屋記録局内に、表示されているM.Mピンの共通点は杜鷹君だから」

『ふっ、それで?』

「だから今のログイン状態で、杜鷹君が退院して、妄想犯行計画へログインしてしまうと、私が妄想犯行計画にログインできなくなる。現実世界とほこやぎ町で、彼をサポートできなくなる……違う、小蒼さん?」

『ふっ、正解。じゃあワタシが喜冬へメッセージを送った理由は分かった?』

「うん、それは――」



 刻想器だった小蒼さんの目的は、杜鷹君が選択をやめない事をやめさせない、裏側からの支援だ。

 1日1回は、必ずログインする事が、妄想犯行計画のゲームルール。

 でも現実世界で入院中の杜鷹君が、ログインする事はどう考えても不可能、だから……



「だから私に……杜鷹君の大切な人である私のスマホへ、再ログインを促すメッセージを送ったんでしょ? 小蒼さん」

『ふっ、正解。今、あなたがここに立っている理由は、ワタシではなく、雪護喜冬が自分で決めて、選択した結果。後ろを振り返る事は許されない、これは森咲杜鷹の考え方……あなたに1つ聞きたい』

「私に聞きたいこと?」

『そう。この世界と現実世界で、杜鷹を本気でサポートして、万が一にもゲームオーバーになった際に、森咲杜鷹と絶望の未来を迎える可能性を受け入れる覚悟があるのか、最後に私はあなたへ問う』





「森咲杜鷹の今を見た、汝は今、何を想うのだ?」




 私が今、ここにいる理由。

 それは全て私が選んだ、森咲 杜鷹と未来を掴む為の選択の結果……だから私は今、萬屋赤葉さん達がいるほこやぎ町にいる。

 私の……雪護喜冬の覚悟と想いは、もう決まっている……私は……



「私は、雪護喜冬は! 森咲 杜鷹と幸福な未来を掴む!」



『ふっ、……雪護喜冬、刻想……契約締結』


 ――刻想? 契約締結?


『あなたの自宅へ、KoKuSouSPCとメガネ型ゴーグルを送ったから一度、ログアウトするといい……あなたの妄想犯行計画は、探偵ヘルプの役割を持つバージョン、杜鷹を支えてあげてね、喜冬』



 探偵ヘルプの役割を持つバージョン?  一度ログアウトしろと言われても、私はログアウトする方法を知らない。



『ふっ、白いスマホにログアウトのコマンドがあるけど見えなかった?』

「ログアウトのコマンド?  ……あった、このコマンド、杜鷹君は知っていたの?」

『ふっ、杜鷹には何回も言ってきた、昨日もちゃんと忠告した、でも杜鷹は聞かなかった……』

「ごめんね、小蒼さん。赤葉さんのブレーキ役が白葉さんの様に、杜鷹君のブレーキ役は私がなって、あの子へ辿り着くからね」

『ふっ、もうすぐ、赤葉たちが帰ってくる。喜冬のほこやぎ町での拠点は用意したから、じゃあ、あとでね喜冬』



 そう告げた小蒼さんは、私の目の前から消えた。


「ただいまー! あれ? 雪護さん、杜鷹はまだ寝てるの?」

「声をかけてみましたが、起きませんでした……」

「へぇ、杜鷹らしい。まぁ、数時間前まで臭い干物の事件を全力で解決したからさ、疲れ果ててオーバーヒートかな?」

「はいはい、赤葉ちゃーん。喜冬さんに伝えることがあるんじゃ無かったかなー?」



 ――赤葉さん達から見れば、杜鷹君はそこにいるのね……杜鷹君はログアウトしているから私には、見えないけど……



「あっ、そうだった! 喜冬さん……しばらくの間、ほこやぎ町にいるなら、萬屋マンションほこやぎの家具付きの部屋を貸すから、その部屋を使っていいよ」

「え? それはどういう……」

「急な話だよね? ごめん! でもその代わりと言ったら、非常に頼みにくいんだけど……記録局の仕事、手伝ってもらえない?」


 さっき小蒼さんが言っていた拠点の話。

 もし赤葉さん達の目の前で、私達がログアウトしてしまい、万が一24時間ログインが、出来なくなってしまった時、ほこやぎ町を停止させている時計が動き出してしまう。

 そうしたら、赤葉さんたちがパニックになることは予想できるし、記録局の仕事を手伝う事にすれば、杜鷹君のそばにいる事ができて、ブレーキとサポートができる。



 ――でも一度、小蒼さんが私の自宅へ送ったという妄想犯行計画を起動させないと……



「いいですよ、よろしくお願いします、赤葉さん! 白葉さん!」

「交渉成立ね、よろしく、喜冬さん!」

「喜冬さんの事は、白葉ねぇである私が、八色姉さんへ話しておくから心配しないでね、喜冬さん」

「白葉さん、ありがとうございます、よろしくお願いします」

「いえいえ……にしても杜鷹ちゃんはいつまで寝てるのかしらね」

「本当にそう! ったく、杜鷹は! 喜冬さんも疲れたでしょ? 今日はゆっくり休んで、明日からよろしくね」

「ありがとうございます、こちらこそ、よろしくお願いします!」



 赤葉さんと白葉さんから萬屋マンションほこやぎの部屋の鍵と地図を貰った私は、萬屋マンションほこやぎに向かうことにした。



 21話 モリタカルームと契約 完。

 22話へつづく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。